HOME>あしたのまち・くらしづくり活動賞>26年度の受賞団体概要
|
|
|
|
|
26年度の受賞団体概要
|
独自の発想により全国各地で活発に展開されている地域づくり・くらしづくり・ひとづくりの活動に取り組んでいる地域活動団体等を表彰する、平成26年度あしたのまち・くらしづくり活動賞(主催・公益財団法人あしたの日本を創る協会、NHK、読売新聞東京本社など)の各賞が以下の通り決定しました。
■内閣総理大臣賞
石川県 特定非営利活動法人くくのち
■内閣官房長官賞
茨城県 一般社団法人カミスガプロジェクト
■総務大臣賞
沖縄県 学生団体学生+
■主催者賞
群馬県 特定非営利活動法人富岡製糸場を愛する会
東京都 KOPA(外遊びと子育て支援研究会)
東京都 いずみの会生活学校
神奈川県 特定非営利活動法人いこいの家 夢みん
兵庫県 大庄西中跡地活用団体「大庄おもしろ広場」
岡山県 特定非営利活動法人てっちりこ
また、振興奨励賞には24団体が選ばれました。今年度の応募総数は209編。
それぞれの活動レポートを収録した「あしたのまち・くらしづくり2014」(定価1000円、送料340円)は12月中旬頃発行予定。
メール ashita@ashita.or.jp |
|
■内閣総理大臣賞
里山資源を活用した金沢市東原町の循環型地域づくり |
石川県 特定非営利活動法人くくのち |
【活動内容】
金沢市内の測量会社社員が測量業務を通じて知っていた東原町が、過疎、高齢化により、耕作放棄、竹森林荒廃が進んでいることを聞き、平成22年にNPOを立ち上げ、23年から東原町会、同町生産組合、朝市を運営していた304水芭蕉会、町内レストランなど地域住民と「東原町地域活性化実行委員会」を結成。大学や企業との連携など様々な企画を東原に提案、活性化に取り組むようになった。
@東原を知ってもらう
街と東原をつなぐことにより、地域の魅力を住民に確認してもらおうと、春のたけのこ掘り、秋の収穫といった体験農園、旬の食べ物の振る舞いや販売する東原ふれあいフェア「里山を食す」などのイベントを開催、多くの住民が東原を訪れ、地域の楽しさ、魅力を築くことになる。また、農産物、加工食品を駅前や街中などで販売するマルシェ(市場)を開催して、市民にも里山としての東原の豊かさを知ってもらう活動も実施している。
A地域資源を循環型ネットワーク形成に生かす
資源の循環ネットワーク形成を目的として、街の住民と中山間地域をむすび、生ごみのコンポスト化による焼却ごみの減量、荒廃竹林の整備による健全な自然環境の再生、バイオマスを活用した環境保全型農産物生産を図る事業を企画、推進してきた。竹林整備で出た竹をチップにして、町内の家庭からで出た食品残渣と一緒にたい肥化して農産物栽培で使っている。また、金沢市が進める生ごみをダンボールを使ってコンポスト化によるごみダイエット運動と協力、もみ殻と竹炭をもとに生ごみのコンポスト化を促進することを金沢市協働チャレンジ事業に応募、採択され、「金沢産コンポストの素」を大学、企業と開発、現在では、金沢全地域で利用されている。
B大学や企業と連携する
里山の可能性を引き出すための大学や企業と東原との連携を推進にも努めている。竹林整備などで出る竹を何か活用できないか大学に提案、まずは竹を飼料化してくれることを引き受けてくれ、また、耕作放棄地でのひまわり栽培で種からの搾油により里山整備に利用するチェーンソーに利用することを目指している。企業とは人工衛星からの地域のデータを提供してもらい分析、その一つとして東原の米がタンパク質の含有量が低い(低いコメが美味)ことを明らかにし、東原町民の関心が高まり現在では「東原米」として販売している。
C大学生との交流で、大学生の発想を地域に生かす
大学生が地域に継続的に関わり、その発想や専門性を活かして外部からの目で評価し、解決策を提案してもらおうと里山インターシップを取り入れ、全国から大学生が参加、1年目が「地域MAP作り」、2年目が「ドライ野菜の製品化」、3年目は「空き家調査」をテーマにした。参加大学生からはここに住みたいと、空き家に移住。これがきっかけに他の空き家に移住した場合を考え、町会が仲介するシステムづくりが進むことになった。
Dより良い生活環境の維持を目標に
これまでの活動を通じて、くくのちと東原町民の目標として、農地や水、自然環境を考慮し、10年、20年後も地域の世帯が40世帯を維持していくことにしており、将来を見て買物などの町民の生活サポートするためのミニ店舗「マチオモイ」なども現時点で立ちあげている。
