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23年度の受賞団体概要
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独自の発想により全国各地で活発に展開されている地域づくり・くらしづくり・ひとづくりの活動に取り組んでいる地域活動団体等を表彰する、平成23年度あしたのまち・くらしづくり活動賞(主催・公益財団法人あしたの日本を創る協会、NHK、読売新聞東京本社など)の各賞が以下の通り決定しました。
■内閣総理大臣賞
長野県 岩村田本町商店街振興組合
■内閣官房長官賞
島根県 木綿街道振興会
■総務大臣賞
静岡県 NPO法人ゆめ・まち・ねっと
■主催者賞
北海道 麓郷振興会
栃木県 棚田の郷かぶと
埼玉県 NPO法人まち研究工房
愛知県 岩成台一丁目町内会防犯隊
徳島県 NPO法人山の薬剤師たち
また、振興奨励賞には22団体が選ばれました。今年度の応募総数は130編。
それぞれの活動レポートを収録した「あしたのまち・くらしづくり2011」(定価1000円、送料340円)は11月中旬発行予定。
メール koho@ashita.or.jp |
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■内閣総理大臣賞
中山道 岩村田宿 歴史と文化を生かした街づくり |
長野県 岩村田本町商店街振興組合 |
地域に大規模店舗が相次いでオープンするなか、疲弊した商店街に若い力を集めて、空き店舗対策をはじめとして、様々な事業を展開しながら、収益事業と社会貢献事業を両立させ、「にぎわいの創出」を取り戻すべく活動している。事務局はなく、一理事一事業制をとりながら、各理事が自分の事業と並行して担当事業を成功させるべく奮闘している。
○活動のきっかけ
商店街青年部に属していた若者たちが、商店街の衰退に危機感を持ち、商店街振興組合の世代交代を話し合い役員が一新。若手の事業参加が可能となった。平均年齢36歳と、全国で最も若い理事が経営する振興組合として商店街の再生をはじめた。
○活動の概要
@5,000世帯を対象に「お客様アンケート」の実施・・・「日本一イベント」に取り組み集客を図ったが、自店の商品販売が手薄になり方向転換。「商店街を利用するお客様がこの街に何を求めているのか」を把握するために5000世帯を対象にアンケートを実施した。
A商店街直営の「お惣菜」の店づくりへ・・・アンケートの結果から、地域住民から要望の多かった商店街直営の惣菜店をオープン。年間売上2200万円、経常利益300万円と商店街の収益事業の柱のひとつとなっている。
B「本町手仕事村」の開設・・・空き店舗を6区画に区切り、2.5坪で15,000円のチャレンジャーズショップを開設。「手仕事」に適した事業を行なう人を募集。商店街理事が経営をアドバイスしてお客様を紹介し、自立できるめどが経ったら、空き店舗を用意し、格安の家賃で事業が行なえるように援助した。これにより5店舗が商店街内で店舗をオープン。
C子育て支援事業・・・顧客の対象を広げるために、子どもたちにスポットをあて、会員制度「子育てお助け村」を開始。会員は商店街の各店で様々な特典を受けられるほか、会員を対象にしたイベントを開催した。そこで出てきた要望から、商店街が経営する学習塾「岩村田寺子屋塾」の開校と、子育て支援施設「子育てお助け村」を開設した。
Dその他・・・地元米粉を使ったうどん店「三月九日青春食堂」や「高校生チャレンジショップ」のオープン、イオンとの地域連携を実現した「佐久っ子ワオンカード」事業、若手人材育成事業として、「起業家育成塾」「本町あきんど塾」「岩村田あきんど塾」など。
○評価された点
・商店街のにぎわい創出を、「子育て村」の開設に始まる子育て支援事業や、地元企業と高校生との連携をも射程に入れて展開する取り組みは精力的で独自性がある。今後においても継続的な活動が期待される点も高く評価。商店街の疲弊は全国的な傾向であるが、「コミュニティ共生型商店街のモデル」として注目したい。
・商店街の後継者が動き出して、高齢化した役員の理解を得られ世代交代が実現した。また、人材育成に力を入れており、他の地域の人材が活躍できる仕組みを作っている。
・一理事一事業制により、責任と持続性のある組織となっている。
