「私たちの生活学校」160号掲載
分科会

第1・食育の分科会
地域を元気にする食育とは何か
(順不同・敬称略)
【助言者】
渡辺満利子  生活学校運動中央推進委員、昭和女子大学大学院生活機構研究科教授
白水忠隆  生活学校運動中央推進委員、読売新聞東京本社編集局生活情報部長(分科会実行委員会に参加。当日は第6分科会に出席)
【司会者】
久原加寿子  太地生活学校(和歌山県)
【事例発表】
千葉しのぶ  NPO法人霧島食育研究会(鹿児島県)
木内英子  緑区食生活等改善推進員会(神奈川県)
土田恭子  となみの農産物生産グループ協議会(富山県)
(以上、あしたのまち・くらしづくり活動賞「食育推進活動部門」入賞団体)
【実行委員】
米山奉子  船橋市ふたわ生活学校(千葉県) 
石井直江  韮崎市生活学校(山梨県)(問題提起者)
安岡冨士子  高知県学びと結びのネットワーク協議会(高知県)(問題提起者)
【全国生活学校連絡協議会】
廣政恵美子  全国生活学校連絡協議会副会長、山口県生活学校・生活会議推進協議会会長


 地域で食育に取り組むにしても「どこから取りかかったら良いのか」といった戸惑いの声が聞かれる。そこで分科会に先立ち「食の実態と生活習慣に関する調査」を行ない、食育の具体的課題を挙げていくとともに、活動事例を基に他団体との協力の仕方などを話し合い、食育をテーマに地域でどんな活動が展開できるのか、活動をさらに一歩進めるために何が必要か協議を深めていった。
 協議を通じて、「国及び地方自治体は、地域での食の実態を的確に把握し、望ましい食の実現に向けて、より実効性のある施策を進めるように努めること」を決議し、またこれからの取り組みとして「地域における食の実態を把握するとともに、より多くの人たちに、食の大切さを伝える取り組みを進めよう」「食育の背景となっている生活習慣に注目し、家族や、地域住民同士の触れ合いが広がり、地域全体に活力が生まれるような活動に取り組もう」という2点を申し合わせた。(協会・川越)


「食の実態と生活習慣に関する調査」の概要と、食育の有効な取り組み方について
生活学校運動中央推進委員 渡辺満利子さん

 まずはじめに「食育」とは何かをはっきりさせたい。@健全な食生活の実現、A健康と食を考える習慣、B食の知識・選択する力、C食文化の継承、が挙げられる。
 なぜいま食育を取り上げる必要があるのか。食育基本法はできたが効果的な具体策は示されていない。そこで今年の分科会に先立って、成長期の子ども達とその親にターゲットを絞り、実行委員の地元である山梨県韮崎市および高知県高知市・南国市の中学校の協力を得て、食習慣と生活習慣についての実態調査を行なった。その結果から見えてくる課題と、食育の目標をどこに絞るべきかを挙げていきたい。
●食習慣と生活習慣についての実態調査から
 今回行なった韮崎と高知及び東京の3地域における調査結果から、女子生徒とその保護者を対象に比較する。
○BMI(体格指数)について
 体型を図る数値として、BMI(体格指数)=体重(s)を身長(m)の2乗で割った数字。望ましいとされるBMI値は「22」だが、今回の調査結果では「18・8」であり、痩せすぎの傾向が顕著といえる。
○体型認知
 自分が適正体重だと思っている子どもが地方では4割もいる一方で、調査結果からは痩せすぎの数値が出ており、痩せ願望が顕著だ。
○食生活指針の実施状況について
 「自分の適正体重を知り、日々の活動に合った食事量をとる」のは3割に満たず、「夜食や間食をひかえる」のは約3割ということから、好き勝手に食べたいものを食べている現状が見えてくる。食育の上で、適正体重は明確に示す必要がある。
○ダイエットの知識
 ダイエットには「油を抜く」「ごはんなどの穀類を減らす」と痩せられると思っている割合が3割もいた。
○自覚症状
 いらいらする子ども達が多く、全身のだるさを感じる割合が、都市部で半数近くと非常に多い。
○生活習慣
 テレビ、メール、インターネットに費やす時間が非常に長い。家族一緒に夕食を取っている割合は、地方が4割、都市は2割だった。
○なお、男子と女子との間の比較では、痩せ願望、ダイエットの知識、健康満足度ともに大きな差はなかった。異なる点としては、いらいらの自覚症状が男子には少なかった。