(くくのちとは木の神様の名前。地域内に伝説の大杉があり、それにちなんで名付けた)
【評価された点】
地域の過疎、高齢化に伴うハンディ面と、地域で再生・活用できることをきちんと見つめ、イベントの開催や大学等の地域外との連携、先端技術の導入を地元住民に提案、新たな生活スタイルを持つ中山間地の創造を目指している点が高く評価された。 |
|
■内閣官房長官賞
新しい街をつくるプロジェクト |
茨城県 一般社団法人カミスガプロジェクト |
【活動内容】
上菅谷駅のある菅谷地区は那珂市の中心地として、1980年代までは駅前を国道349号線が走り、商業地として賑わっていたが、1980年代以降はバイパスが整備され、郊外店が乱立し、駅前の商店街は衰退していた。市では2002年より10か年計画で商業振興計画を立て、駅前からバイパスに続く接続路を作り、駅前の再開発を進めたが、その際の区画整理とともに、駅前に点在していた商店はほとんどが廃業し、駅前は何もない更地になってしまった。
カミスガプロジェクトは、東日本大震災の後に誕生したが、発起人の菊池氏は、復興よりも新興が必要だと考え、上菅谷駅前に「カミスガ」という新しい街を作ろうと訴え、那珂市内外から学生、会社員、公務員、自営業者、農家、弁護士など幅広い層が集まった。
基本的に事業は自主財源で運営。イベント等、限定した事業だけでなく、様々な事業を矢継ぎ早に幅広く展開し、商業振興、地域活性化、地域連携、地域コミュニティ、世代間交流など、様々な分野で貢献している。
○歩行者天国イベントの開催
まずは賑わいを作り、那珂市と上菅谷駅を認知してもらおうと、駅前に新しくできた接続路「宮の池公園通り」を歩行者天国にして、テントを並べ「一日商店街」を作り、来場者に一日楽しんでもらうというイベントを考えた。このイベントは設立時から2か月に1回、偶数月の第一日曜日に開催している。2万人が来場する茨城県北部屈指の名物イベントとなっている。
毎回沿線市町村の商店街や団体に出店を募り、沿線地域のPRにも貢献している。また、この地域に新規開業を希望する市外からの出店者を優遇している。あくまで地域のお店を増やし、商店街を作るという目的を設立当初から徹底している。
○エキマエ・ガーデニング事業
震災復旧工事により後回しとなっていた駅前ロータリーの未整備緑地部分に、市内の菅谷保育園の園児、水戸農業高校園芸科の学生と共同で植栽。おもてなしの心を育む、植えて育てる「植育」事業として年2回実施している。
○映画製作事業
これまでに4本の映画を製作。地元製作、地元配給、すべて自分たちだけの力で映画製作という事業を行っており、映像を通じて土地、人などの隠れた地域資源の発掘を狙い、沿線地域の観光に貢献している。
○ツアー事業と通販事業
平成25年度の総務省「移住交流事業」として、「なかなか楽しいカミスガワーホリツアー」を開催した。都内の小学生を対象に、子どもたちに那珂市をはじめとする県央、県北地域の事業所で「労働体験」をしてもらい、ありのままの茨城で魅力を伝えようという企画。ツアー参加者にはお給料と称した「クーポン券」を支給し、帰宅後に通販サイト「常陸の逸品」でお買い物ができる。ツアー事業にあわせて始めた通販サイトも、リピーターも多く、取扱店には「簡単に通販も始めることができた」と好評。
○酉の市の運営
地域資源を最大限に活用しようと、平成24年の秋から、商売繁盛の縁起物を販売する熊手市「なかなか儲かる酉の市」を開催。「商売繁盛のまち」としてPRし、新規出店、企業誘致のきっかけを作ろうと始まったが、熊手の製作は市内の福祉障害者施設に依頼し、売上を手数料として払うことで、地域の福祉活動にも貢献している。
【評価された点】
来街者誘致で大きな成果を上げている点、まちづくりの楽しさが伝わってくる点、アイデアの豊富さと実行力などが高く評価された。 |
|
■総務大臣賞
離島の子どもたちと語り合い! 今と向き合い夢を描く |
沖縄県 学生団体学生+ |
【活動内容】
主に「15の春」を迎える離島の中学生を対象にじりつ(自立・自律)支援、進学支援活動を行っている。
@自立・自律支援、進学支援活動(離島語り愛活動)
高校・大学のない離島の中高生を対象に行っている活動。この活動では実際に、大学生が離島に行き、中学生と将来の夢・これからの目標・島を出ることについて大学生と中学生が一緒に考えている。語り合いやワークショップを行い、その中で目的・目標をより明確にした高校進学・就職を目指せるようにしている。