・若手事業者を核としたエネルギッシュな取り組みであり、多様な事業を、地域を巻き込みつつ成功させている。また、通常敵対関係にありがちな大型店との共生も図っている。
・若手が中心となり、地域ニーズに適合した地域再生運動として定着している。
・住民アンケートを効果的に活用し活動を展開している。直営惣菜店から経常利益を上げるなど自主財源を確保している。また営利活動にとどまらず、社会貢献へと広がっている。
・商店街の若い理事が、地域住民と向き合いながら街づくりをすすめ、自らも成長している。
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■内閣官房長官賞
雲州平田の再生は歴史と文化と人の心から―木綿街道の明日をめざして― |
島根県 木綿街道振興会 |
雲州平田の中心地を流れる平田船川運河沿いに「木綿街道」があり、江戸中期の佇まいや文化を今に残す。街道の各所に残る切妻妻入り塗り壁造りの民家は雲州平田特有の建築様式であり、通りと船川をつなぐ小路・かけ出し(船着場)とともに木綿街道の歴史的景観を形成している。「木綿街道振興会」は、この歴史的な町並み保存と活用による地域の活性化に取り組む。伝統的建造物の調査に取り組み、将来的には「重要伝統的建造物群保存地区」の指定を考えている。
木綿街道の起こりとなったイベント「おちらと木綿街道」は、この歴史的景観と文化を多くの人に知ってもらうために開催しており、今年で11回目を迎える。節分イベント「もち街木綿街道」も継続して開催している。観光客へのボランティアガイド活動も行なう。
昨年度は、住まい・まちづくり担い手事業(一般社会法人住まい・まちづくり担い手支援機構)の助成を受けて「旧石橋酒造の継続的な活用のための清掃活動と活用実験」に取り組む。平成19年の廃業により空き家になり廃墟化しつつあった「旧石橋酒造」(築後推定220年、約800坪、出雲市所有)の活用の可能性を見出すために、建物調査と清掃活動を行ない、実際に会場でコンサートやカフェなどの活用実験を行なうとともに、活用案を探るワークショップも行なった。現在、同会の事務所を置き、日常的な管理を行ない、会場は市民団体に活用されている。
同会は様々な人たちの協力で活動を拡大しており、特に建築系の大学関係者との関わりが、活動を強化している。
今後も、継続してきた活動に加え、次の活動を考えている。
@木綿街道全体の価値を高め来訪者を増やすための活動
・重伝建地区選定や文化財登録のための調査の実施
・町並み、川並みの景観の整備
A木綿街道の活動を地域住民にさらに理解してもらうための活動
・住民を対象とした重伝建地区選定に関するシンポジウムの開催
・木綿街道振興会の活動を広く理解してもらうための活動報告会
B旧石橋酒造における活用提案の実現と前進に向けての行動
・清掃活動の継続
・活用団体の募集と活用サポート
・行政との協働体制の充実
「木綿街道商業振興会」から商業を外し「木綿街道振興会」に変更し、街道外の会員やボランティア会員を増やし、商工会議所や自治会との連携や行政と協働して歴史的な地域資源を活用した地域の活性化に取り組む、同会の主体的な活動が評価された。
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■総務大臣賞
ハラハラと心配しながら、見守り続ける |
静岡県 NPO法人ゆめ・まち・ねっと |
「NPO法人ゆめ・まち・ねっと」は、子どもたちが自由に遊べる場を提供することを目的に、2004年9月に設立された。「冒険遊び場たごっこパーク」と名付けた活動は、名前の由来の田子の浦港に近い公園と川を会場に、隔週の土日を中心に行なっている。禁止項目の並ぶ公園の多いなか、ここでは、子どもが高い土手から川に飛び込む、焚き火でお餅や芋を焼く、時にはカレー等も作ったり、木登りや、のこぎり等を使っての廃材工作や基地づくりをする姿が見られる。スタッフは、子どもが生き生きと遊べる環境を保証し、危ないと注意をしたり、うまくできるように指導することもない。そのなかで、子どもたちは自立した大人になる準備をしている。