地域の状況と今後の取り組みについて

 次に、調査対象地域となった2地域の実行委員から、調査を踏まえた今後の食育への取り組みについて報告してもらった。
●山梨県・韮崎生活学校 石井直江さん
 これまでの活動から地元中学校との協力態勢ができていたので、今回の調査実施においても、市教育委員会、学校長、学校栄養職員からの理解を得ることができた。
 以前にも、生活学校独自で食生活の調査を行なっていたが、設問数が少なく漠然とした調査になっていた。今回の調査では、食生活、健康、生活習慣、BMIといった様々な面から問題点が明確になり、活動の方向性を探るのに参考になった。
 一定の年齢まで成長した子どもの食生活や生活習慣は、なかなか直りにくい。調査結果を基にして、どのような改善指導をしたら効果が上げられるのか。自分たちの生活学校単独の力では、中学生への対応に難しさを感じる部分もあるので、学校栄養教諭の配置が実現される事を期待しながら、当面は学校栄養職員と情報交換を行ないつつ食育に取り組んでいきたい。
 また調査からは、大人のライフスタイルが子どもの生活リズムや食への意識に大きく影響していることが分かった。皆で「これなら出来る、やってみよう」という簡単な事を考え、生活学校運動として推進拡大していく必要を感じている。
●高知県学びと結びのネットワーク協議会 安岡冨士子さん
 高知では、南国市と高知市の中学校を対象に調査を依頼した。ここでは、南国市の小学校で実現した米飯給食の取り組みを紹介したい。
 南国市は二期作地帯として有名だったが、棚田を中心に耕作放棄が目立つようになり地域の農業は苦しい状況にあった。そんな中、目の前で苦労して作られている米を子供たちにおいしく食べさせることはできないかと、栄養士や学校給食現場に携わる人たちから上がった声で、地場産の米を使った米飯給食が実現した。各教室に家庭用炊飯器を4台据えてご飯を炊くことで、炊き立てを給食として出せるようになった。
 この取り組みによって、食材を作る生産者の顔が見えることが、子供とその保護者や、生産者との間に絆を生み、地域の生産者を勇気付け、地域全体の活力へと繋がっていった。今回の調査結果を踏まえて、これまでの取り組みが子どもの食生活にどのような影響をもたらしているかに注意を払いながら、学校と連携して幅の広い食育に取り組んでいきたい。
 また、会場からも次のような発言があった。神奈川県の参加者からは「女性の考え方として『私の時間がなくなるので料理を外で買う』という人が増えているように感じる。どうしたら意識を変えることができるのか」「家庭の聞き取り調査をしたところ、子育て中の親でも、世代によって意識の違いがある。食べ方に違いがあるのだろうか?」という疑問が寄せられた。
 これについて渡辺さんからは「食の正しい情報を知るには、世代とは必ずしも関係せず、家庭条件の方が影響が大きい。最も大事なのは、自分の本来望ましい体格を子ども自身が知ることだ。」と話した。
 また、群馬県の宮本町生活学校からは「食に無関心な親へのアプローチをしてみた。学校と協力して、バイキング方式で食事をする機会を設けたときに、親子ともに好きなものだけを食べている現状を見て驚いた。そこでランチョンマットを作って、実際の配膳に基づいたバランスの取れた食事の選び方を示したところ、みんなが関心をもって集まってきた。豊富な食材を活かせるはずの群馬でも、今の親にはまだ伝わっていない現状がわかった」と報告があった。千葉県の船橋市生活学校連絡協議会からは、「船橋の生活学校では、若い親達が集った子育て教室で、郷土食の太巻きずしを作っている。今年から生涯福祉施設22か所へ太巻き寿司を持参し、社会活動へつなげている」との報告があった。
 渡辺さんから「まずは、一人ひとりの健康の目標を具体的に設定しよう。その上で何をどれだけ食していくのか、そのためにできることは何かを考え、地域の人に伝えていくことが、食育を通じて確実に効果を挙げるためには必要なことだ。」と呼びかけがあった。