A目的意識形成活動(シマ塾)
本島に進学で来た離島出身の高校生を対象にした活動。この活動では、イベントとして高校生とスポーツ・ビーチでバーベキュー交流会・講演会を行う。その中で大学生と高校生が話せる空間をつくり、高校生の学校生活や日常生活についての現状把握や目的・目標を一緒に考え、楽しい高校生活を送れるよう、夢実現に向けた進路を選択できるようにしている。また、高校生がイベントに参加する参加者とは別に、イベントに「参画者」として、学生プラスと一緒に企画運営に関わっている高校生がいる。参画する高校生には、企画運営を通して大学生や専門学生と関わり、大学生や専門学生の考え方・大学生の過ごし方などを知ることで高校生の考え方の視野を広げたり、高校生自身が将来のことを考え行動できるようなきっかけをつくれるような環境を提供する。さらに、年4回発行される離島タイムス・年1回発行される情報誌の制作にも高校生を参画させ、「生まれ島をでて思ったこと・高校生活について・島の後輩に伝えたいこと」などの情報を発信し、彼らが生まれ島への貢献・還元できるような活動を行っている。
上記二つ(離島語り愛活動とシマ塾)の活動を通して、「15の春を迎える中学生が、将来の夢や目的をもち生まれ島を旅立ってほしい」、「島の誇りを持ち、生まれ島へ貢献・還元できる人材になって欲しい」そして、「15の春は早く大人になれるにチャンスだと前向きに捉えてもらいたい」という思いを達成する為に、「自主退学を選択した子供たちは、とりあえず働くため・生活のため親の住む島に戻ること(Uターン)・子ども達は自主退学をし、働くため・生活するために親が住む島に戻ってきたがもう一度本島へ渡ること(Oターン)を解決するため、学生プラスの活動に離島出身の学生を10名参画させる」というミッションを掲げている。離島出身の大学生・専門学生・高校生と共に活動することで、活動に離島出身の参加者を増やし「学校の中途退学」や「学び・経験のないUターン」を防ぐ。そして、彼らが島に対して活動を実践していくことで「生まれ島へ貢献・還元できる人材のモデルの仕組みを構築」している。
Bゆんたく大学
離島語り愛活動・シマ塾を通して参加してくれたボランティアスタッフや学生プラスの活動に興味がある学生の交流を行う場づくりの活動を行っている。この活動では、大学生同士の交流を深め、人脈を広げたり、お互いに持っている夢や考え方を共有してお互いに助け合い、大学生活を有意義にしている。
【評価された点】
離島特有の子ども・若者問題に、離島出身の大学生を含む地域の若者が、自らの経験として当事者意識を持って向き合い、生まれ育った地域を見つめることの大切さを実感させることにつながっている点が高く評価された。 |
|
■主催者賞
「世界遺産登録決定」は始まりで、活動を通して街の活性化を目指す |
群馬県 特定非営利活動法人富岡製糸場を愛する会 |
【活動内容】
平成26年6月21日、世界遺産登録が満場一致で可決され、「富岡製糸場と絹産業遺産群」が世界文化遺産となった。同会は、富岡製糸場の価値を後世に伝えると共に、これを軸に富岡市をはじめ郷土の活性化を願い、素晴らしい郷土を夢見て、力を入れて取り組んでいる。
会としては、製糸場内の清掃や清掃道具や折りたたみ椅子等の寄贈を通じて直接製糸場にかかわる部会、また、製糸場の価値や素晴らしさを体感して頂く製糸場内での活動として、「講演会」「ファッションショー」「コンサート」等を行う部会、製糸場創建の歴史を紙芝居にして各方面で演じ伝道する部会、学びパンフレットやDVDを作り、小中学生や各種団体に出前授業や講演を行う部会、会の広報グッズやキャラクター着ぐるみを作りそれを用いて広報活動、地元高校との連携で高校生を輪に加え活動する部会、施設見学等の研修を企画する部会、また、昨年度は1年間かけ、地域の絵手紙グループと連携を図り、「製糸場絵手紙かるた」を完成させた部会もあり、これを広く配布し、「かるた大会」等で小中学生への啓蒙を深め、技術革新と生産拡大を果たした製糸場の価値を未来に伝える活動も始まった。「製糸場絵手紙かるた」は、伝えたい歴史、関係する人物、建物の構造等会員の思いも全て込めて仕上げた。また、会として製糸場を活かした街づくりを考え提言、富岡製糸場創建の歴史小説の映画化等にも取り組んでいる。