「たごっこパーク」は、子どもの生活圏での開催、参加費無料、親の申し込み不要。イベント・プログラムはまったくなく、タイムスケジュールもなし。いつ来て、いつ帰ってもよく、遊ぶのも遊ばないのも自由が特徴。そのため、どこにも居場所のない子どもたちと出会うことになった。もっと上手に子どもたちとの日常を共有したいと児童精神科医などを招き子ども時代の遊びの大切さや、発達障害のある子どもたちへの接し方などを学び、それを実践に生かしている。このような運営の特徴ゆえに生きづらさを抱えた子どもと何人も出会う。多くは、親から不適切な養育を受け、地域や学校から排除という名の社会的な虐待を受けているように見えるが、そんな子どもに何ができるのかと途方に暮れたりもする。それでも果たせる役割が少し見えてきた。それは、長く関わることで、欠点、苦手、短所を親や教師などから指摘され続けている中、表われる利点、得意、長所を観察することができ、それを伝えてくることで、信頼感や安心感が生まれた、と考えている。
今年3月に旧東海道沿いにある商店街の空き店舗を借り、だらだらできる児童館、あるいは、年齢制限がなく、申し込みも会費も不要の学童保育、そんな感じの子どもたちのたまり場づくりを始めた。愛称は「おもしろ荘」。複雑な家庭環境に身を置いていることを話してくれた子ども、親に連れられて来た不登校の子ども、すっかりお気に入りの場所になっており、今では市外から電車を乗り継いでやってくる子どももいる。生きづらさを抱えた子どもたちとの新たな日常がここで始まっている。
こうした、親から排除され学校からも排除された子どもたちを「地域は見放さない」という取り組みは、現代の日本で強く求められている活動である。「疎外されがちな社会層」にスポットを当てた実践活動として評価された。
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■主催者賞
開拓の結束の中から生まれた麓郷振興会 |
北海道 麓郷振興会 |
○大正11年、十勝岳連峰の南麓に国策として開拓が進められ、森林を切り開き、荒れ野を耕し、麓郷振興会(自治会)は生まれた。現在、東西12キロ、南北8キロの地域に496人(164世帯)が住んでいる。開拓以来の助け合いの心が今も受け継がれ、次のような活動が行なわれている。
○東日本大震災被災者の受け入れ
同会が住民に協力を呼びかけたところ、空き家や物資の提供など支援の輪が広がった。倉本聰氏の提唱する「被災学童集団疎開受け入れプロジェクト」に協力する形で、6月現在2家族6人が福島県の原発被害から逃れて、数か月間住むんだ。最終的には、夏休み期間中の短期から半年程度の中期まで含めて20〜30人を同会で受け入れ予定。地域に早く馴染んでもらおうと、ソフトボール大会やパークゴルフ大会を開催し、交流を深めている。
○市道や能動の整備
約5キロにわたって続く麓郷街道の桜並木があり、下草刈りや道路の清掃は、住民が行ない、北海道有数の桜並木に成長。この他、美しい田園風景を保っていくための水路や農道の補修整備も、全て住民がボランティアで進めている。
○住民で支える生鮮雑貨店
地域に一軒ある生鮮雑貨店が経営危機に陥り、「住民の大切なお店をなくしてはいけない」という声のもと、同会が中心となり、同会が経営存続の道を模索。道の駅になぞらえた「森の駅」としてリニューアルオープンし、住民だけでなく、観光客をより多く呼び込むことをめざす。地元の野菜を販売したり、開拓以来はぐくんできた技や味を披露するイベントを開いたり、地域の情報発信を行なうことで、地域の交流拠点にしていこうと進めている。また、近隣のお年寄りを、「森の駅」まで送迎するサービス試行も始めた。将来的には、ギャラリーやカフェの設置、購買を促す地域通貨を発行などのアイデアも挙がっている。
○麓郷と他地域を結ぶ山麓地域の連携構想
「森の駅」へとリニューアルする中で浮上したのが、麓郷地域と隣接する他の山麓地域との連携。農村環境と観光との共存共栄を目指すため、ドライブルートを「富良野パノラマロード」と命名するなどをし、山麓地域の農業者や観光、商業者、住民の相互連携を呼びかけていきたいと考えている。
○世代を超えたクロスカントリースキー大会の運営
3月に行なわれる麓郷ラングフラウ大会は、住民手作りで進め、東京大学演習林内の美林を走る全道屈指のコース。3キロ、5キロ、10キロの分かれて400人が参加。この大会の枝払いやコース管理など年間を通じて進めている。
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■主催者賞
協力し合えば何でも出来る |