●午後の部では、今年の「あしたのまち・くらしづくり活動賞・食育推進活動部門」の入賞3団体から活動紹介があったので、概要を掲載する。

内閣総理大臣賞受賞
NPO法人霧島食育研究会(鹿児島県)
 町が行なった「健康に関する調査等」の現状を踏まえ、霧島の食育を推進する必要があると考えた地元の栄養士、食生活改善推進員、教員、社会福祉士、女性団体等のメンバーが平成16年1月に霧島食育研究会を発足させた。
主な活動は次の通り。
@「子どもと大人のための霧島食育プログラム」の開発と実施。地域の現状に合わせた食育活動のプログラムを提案し、地区内の各団体からの依頼を受けて実施している。
A「霧島・食の文化祭」を年1回開いている。町内の家庭から持ち寄った270皿の料理の展示や霧島に残る行事食の展示などを行ない、のべ1200人が参加した。
B「霧島たべもの伝承塾」を月1回実施。昔から家庭にあった食べ物を、町内のベテラン主婦の方々に講師を依頼し実施している。
C「霧島スローライフ農場体験」の開催。町内の畑を借用し「霧島スローライフ農場」と命名し、大豆の植え付けから収穫・加工を行ない、食の文化祭でのみそ汁の販売まで実施している。
 活動を通じて「霧島の食の現状を正確に把握する」「知識ではなく知恵を学ぶ」「家庭や地域に伝わってきた食べ物や生活の知恵を実感し、食べ物が口に入るまでいろいろな人の手が関わってきた事に気付く」ことなどを目標にしている。

内閣官房長官賞受賞
緑区食生活改善推進員会(神奈川県)
 平成15年に行なった「おふくろの味」実態調査をきっかけに、緑区民全体の野菜摂取量増加を目指すことを目的にした「緑をたっぷり召し上がれ」事業に取り組み、緑区福祉保健センターと協働で実施している。
 活動内容は@地場の野菜を使った料理集と、緑区内のウォーキングマップをまとめた小冊子を作成し、健康と地場産野菜の普及を同時に図る。A緑区の野菜とウオーキングを反映したイメージソングの作成と体操の企画と実施など。地域の人々が楽しみながら取り組める食育実践プログラムは、子どもや若い世代に向けたふれあい交流等の活動で地域の食育の推進へと展開し、実績を挙げつつある。

主催者賞受賞
となみの農産物ネットワーク協議会(富山県)
 野菜作りに取り組む農村女性グループを中心に、営農組合、農協青年部、中核農家等、21の生産グループや個人で作る組織からなっている。
 砺波市学校給食センター、富山県砺波農業改良普及センター、JAとなみ野と連携して学校給食に地元野菜を利用する「砺波型」地産地消の体制を作り、給食センターで使用する野菜量の20%を賄っている。
 また、給食に使われる野菜作りや出荷作業を子ども達が取材する「学校給食子供特派員報告」に協力し、収録したビデオは市内の幼稚園・小中学校の給食時間に放映される。親子で野菜作りを体験する「農業ヘルパー」や、中学生が農作業を体験する「体験授業」にも協力している。こうした活動が実り、給食の残食料が減少している。