部会の一つ、絹の部会は女性会員現在9名。主たる取り組みは、富岡製糸場の桜の時期に開催される観桜会へ参加し、絹つながり応援の「着物de花見ファッションショー」を行い、今年で6回目を迎えた。絹への思いを紹介しながらのショーである。
また、10月には繭倉庫の中で、フランスつながりで「シャンソンシルクコンサート」を開催してきた。今年度は7回目となる。
また、3年程前から富岡製糸場正門近くに、お休み処「絹ごよみ」をオープンさせ、夜には各部会の会議もでき、「富岡製糸場と絹産業遺産群」等の伝道をしている。お休み処「絹ごよみ」の管理運営は絹の部会が任されている。DVDで富岡製糸場の案内や同会の活動のTV取材などの放映をし、観光客の休憩所としても利用してもらい、会員の絹のリメイク服やブローチ等の手作り品の土産物を扱う同会の店舗及び事務連絡所でもある。
他には、富岡街づくり推進協議会主催の「美食グルメ選手権」に絹の部会として参加し、「シルクパウダー入り焼きうどん」で準グランプリ、「シルクうどんじゃあじゃあ麺風」でグランプリを獲得、富岡の名物づくりの活動も続けている。
グランプリを獲得したのを機に絹の部会を中心に、「富岡シルクうどん推進プロジェクト」を立ち上げた。「富岡製糸場」の世界遺産本登録となった今、富岡市の名物料理を早急に開発し、町のにぎわい、町おこし、地域活性化につなげたいという願いを込めた熱い思いのプロジェクトである。
製糸場としての課題も多く、構成資産の早期全面公開、トイレ、休憩所などは喫緊の課題である。見学できる場所を拡張するためや繰糸機稼働等、早期の整備が望まれるので、同会では整備資金の基金活動にも力を入れている。
同会にとって「世界遺産登録決定」は始まりで、継続した活動を通して街の活性化を目指すとしている。
【評価された点】
富岡製紙場に脚光が当たっていない時代から地道に活動を続け、世界遺産登録を後押しした。イベントや「食」によるまちの活性化は、世界遺産登録をまちづくりにどう活かすかの参考となると評価された。 |
|
■主催者賞
乳幼児に外遊びの場をつくろう―公園を巡回する移動型の遊び場…プレーリヤカーの活動― |
東京都 KOPA(外遊びと子育て支援研究会) |
【活動内容】
どこでも遊べると思われがちな乳幼児期の外遊びが、住宅の集合化や町並みの都市化、子育て支援の室内型の普及で、ここ数年、どんどん難しくなっている。移動型のプレーリヤカーを開発するきっかけは「乳幼児期の外遊びの場」を既存の施設を活用して育てたいという思いからだった……。
2005年、既存の公園を活用して外遊びを育てたいと、都市再生モデル調査を受け、乳幼児期の公園利用のあり方と、乳幼児期の外遊びについてアンケート調査を行った。アンケートの結果から乳幼児期の遊びで、ママたちが一番させたい遊びは『土・泥、水遊び』ということが分かった。汚れる遊びは『乳幼児期の親には歓迎されない』と思っていたメンバーには、この回答は意外だったが、「うちのマンションでは遊べるのはベランダのみ。でもマンション組合でベランダでの遊びを禁止している」「住宅に土の庭がない。公園では人目があり自由にさせられない」「家の前の道では、近隣に迷惑になりそうで、できない」という声があった。また、分譲マンションのママからは、「汚れる」「壊れる」などで資産価値が下がるという理由で子どもの遊びは全面禁止という管理協定がある、との回答もあった。
そこでママたちと「公園利活用アイディア会議」を開き、たくさんの楽しいアイディアの中から、住宅地にある公園を活用して仮設の遊び場を開設していく「巡回型プレーリヤカー」を運行していくことを決めた。
90センチ×60センチのリヤカーに、遊び道具を積んで公園に出かける。リヤカーは、都会の緑道も歩道も公園も行き来できる幅。また、女性の手でも操作が可能で、折り畳んで普通車で運べる大きさでもある。2人のサポーターが公園までリヤカーを運び、遊具を置いて短時間の遊び場を創る。
「子どもの声がうるさい」「風紀的に迷惑」等、迷惑施設になりがちな住宅地の公園の利活用につながると、プレーリヤカーを公園行政は積極的に後押ししてくれているという。
プレーリヤカーには、各地からの多くの問い合わせがある。「屋内で子育て支援を行ってきたが、外遊びも支援したい」「遊び場づくりの活動を増やしていきたいので、きっかけをつくりたい」「近隣の公園を遊び場として活用したい」「乳幼児の外遊びを主体とした支援を考えている」など。首都圏だけでなく、地方都市からも問い合わせがあり、児童教育学科のある大学からの問い合わせもある。