栃木県 棚田の郷かぶと |
荒廃地の再生による地域活性化に取り組む。平成19年度から棚田オーナー制に取り組み、県内外から人々を呼び込むとともに、この取り組みをきっかけに地域のコミュニティも活発化。また、宇都宮大学の学生サークルとの連携や高校生による棚田ファッションショーの開催など、若い力を取り入れた活発な交流活動を展開している。
さらに、中山間地域等直接支払制度や農地・水・環境保全向上対策の制度を効果的に活用し、美しい景観とともに農地の保全が行なわれている。
○活動のきっかけ
栃木県茂木町山内甲集落は、東西は山に囲まれ南北に細長い山間地に47戸が点在している。以前は、山も田畑も管理が行き届き元気な山林であったが、村人たちは農外収入を求めて外に出るようになったことから、急速に田畑の荒廃地が増え、地域の活力が失われていった。そこで、美しい山村の原風景を再現し、元気な農村を再生しようと住民が立ちあがった。
○活動の概要
平成12年度から「中山間地域等直接支払制度」を活用して、地元住民が力を合わせて集落を復活させようと、イノシシの食害防止のための電気柵の設置、非農家を含めた水路・農道周辺の維持管理、耕作放棄地対策のためのコスモスなどの景観作物の作付、農薬散布等農作業の共同化などに取り組んだ。
さらに集落の活性化を図ろうと平成18年に地区住民33名が参加し、むらづくり協議会「棚田の郷かぶと」を立ち上げた。耕作放棄地だった「菅の沢の棚田」を借り上げ、住民による整備を行ない、平成19年に棚田オーナー制を開始した。棚田オーナー制をはじめるにあたって、稲作に限らず農村部の暮らしや伝統を盛り込み、稲作の他にも多彩なイベントを盛り込むことにした。また、地区の女性たちが地元の野菜を使った料理を振る舞いオーナーを迎えた。
棚田オーナー制の内容は次の通り。
@会費1組3万円、Aオーナーは春から秋まで共同作業を行なう、B秋の収穫後に棚田米30キロを持ち帰る、C2月にオーナーを募集(20組)、D4月上旬に説明会開催(餅つき大会等のイベントで歓迎する)、E4月下旬に田の“くろかけ”、F5月中旬に田植え、G6月にホタル観賞会、Hジャガイモ堀り体験、I8月下旬に草刈りと水田の除水、竹を利用した手作りそうめん、J9月中旬に稲刈りとオダカケ自然乾燥、K10月下旬収穫祭(棚田30キロ渡す、中食は新米の餅つき)、L11月紅葉バイキング、等。
平成20年からは、宇都宮白楊高校の生徒による棚田のファッションショーも開催している。着物やドレスなど山奥の小さな集落の棚田に500人が集う都市農村交流が展開され、集落上げての1大イベントとして定着した。
また、宇都宮大学「さとびと」サークルと連携し、棚田のオーナーとしてかぶとの活動に参加している。
○評価された点
住民関係が希薄になりつつあった地域に、地域資源である棚田の再生を活かして、棚田オーナー制度を中心とした都市農村交流への取り組みや、高校生によるファッションショーなどのイベント開催など、新しいことに次々と挑戦し、外部の力を取り入れて、地域の活性化を成功させ、また同時に棚田の保全と景観が保たれている点を評価。新しい発想と行動力が、今後のさらなる発展性を感じさせる。
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■主催者賞
街角の小さな休憩・ふれあいスポット「おやすみ処」ネットワークモデルづくり |
埼玉県 NPO法人まち研究工房 |
「100メートル以上の距離を一度に歩けない」「日陰が欲しい」――足腰の弱った高齢者や乳児を抱いた人、幼児を連れた人、怪我を負った人などが辛そうに歩く姿や地べたに座って休んでいる様子を見かけることがある。そういった人たちの声にきめ細かく応える地域に根ざした生活環境づくりが必要と考え、生活道路上や沿道にベンチを設置し休憩スポットを創出しネットワーク化することを企画・実践している。名付けて「おやすみ処」。
街中には、大小様々なデッドスペース(未利用地等)が、ゴミ溜めになるなど生活環境に悪影響を及ぼし、犯罪誘発等の問題も生じている。しかし、その空間は同時に、貴重な地域資源であり、都市計画的観点からその資源を冒頭の課題解決に活かせると考え、あらたな試みとして2002年に活動を始めた。