第2・子育て支援の分科会
地域の力を活かした子育てを!
(順不同・敬称略)
【助言者】
松田宣子  生活学校運動中央推進委員、フリージャーナリスト
【司会者】
五十嵐マリ子  子どもの文化環境を考える会、実行委員(神奈川県)
【事例紹介】
赤迫康代  NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん(岡山県)
吉岡美夏  子どもが育つまち天白 天白子ネット(愛知県)
池上直美  ちびっこ夢ランド(熊本県)
(以上、あしたのまち・くらしづくり活動賞「子育て支援活動部門」入賞団体)
宮下玲子  ふじよしだ生活学校(山梨県)
【実行委員】
弥永佐智子  船橋市とうぶ生活学校(千葉県)(事例紹介)
渡辺良子  ふじよしだ生活学校(山梨県)
黒岩七女  せせらぎ生活学校(長野県)(事例紹介)
久保祐子  東京都
関田悦子  東京都
【全国生活学校連絡協議会】
幡井政子  全国生活学校連絡協議会会長、あすの兵庫を創る生活運動協議会会長

 この分科会では、事例発表等をヒントにしながら、「こんなことができたよ」「まだ、こんなことができるよ」という地域での子育て支援についてグループ討議を行なった。その中では「孤独な子育て解消には、まず声かけで地域のコミュニケーションを」「支援グループと子育て中の親子のつながりをつくる」などの話し合いがあった。今回初めて子育て真っ最中の若いお母さんたちにも参加してもらい、「生の声」を聞きながらのグループ討議となった。(協会・藤田)


地域で取り組んでいる子育て支援―活動事例から学ぶ―

 分科会は、今年度が1回目となった「あしたのまち・くらしづくり活動賞」の子育て支援活動部門で入賞した3団体の活動紹介からスタートした。

内閣総理大臣賞受賞
NPO法人子ども達の環境を考えるひこうせん(岡山県備前市)
 活動の最初(平成13年頃)は、自分たちが育った頃と今の子どもたちが育っていく環境が違うんじゃないか、いろんな人の中で育ってほしい、だけど人が集う場・交流できる場がないという思いがきっかけで、子育て中の親が集まって広場を作ることから始まった。
 当時はまだ子育て支援に目が向けられる前で、「子どもは勝手に育つんだからそんな活動しなくても…」「公民館は子どもが遊ぶ場じゃないよ」など批判もあったが、こつこつと継続してきたことが活動を認められることにつながったのではないか。それで賛同者が増えて、担い手も多岐になり活動も乳幼児の広場だけでなく児童の広場、親の研修の場など取り組める内容も増えていき、ネットワークが広がってきた。
 活動を進めるうえで大きな体験だったのは、子育てネットワークの全国研究集会に参加したこと。そこで全国に多くの仲間がいるんだということを知り、自分たちの活動を振り返るきっかけにもなった。
 子どもが育つ子育て支援であってほしいと願っている。

内閣官房長官賞受賞
子どもが育つまち天白 天白子ネット(愛知県名古屋市天白区)
 活動内容は、未就学児を対象にした子育て支援をしているところと親子をつなぐというもの。具体的には、毎月3000枚以上を区内外に配布している情報紙「PAKUっ子」(写真)の発行。これは、0〜3歳児の子育て支援について、いつどこで誰が何をやっているかがひと目でわかる。転勤族が多い土地柄で、地域のつながりのないところでお母さんは初めての子育てをするという不安が一杯。話ができる仲間を見つけたい、先輩お母さんに相談したいときに、これを見る。冷蔵庫に張っておいて「今日はここに行こう」とか。まさにカレンダーになっている。
 子ネット自体が相談機能や活動を全て提供するのではなく、他のグループの情報を集約して提供する。もちろん情報提供だけでは分からないこともあるので、イベント等も開催し親子と支援者の出会いの場の提供もしている。
 いろなんところが手をつなぎ、いろんなところが親子をサポートしていく、その中で親子が一番自分が楽になる場所を見つける。そのための道具として「PAKUっ子」を提供している。