プレーリヤカーは「手ごろ」だという。金銭的にも実施しやすいという規模が受けている。また手作り、人力、天候に影響するという素朴さが、エコの時代に合っているという。
しかし、それ以上に受けるのは「乳幼児期の外遊びをなんとかしなければ」という支援者や親たちの気持ちである。
「子育て」から「子育ち支援」に関心が動いていると実感するところだという。プレーリヤカーは子どもの外で遊べる場を増やしている。住宅の高層化や利便化で何気ない遊び…土や水や草花や泥と遊ぶことができなくなり、その遊びそのものが特殊なものになってしまった。この何気ない遊びの機会をつくることが、子どもそのものの生きる力の応援、だと同会では考え活動を続けている。
【評価された点】
近年の子育て支援策の多くが官民ともに子育て代行、就業支援といった側面が強くなっている中、乳幼児の育ちそのものを外遊びという視点から支援しており、先導的な事例として評価された。 |
|
■主催者賞
子どもたちへ 未来へのバトン |
東京都 いずみの会生活学校 |
【活動内容】
いずみの会生活学校が発足したのは昭和57年。当時の小学校PTA会長だった千田さんの呼び掛けで、当時のPTA実行委員の多くが賛同して生まれた会。
「子どものしつけや金銭教育」「生活の見直し」「高齢化社会へ向けて」の講演会。「エネルギー問題」から原子力発電所の見学等々。実に多くの学びや研修をしてきた。そればかりでなく、コンサートを企画したり、毎年バス旅行をして親睦もはかってきた。
幅広い活動は、会員一人一人が自分の世界を広げ、自分の良い点を伸ばし成長してくることができた。会員には、その感謝の思いを少しでもお返ししたいという気持ちが自然と芽生え、その中の代表的な活動が以下の三つの活動。
一番目は「読み聞かせ」。2001年から始まった。朗読ボランティアを経験した会員を中心に20名程が、昔自分の子どもが通った小学校へ出かけ、1年生から4年生までの12クラスに、週1回、朝の15分間本を読み聞かせる。教室に入ると「今日は何の本?」と子どもたちが待ち構えている。
学年ごとに読み手が決められていて、それぞれ工夫して本を選び、読む時間をはかり、覚えるほどに練習して教室に立つ。
1年生には身振り手振りも交えて楽しく。大型絵本や紙芝居も使う。2年生になるとしっかり聞けるようになるので本の幅も広がり、地域に伝わる民話や昔話も取り上げる。3年生は元気いっぱい。冒険物やシートン動物記、落語も好まれる。4年生には、宮澤賢治の作品や各地の民話、世界の名作等。それと同時に戦争の体験談も語りの形で入れている。
その年度の最後の読み聞かせの日には、子どもたち全員が手紙で感謝と感想を書いて渡してくれる。
「おもしろい本、楽しい本いろんな本を読んでくださってありがとうございました。おかげでそんなに好きでなかった本読みも今では大好きになりました」(3年)
「私は読んでくれる本を聞いてよくこう思います。『この本の世界の中に行ってみたいなあ。本は人をじしゃくのようにひきつけるのかな』って」(3年)
また、学校からも、「読み聞かせが子どもたちの成長に大きな影響を与えてくれる」「読み聞かせを通して、集中して話を聞くという面を育てていただいている」と感謝されている。
二番目は「昔あそび」の伝承。2003年から1年生の生活科の授業で実施している。「テレビゲーム全盛の時代だからこそ、伝承遊びの大切さ、面白さを子どもたちに体験させたい」という学校からの要望に応え、折り紙、おはじき、あやとり、お手玉、かるた、こま等の遊びを教え会員も一緒に楽しんでいる。
三番目は「味噌作り」の伝承。2005年から5年生の生活科授業で教えている。身近な味噌が大豆と糀と塩でできていることを初めて知る子どもたち。つぶしたり、丸めたり、かめの中にたたきつけたり…の工程を興味を持って体験している。5年生の2月に仕込み、6年生の秋に味噌汁や豚汁にして食べる。
32年前にPTAを母体として生まれたいずみの会生活学校が、また子どもたちのために学校で活動している。こんな手紙をもらった。
「いずみの会生活学校のみなさんへ。1年生の時から『本の読み聞かせ』『昔あそび』『味噌作り』をしてくれてありがとうございました。もう卒業まで数えるほどしかないのですが、この思い出は一生忘れません」(6年)
【評価された点】
自分の子どものための活動の視点から、卒業後には地域の子どもが心豊かに生きられるようにと広がり、かつ、永年にわたり活動しており、地域に開かれた小学校づくりにもつながっている点が評価された。 |