「おやすみ処」は、埼玉県戸田市内を中心に、JR高架下用地を借地し整備・管理するモデル施設をはじめ、行政の理解・協力と民間の機関・事業主・市民の参加・協働により、公道(占用許可)、医療・福祉・文化・体育・教育関係の各施設、事業所・個人店舗、マンション等の敷地(沿道)に、現在までに約50箇所を設けている。まち研究工房が中心となり官民協働で管理運営することにより、交通基盤、防犯・防災、環境・景観形成等の多面的機能をもつ新たなコミュニティ・インフラのモデルのひとつである。
病院や大規模マンション周辺の沿道にも「おやすみ処」が新設され、間隔距離が短くなるなどネットワークが拡充し、行動範囲が広がった、外出機会が増えたといった利用者の声も寄せられている。
ベンチの設置と併せて緑化、周辺清掃等により街角の景観の改善や環境美化が進み、通学路周辺の「おやすみ処」に近所の市民が常にいることで、子どもたちの見守り(防犯)などにも寄与している。また、「おやすみ処」設置店舗の中にはこども110番に参加している事業者も多く、さらに参加を呼びかけ、ネットワーク全体でのこども110番の充足を図っている。
まち研究工房が直接整備・管理運営している「おやすみ処」には、ハザードマップ、防災用具、救急救命手順を記したパネル、非常時兼用の雨水タンク等を設置しているほか、避難誘導標識や緊急用所在報知板の設置など警察・消防と連携したシステムづくりを視野に入れて活動を展開し始めている。
「おやすみ処」活動に賛同している店舗等のネットワーク母体を『「おやすみ処」ネットワークショップ』と呼び、まち研究工房が中心となり、「街かどミニ野菜市」(「おやすみ処市」)等の共同イベントも開催している。連帯感の醸成とともに、商店街の活性化や地域交流事業、扶助活動等、公益性・地域性のあるネットワークづくりを図っている。
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■主催者賞
地域防犯は「車の両輪」―生命・財産の安全、暮らしの安心ある防犯まちづくり― |
愛知県 岩成台一丁目町内会防犯隊 |
春日井市岩成台一丁目は、大規模団地内の戸建て住宅からなる住宅地であったが、高齢化と人口の流出が進み、通りを出歩く人が減少しており、いわゆる「人の目」が少ないことが犯罪企図者に好都合な環境をもたらしているのではという危惧があった。実際に10年前に町内で空き巣や不審者があったことから危機感を覚え、町内会員による自主防犯組織を立ち上げた。当時、近隣にはまだ手本となる活動がない中、専門家や警察の話を聞きながら、自らのやり方を検証しながら活動を進めていった。
そこから得たテーマが「地域防犯は車の両輪」だった。町内全体が結束する一方で、各人各戸がしっかりとした意識を持ち、全体と個が両輪となって機能しあうまちづくりを目指してきた。
活動の柱は、住民パトロールと防犯だよりの2点。
特に防犯だよりは、月々、交番から周辺の20の町について、いつ、何丁目で、何があったかを克明に聞き出し、それを独自に分析・加工して活動前と後の比較を掲載している。直近の地元情報をもとにした防犯意識の啓発活動である。
住民パトロールは、全参加者を希望曜日・時間帯別に3〜4人ずつの班に編成し、週1回の巡回を行なっている。
この2点を柱に、警告カードやちょっとパト(腕章を着用して一人でもできる防犯活動)の考案、ひと声あいさつ運動、ゴミ出しルール、路上駐車、空き地の雑草・雑木刈り、防犯灯の増設など、総合的な対策を投入してきた。結果として、当町をはじめとして周辺の町までも犯罪激減の効果を得ることができた。さらに、住民に新たなコミュニケーションが生まれ、地域で失われた人間関係が回復に向かっている。
今では、活動は、町内にとどまらず、「まちづくり担い手人材養成講座」や「防犯教室の開講」など、広く他の地域にまで対象を広げ、新しい防犯まちづくりに取り組んでいる。
これらの活動の結果、次の点が評価された。
・防犯というどこのまちにも当てはまる課題だが、町内会などの団体だけに責任を持たせるのではなく、個々人の意識を両輪のひとつとして高めている。児童への教育やまちづくりの人材育成まで事業が発展しつつあり、今後の展開に期待できる。
・防犯だよりの配布という、一見すると地味な活動でありながら、その防犯だよりに記載されている内容が非常に充実しており、真剣に防犯に取り組んでいる。
・地域防犯に成果をあげており、同様の問題に取り組む他地区のモデルケースになる。