主催者賞受賞
ちびっこ夢ランド(熊本県和水町)
 平成9年に、町が提唱した里づくり運動のモデル地区として、行政に頼らない住民総参加型のムラづくりが始まり、平成10年に、旧三加和町十町地区住民の手で村づくり協議会「夢ランド十町」が立ち上げられた。その活動の一部門として、平成16年5月に「ちびっ子夢ランド」が発足した。
 活動は「できることを、できる人が、できるときに」をモットーにボランティアで取り組んでいる。子育てを終わった世代が中心となり、高齢者の生きがいづくりや子どもの居場所づくりを支援し、ひいては自らの生きがいづくりともなっている。
 活動内容は、歌や季節の行事、読み聞かせ、昔話、料理づくりなどの機会を子どもたちに提供している。
 引き続き、生活学校からの事例発表があった。

船橋市生活学校連絡協議会(千葉県)
 平成16年度から市内9校で「子育て教室」を開催している。対象は0〜3歳児と両親、会場は公民館。内容は、小児科医、看護師、子育て支援センター長からの子育てに関する話しや心肺蘇生法の実技体験など。両親が受講中は生活学校メンバーが託児を担当する。
 課題として、@メンバーの高齢化、Aテーマによりパパの参加が少なく、より多くのパパに参加してもらうよう学習内容を検討する、B公民館使用料の有料化による経費の問題がある。

せせらぎ生活学校(長野県須坂市)
 子どもは自力で育つ能力が備わっているとはいえ、親の状況によっては子どもが健全に育つことができない状況に追い込んでしまうのではないか。自分たちの時代と違って、今はとても複雑な仕組みの中で子育てをしている。私たちは子育てをもっと深く理解することが必要。
 子どもが健全で住みやすい社会環境にするために必要なことは親育てではないかと常に考えている。閉じこもらないよう、仲間づくりをし、お互い健全な交流ができ、明るく子育てをしてほしいと呼びかけ「この指とまれ」(子育てサロン)を発足した。
 まだまだ閉じこもり親子をどのように誘い出すか課題だが、参加しているママたちが口コミで誘い合ってくれている。

ふじよしだ生活学校(山梨県富士吉田市)
 週1回、お寺で0歳児から未就園児とその親が遊んでいく「ぴよぴよ寺子屋」を開催。平成15年に全国大会の子育て支援分科会に参加し、各地の取り組みに大いに啓発され、自分にできることはないかと思案した。その半年前、自分の娘が長男を出産し、都会の集合住宅での慣れない育児に閉塞感を味わっていた。その娘がたまに帰郷し、子育て中の友人と会うと、雰囲気が穏やかになっていることに気づき、「私だけが悩んでいるんじゃないんだね」と言った。「これだ!」と思った。
 子どもを遊ばせながら、お茶を飲みながらの情報交換や悩み相談は、和やかな中にも真剣。また、「子どもと触れ合いたい」と経験豊かなおばあちゃんたちが毎週手遊びを教えてくれるのも貴いこと。
「みんな違ってみんないい」子どもたちの輝く笑顔に、毎回こちらが癒される。欲張らず、自然体で長く続けたい。