|
■主催者賞
子どもから大人まで笑顔あふれるサロン運営 |
神奈川県 特定非営利活動法人いこいの家 夢みん |
【活動内容】
築42年を迎える大規模集合住宅。入居当時、教育施設が足りないなど生活面での多くの不便さを抱えていた。そんな中、「足りないものは自分たちの手で」と住民有志で「自主保育」をスタート。その後もOBの親が中心となり、「食事サービス」や「家事支援」など介護や老後に向けて、次々と活動を展開。
19年前、「高齢になっても自分の好きなことや、やりたいことを続けながら、いつまでも自分らしく暮らしたい」…多くの賛同者を得ながら、「夢をかなえる場所・ムーミン谷のような温かい居場所」をめざして『いこいの家 夢みん』がオープンした。
団地の1戸を購入・改装し、「高齢者のための交流サロン」として活動を開始。2000年にNPO法人となり、横浜市の「通所型介護予防事業」を受託し、「介護予防」に力を入れる。その後も地域のニーズに合わせ、様々なプログラムを実施し、現在も継続。年間延べ入室者数が7千人を超える。利用者数の増加に伴い、2014年4月、近くの空き店舗へ活動の場所を移し、気軽に立ち寄れる「コミュニティカフェ夢みん」として再スタートを切った。従来の「アットホーム」な雰囲気を大切にしながら、高齢者に限らず、子どもから若い親も含め、多世代が夢みんを利用できるようになった。
新拠点では、従来の介護予防プログラムに加え、子どもの学習支援、住民の自主活動場所の提供、気軽におしゃべりできる場(おしゃべりカフェ)等、新企画も増え、利用時間は平日午前10時から午後4時まで。週1回から月1回のものまで、企画・アイデアを持ち寄り様々な曜日別プログラムを展開している。
・趣味、楽しみの場として…健康麻雀・囲碁・手芸・コーラス
・学びの場として…パソコン・トーンチャイム演奏・カルチャーサロン
・交流の場として…おしゃべりカフェ・歌声喫茶
・健康促進の場として…健康体操・看護師による健康チェック・相談
以上は、毎月定例で月別プログラムとして近隣に全戸配布。住民自らがやりたいこと、関心のあることを見つけ参加、70代、80代になっても新しいことにチャレンジするなど意欲的な姿が多数みられる。顔見知りがいる身近な地域で、安い料金で気軽に参加できることが利用者増加につながり、その結果、自然な形での見守り、孤立防止へと役立っている。プログラムの合間や終了後のコーヒータイムも楽しみの一つで、おしゃべりに花が咲き、どの曜日も笑顔があふれる交流の場となっている。
また、隔月実施で4年目を迎えた「専門家を交えた介護者相談会」の他、この4月から子どもへの支援としてボランティアによる「こども英語教室」も始まった。今後は休日やプログラム時間外の自主的な集いへの場所貸しなど、多世代にわたる人とのつながりや、居場所として、さらに多くの住民に有効活用されることを目指している。
夢みんの主体は運営委員会である。発足以来、多くの人が横並びで運営に関わり、合意形成のための話し合いを大切に、結論を急がず、あえて面倒な話し合いを重ねることで、意見が違っても合意点を見つけ出す、一人一人が自分のこととして考え意見を言う、主体的に役割を持つことで、大小の問題点を乗り越えてきた。
今後、地域の中で会の役割がどう変わっていくか、それに担い手が対応できるか(現状維持はどこまで続くか、それでいいか)、どう変化させるか等、高齢化による社会の変化に対応できる力をどうつけていくか、今後の課題とし、地域にある諸団体のネットワークを生かして、地域全体での解決力が問われている。
【評価された点】
大規模マンションにおける地域住民に密着したサロン運営。その時々の住民のニーズに応じたさまざまな活動を行い、高齢者のみならず子供にまで対象を広げ、常に問題意識を持ちつつ、発展的に活動を継続しており、先導的な事例として高く評価された。 |
|
■主催者賞
おもしろき、こともなき世をおもしろく |
兵庫県 大庄西中跡地活用団体「大庄おもしろ広場」 |
【活動内容】
地域の少子化に伴い中学校が統廃合。統合4年後、跡地活用について市から「市民による2年間の検討委員会」を提唱され、町内会長、PTA会長、公募委員で議論が始まった。市長に提出した要望書の内容は、@子どもや若者たちの居場所作り、A多世代交流を通じた防災、Bまちの魅力を高める。しかし、実現に向けた活動は宙に浮いたまま。1年後、市から「暫定跡地利用」の提案があった。内容は「期間は2年間、最低限の整備以外はすべて自己責任で運営し、施設運営利益で経費を捻出し、赤字は自己補填」。これに手をあげたのはPTA有志のみで実施までの4か月で、人材確保、組織作り、運営方法の検討がゼロから始まった。