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■主催者賞
地域医療を通じた高齢者の健康づくり・生きがいづくり、地域の活性化ならびに学生教育などへの取り組み |
徳島県 NPO法人山の薬剤師たち |
木屋平地区は、高齢化や人口減少により地域住民の健康維持や地域の活性化が重大な課題となっていた。従来は、地域で唯一の医療機関である診療所が木屋平の医療を担っていたが、地域医療の充実を図るため、平成21年に「NPO法人山の薬剤師たち」を立ち上げ、翌年4月には診療所の近くに「こやだいら薬局」を開設した。同薬局を拠点とした活動を開始したことにより、医療の充実、住民の健康意識などの向上に貢献している。また、行政、地元大学、各種団体、診療所、および薬局が連携し、地域住民との交流を通じて共生・共同の地域コミュニティが構築されてきた。
○主な活動
@地域医療への貢献
診療所と連携して、在宅医療を支える一員としての訪問薬剤管理指導に取り組み、訪問先や薬局内での患者への効果的な療養指導を行なっている。定期的に、医師・看護師・薬剤師・保健師・ヘルパー・事務などが集まり、患者の効果的な療養について協議するケアカンファレンスを行ない、効果的な療養指導に結び付いている。
A地域サロン活動への参加
木屋平地区の15の集会所で行なわれていた木屋平ふれあいサロン(美馬市社会福祉協議会)に参加し、全集会所で健康教室を行なっている。当初、健康教室は薬局内で行なう予定で、サロンを開設して住民に声かけをしてみたが集まらなかった。交通不便なところで一か所に多くの住民が集まるのは困難であることに気付いた。そこで、住民の住んでいる場所に出向くようになった。各地区の集会所を訪問し、住民との親近感が生まれ、生活環境鵜を的確に把握できるようになり、より効果的な健康指導に結び付けることができるようになった。薬局内の健康相談に比べると、はるかに多くの具体的な質問が出てくるようになった。地域住民の健康に対する意識の向上を実現できた。
B地域活性化への取り組み
地域のイベント「こやだいら産業祭」に関わる。日頃、木屋平地区に来られない会員も参加し、住民の薬の相談を受けたり、高齢者や子どもたちとともに入浴剤づくりの体験など、世代を超えた交流を持つことができた。また、春と秋に地域で行なう清掃活動(道づくり)にも参加。高齢者には危険が伴う作業なので、当法人の会員や大学生の参加を呼びかけ、地域住民と一緒に作業を行なっている。
また。地域福祉活動計画として、住民行政保健医療福祉の関係者が一体となり、「こやだいら創作食(主に薬膳料理)」を検討しており、同地区の名産づくりにも取り組んでいる。平成23年度春には試食会を開催した。住民の生きがいの一つともなっている
○評価された点
・「薬剤師・薬局による地域住民の見守り」という新しい挑戦である。薬剤師たちが仕事を超えて(自己の殻を破り)地域に貢献しようとする試みに注目したい。
・過疎高齢化地域における薬剤師、薬局による地域・地域住民の見守りという新しいチャレンジは、非常に地域の高齢者の安全、安心に貢献している。看護師の本来の業務を向上させるとともに、地域外の医療関係者との交流を行うことにより、より広い地域での連携が生まれてくるものと期待している。全国への波及を期待したい。
・過疎地域の医療問題に薬剤師・薬局を動員し、新しい可能性を提示している。
・専門職からの地域貢献は興味深い。
・医療活動に携わる資格を持つプロとして、自分の「殻」を破り積極的に地域を支えようとしている。
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■振興奨励賞 |
岩手県 NPO法人ハックの家 みんなといっしょに―障害者の社会参加プロジェクト― |
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秋田県 のしろ白神ネットワーク 人を包む優しいまちづくり |
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茨城県 元気クラブ 高齢化社会をどう生きる |
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茨城県 NPO法人友の会たすけあい 送迎サポート14年の歩み |