グループ討議―つながり、孤独な子育ての解消、経済的支援―

 グループ討議では、@バラバラになっている地域の力を再構築し、地域のネットワーク、人と人とのつながりをどうつくるか、A孤独な子育てをどう解消するか、B経済的な支援はどうあるべきかを中心に討議を進めた。
 討議内容は次の通り。
【つながり】
@大切なのは、ひとりひとりが自分が何ができるかを考え、本音で語り合い、自分で・みんなで行動していく。では住民の立場でできることは何か。高齢者の知恵を借りる、住民に一番身近な組織である町内会・自治会の力を利用していく、そのために地域にある様々な力を人材バンクとして蓄える。
Aグループと支援を必要としているお母さんたちをつなぐ方法が見つからない。どこに困っている子育て中のお母さんがいるのか分からないし、お母さんたちはどこでなにをやっているのか分からない。これをつなぐために、行政は広報の充実はもちろんだが、定期健診時に地域で子育て支援をしているグループに協力をさせてほしい。そうすれば出会うきっかけが作れる。
B行政ができることは何か。一番は子育て支援の窓口を一本化すること。専門家・関係施設には、数を増やしてほしい、住民活動への場の提供をしてほしい。
Cネットワークが大事だが、それぞれが力をつけるために学習が必要。行政はそのためのシステム作りを。
【孤独な子育て】
@孤独な子育て解消のためには、声を掛け合ってコミュニケーションをつくる。そのためのきっかけづくりとして、お母さんたちが外に出る場(サークル、イベント、体験)をつくる。しかしもっと大事なことは家族で子育てを共有すること。夫にも教育・啓発し環境も整えていくこと。
A子どもにも親にも遊びながらいろいろなことを学べるよう体験プログラムを提供する、その際お客様扱いをせず、一緒にやる。
Bこれらのことを実際に地域でやる場合には、経験を伝えられる高齢者と親子の出会いの場を設ける(現代版三世代家族の創出)。
C子育て中のお母さんからは「公園デビューという言葉だけでどれだけプレッシャーを感じるか。『公園に行く』ではなぜいけないのか」といった胸のうちも聞かれた。
【経済的支援】
@児童手当の増額、保育所の増設・保育料の無料化。住民は一生懸命やっていても、ボランティアには限界がある。活動費助成は絶対に必要。
Aお母さんからは「健診費用が高い、産婦人科・小児科が少なく連携もないため、生みにくい育てにくい」という意見が出された。


まとめ

 これらを受けて、最後に松田宣子生活学校運動中央推進委員から、次のような助言があった。
 「『育ててやる』というおこがましい気持ちを持ってはいけない」「男女共同参画社会と言いながら、男性の育児参加はむずかしい社会状況。だけど、もっと子育て環境を改善するよう団塊世代の男性に企業等に発言してほしい」「地域の子育て支援施策をもう一度点検してほしい」「障害児、外国人家庭の子育て支援についても他人事ではなく考えてほしい」「なにより、地域で今回のような子育て中のお母さんたちとの話し合いの機会をぜひ作ってほしい」
 なお、始めて参加した子育て中のお母さんたちからは、「支えようとしてくれる方たちが地域にはいるんだということを改めて知った」「こういう人たちの中でなら、子育て中でも支える側になれるかも、と思った」などの感想があった。

第3・高齢者の暮らし分科会
高齢者の暮らしと地域活動
(順不同・敬称略)
【助言者】
稲葉抄子  神奈川県横須賀市社会福祉協議会地域福祉課長
脊古光子  NPO法人ねっとわあくアミダス理事長(静岡県)
仲田富三雄  東京都品川区高齢福祉課庶務係長
【コーディネーター】
竹腰里子  たばた生活学校代表(東京都)
【中央推進委員・助言者】
勝部三枝子  生活学校運動中央推進委員長
秦 靖枝  生活会議運動中央推進委員
【司会者】
来栖明美  府中市西部地区生活会議(東京都)
【実行委員】
佐藤さく子  昭和町生活学校(東京都)
高松とし枝  蕨ひがし生活学校(埼玉県)
藤井安子  ならしの台生活学校(千葉県)
【全国生活学校連絡協議会】
有馬妙子  全国生活学校連絡協議会副会長、宮崎県生活学校連絡協議会会長