○岡山の棚田再生集落とのヤギを使った交流
放置された跡地の雑草刈取りは大変だったが、「ここにヤギがおったら…?子どもたちも喜ぶし…」の発想が飛び出す。「岡山上山の棚田再生地に雑草除去用のヤギがいる」と分かり、岡山から2頭の子ヤギがやって来た。今では、子ども会の写生会の被写体、障がい児や保育園・幼稚園児との交流等、広場の広告塔として広場のシンボルになっている。
○年に1度の夏におっちゃん連中の夜店開店
8月、日頃子どもたちに優しくない(?)酒飲み仲間が、罪ほろぼしと称して夜店を開催。毎年約600名の家族連れが訪れ、本職顔負けの姿で楽しそうに子どもたちとふれあっている。
○学生を巻き込み学校の第2の活動フィールドヘ
市が誘致した環境の専門学校は校地が狭く体験フィールドが課題だと知り、学生たちの放課後・休日の実験・体験の場となるよう学校に働きかけた。学生有志と話し合い学校公認サークルを結成し、新入生歓迎会開催、農作物の実験栽培、卒業研究の土壌改良や環境学習プログラム研究、電気自動車の製作等をする。学生たちは活動を通じて問題解決のプロセスを楽しみ、その経験を国立大学編入試験や就職活動での自己アピールとして生かしていく。
○地域のPTA連携による震災支援PTCAイベント“大庄フェスタ”の開催
学校統合や子どもの安全確保の活動などを通じて培われたPTAのつながりで東日本震災を自分の問題として防災の意識向上と義援金を呼びかけるイベントを毎年秋に行っている。
○まちの良心を確かめる青空図書館
地域や遺品回収業者から寄贈された本棚、本を使い管理者なしで24時間誰でも利用でき、持ち帰り持ち込み自由の図書館を開設。大きな問題はなく、地域のみなさんが驚いている。
○月に1度の無料解放日の実施で新しい出会いの場を提供
スポーツ施設の無料利用だけでなく、高齢者のふれあい喫茶、ミニコンサート、体操教室、野菜等物品販売、愛犬家の啓発活動等、日を追う毎に盛んになっている。
○地元伝統野菜を子どもたちに伝える
近年復活した地元の伝統野菜=尼イモを、市より苗を譲り受け、学生が栽培し、幼児の親子連れ収穫体験、葉茎はヤギのエサやり体験に、枯れ木や落ち葉を使った焼きイモを毎年体験している。また、学生や社会人は微生物やヤギの糞を使った土壌改良実験も行っている。
○若者が馬を使って田舎と都会をつなぐウェディング・パレード
淡路島在住の地域おこし隊員の夫と尼崎のテニス猛者の妻が結婚式を活用し、馬での花嫁行列パレードと式を広場で挙げた。当日は沿道住民の応援、地元警備会社・ボランティアの協力もあり、この成功を受けて可能性を強く感じた若者が中心になり淡路島と尼崎との定期的な交流が始まっている。
【評価された点】
都市部における取り組みであることかつ、廃校利用で例を見ない自由な発想で多彩な活動によりまちの活性化につなげている点が評価された。 |
|
■主催者賞
地域で稼ぎ、地域で支える―「人交密度」日本一の地域を目指して。 |
岡山県 特定非営利活動法人てっちりこ |
【活動内容】
岡山県苫田郡鏡野町は人口13,580人、高齢化率30.4%。岡山県の北部、鳥取県との県境に位置する中山間地域にあり、人口減少、高齢化、耕作放棄地、買い物難民など様々な課題に直面している。「自分たちの地域は自分たちで支えていくしかない」と、特定非営利活動法人てっちりこを2004年に設立。高齢化率が約43%と過疎高齢化が進む、旧奥津町を中心に次のような活動に取り組んでいる。
1.「姫とうがらし」を活かした特産品の開発・加工・販売
地域の固有種である珍しい唐辛子「姫とうがらし」を「地域の特産品」として売り出していくために、6人の農家の方へ試験的に栽培をお願いして、加工品の唐辛子ドレッシングのサンプルをつくり、それを地域全戸に配ってアンケートを取った。こうした地域の声を受けて、加工品のドレッシングを「辛美人」と名付けて販売に踏み切った。
唐辛子は高齢者でも栽培しやすく、姫とうがらしの栽培は32軒、約2町5反で行っており、栽培している方の平均年齢は82歳。しかも、一人あたり年間平均して50万円の収入になっており、年金暮らしの高齢者にとって貴重な収入源にもなっている。高齢者にとってやりがいを感じやすく、生活を支えるお金としても非常によい仕事になっている。