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茨城県 NPO法人“矢中の杜”の守り人 地域の文化遺産「旧矢中邸」を舞台とした若者たちによる新しい場づくり |
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茨城県 清水洞の上自然を守る会 パートナーシップで管理運営する自然公園 |
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栃木県 那須塩原市生活学校 地域社会のニーズを受け止め行動する生活学校 |
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東京都・長野県 こもなみ倶楽部 農的作業体験を通して動植物の循環・経済の循環・人の縁の循環を学ぶ |
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東京都 NPO法人ソーシャライズ 地域の資源を集め各人協力で実現「銭湯で遊ぼう!」 |
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新潟県 比角地区子ども育成会 安全安心 支え愛いっぱいのまちづくり―子どもの居場所づくりを通して― |
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山梨県 NPO法人富士川・夢・未来 広域の地域活性化を目指した中間支援 |
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静岡県 NPO法人エコロジーアクション桜が丘の会 未来を見据えた地域ぐるみの環境活動 |
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静岡県 NPO法人ポレポレ 子育てへの思いが人と人をつなぎ、地域を変えたポレポレ発「住んでよし」のコミュニティづくり |
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静岡県 NPO法人せんがまち棚田倶楽部 日本の原風景・農村文化の棚田の保全・復活と、ヒトと生きものでにぎやかなむらづくり |
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兵庫県 あこがれ千町の会 限界集落に挑む「あこがれ千町の会」の挑戦 |
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奈良県 橿原市 ふれあいin新沢実行委員会 地域のきずな〜安全・安心のまちづくり〜 |
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島根県 波多コミュニティ協議会 10年後も明るく、困った時に助け合える波多地区を目指して |
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広島県 NPO法人小河内Oプロジェクト 使用済み割り箸炭リサイクル事業で過疎地を活性化 |
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徳島県 NPO法人ほっとハウス 障害者が地域に溶け込み、共に進める防災活動 |
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徳島県 NPO法人子育て支援ネットワークとくしま お母ちゃんたちの子育てネットワーク奮闘記 |
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熊本県 NPO法人小町ウイング コミュニティ再生のまちづくり・くらしづくりを市民主体で―「ワ―っ!すいかでハローウイン」がすいか祭りになったよー!― |
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沖縄県 西表島農家援農環境ネットワーク 農業ボランティアの受け入れと地域活性化 |
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