この他、山椒の木の特産品化として、「奥津の宝シリーズ」として、いりごま・ゆかり・ゆず・青じそドレッシング・サンショウの葉・サンショウの実、塩シリーズとして山椒塩や柚子塩や焼きそば用・お茶漬用の商品化や梅干塩など、おばあちゃんの名人技を活用した商品を7品目開発。
2.地域のインフラ・生活基盤を支える事業
こうした特産品で得た収入を原資に、同会では、郵便配達や宅配便の配達代行、ごみ収集業務などの地域の生活を維持する取り組みを行っている。
平成の大合併や郵政民営化などの影響から、郵便局も職員数も減少し、本来のサービスである2時間単位指定の宅配や速達サービスを受けることが困難になったため、同会で郵便配達を代行している。同様に、宅配便のメール便の代行も実施。また、ごみ収集業務も行政から委託を受けて実施。ゴミステーションの数が減少する中で、高齢者に負担の大きいゴミ出し作業を、同会で1回に3〜4時間の作業を行なっている。
こうした配達やゴミ収集は、地域のインフラを支える役割であると同時に、地域の情報収集・声掛け・見守りの役割も果たしている。
また、障がいを持つ方が自立を目指すための作業所を運営。利用者が10人以上いないと、「障がい者作業所」として行政から認定されず補助も受けられないが、同地域には対象となる方が10人もいない。しかし、障がいを持つ方がわずかな数でも地域にいるならば、支えていこうと自己財源で運営している。作業所では、障がいを持つ方々が唐辛子の加工工程の一つを担っており、地域を支える一員となっている。
【評価された点】
過疎高齢化の地域において、地域資源を活用した特産品展開による収益を原資に、地域の高齢者の見守りも含めた郵便配達やごみ収集、さらに法律に囚われない「障害者作業所」の運営等、地域の生活維持に欠かせない取り組みを行い、地域の課題解決に大きく貢献している点が、先導的な事例として評価された。 |
|
■振興奨励賞 |
北海道 納内地域づくり推進協議会 地域で支え合い安心して暮らせるまちづくり |
|
岩手県 永井地区まちづくりの会 地域課題解決プロジェクト |
|
群馬県 群馬県立利根実業高等学校 生物生産科 食品文化部 目指せ!「えだまメンチ」でB1グランプリ!!―食を通した街おこし!!― |
|
埼玉県 認定・埼玉県指定特定非営利活動法人メイあさかセンター 年齢・立場を超え良い地域づくりに寄与する |
|
千葉県 多世代交流型コミュニティ実行委員会 多世代交流型コミュニティ「地縁の他孫(たまご)」事業 |
|
東京都 NPOふれあい広場ポーポーの木 コミュニティ喫茶を地域の居場所に―助け合って地域で生きる― |
|
神奈川県 街の家族 どんな時もつながり合える街の家族について |
|
石川県 美川生活学校 高齢者の見守り・居場所づくり―おしゃれ茶会の開催― |
|
福井県 清明げんきの郷運営委員会 地域における孤立化しようとする高齢者への支援活動 |
|
静岡県 特定非営利活動法人フロンティア清沢 自立した地域・活力あるむらづくりを目指して |
|
静岡県 安倍奥の会 静岡市の山村「玉川」の魅力を発信―山村と街をつなげる橋渡し― |
|
静岡県 特定非営利活動法人しずおか環境教育研究会「エコエデュ」 環境教育を軸とした地域コミュニティ形成 |
|
愛知県 蟹江町商工会(一番街・まちの駅) 蟹江の未来は自分たちの手で創るんだ! |
|
三重県 生ゴミリサイクル亀さんの家 生ゴミ堆肥で野菜いきいき ばあちゃんいきいき |
|
滋賀県 せせらぎの郷 魚のゆりかご水田を核とした地域活性化に資する活動 |
|
奈良県 天の川実行委員会 安心して老いていける地域社会の実現に向けて |
|
山口県 福島の子どもたちとつながる宇部の会 福島で被災した自閉症児・家族の保養・移住支援 |
|
徳島県 森藤村づくり推進協議会 村づくりは人づくり |
|
高知県 特定非営利活動法人黒潮実感センター 島が丸ごと博物館―持続可能な里海づくり― |
|
福岡県 糸島空き家プロジェクト 学生の空き家再生を通じた糸島地域活性化 |
|
熊本県 NPO法人みさと 地域の福祉力向上と活性化 |
|
鹿児島県 特定非営利活動法人フードバンクかごしま 「もったいない」を「ありがとう」の笑顔に変えるまちづくり |
|
鹿児島県 里地区コミュニティ協議会 コミュニティ協議会は地域を鼓舞する旗手!―地域力を守り育てる活動を通して― |
|
沖縄県 つきしろ自治会 自分たちでできることは自分たちで…自助努力 |
|
|
|