 この分科会では、生活会議運動中央推進委員で、茨城県立医療大学講師を務める秦靖枝さんが、改正された介護保険についての説明を行った後、@見守り活動、Aサロンの開設・運営活動、B健康体操、食生活教室などの健康づくり活動、C介護保険の問題点の四つの項目別に分かれてグループ討議を行ない、グループ発表を素材に、地域で増えている高齢者の1人暮らしや高齢者世帯を対象にどういった活動ができるかについて話し合った。
 その話し合いをもとに「行政は、地域住民と積極的に協働をはかり、高齢者が住み慣れた地域で安全で安心して暮らせる体制の拡充をはかること」を決議。「地域の高齢者が安心して暮らせる地域になることをめざして、地域で日常的に助け合い、支え合う活動をしていくこと」と「高齢者が利用しやすい介護保険にするために、介護保険を利用者の立場から調べ、問題点の改善に向けた取り組みを行うこと」を申し合わせた。(協会・峯)


地域格差が大きくなる

 改正された介護保険についての説明した秦さんは、2010年には5人に1人が65歳以上と急速に高齢化しており、寝たきりの人の85%が半月以上の寝たきりで何らかの世話を必要とする人である。その世話をしている人の85%が女性で、しかも高齢の女性が介護を担っており、70歳以上の人が70歳以上の人を看る「老々介護」が増えている。
 介護費用は年々増え、とくに軽度の人の利用が増えた。今回の見直しのポイントは「ヘルパーなどケアに関わる人材の質の向上」「認知症高齢者のケアを進める」「介護予防サービスの導入」「自治体の権限の拡大」「施設のホテルコストや食費などの自己負担の拡大」など。
 新介護保険制度の課題は「高齢者福祉に熱心なところとそうでないところでの地域格差が大きくなる」「自己負担が増えた」「自己負担増で経済的に利用できなくなる」「介護予防事業の効果も疑問」があると指摘した。
 市民が積極的に参加して、行政に提言するとともに、市民ができることは自分たちで行うなど、行政と市民との協働による地域づくりを進めていかないと、高齢者が安心して暮らせる地域にはならないと強調した。


門戸を開けてくれない

 続いて行なわれたグループ討議の見守り活動では「個人のプライバシーの問題があって高齢者の情報入手が難しい」「声かけしても門戸を開けてくれない」などの問題点や、「見守りチームを作っている」「さりげなく見守ってはどうか」「地域に高齢者相談委員を配置して悩みなどを聞いている」「サロンで情報交換をしている」などの意見が出た。
 サロンの開設・運営活動では「担い手が高齢化している。若いお母さんの参加があるといい」「高齢者のためにジャンボタクシーを運行しているが経費の捻出に苦労している」「参加者のための保険はどうしているか」などの問題点や、「社会福祉協議会や民生委員と協力してやるといい」「高齢者にとって朝出かける予定のあることはいいことだ」「本人が高齢者だと思っていない」などの意見が出た。
 介護保険の問題点では「保険料が高い」「地域格差がある」「介護保険制度の中身が理解されていない」「介護保険と医療保険の挟間で悩む」「ケアマネジャーに格差がある」「ヘルパーに対する苦情が多い」「サービスが杓子定規だ」「サービスに制限がある」「利用したいが自己負担が増え利用できない」「認知症の方が地域に増えている。サポートが必要だ」などの意見が出た。


よい制度にするには声を出す

 こうしたグループ討議で出た意見を素材に話し合った全体協議で、脊古さんは、ねっとわあくアミダスではお弁当を配達する配食サービス、外出をサポートする移動サービス、生きがいデイサービスなどを行なっている。活動をしていて事故が起きたらどうするのか、責任の所在を明確にするためにNPO法人化した。法人化で事業委託が受けられようになった。
 高齢者が門戸を開けてくれないということだが、配食で訪れたら、倒れていたのを見つけ、助けることができた。高齢者の年齢はいくつからかということだが、動けて自分は高齢者だと思っていないかぎり現役だと考えていいのではないか、と話した。
 稲葉さんは、横須賀市内に17か所の地区社協があり、横須賀市でも地区社協がふれあいお弁当の配食サービスを行っている。福祉施設で弁当を作り、週4回、民生委員、社会福祉推進委員、ボランティアが配達している。弁当の配食は、門戸を開けて家に入れてくれるから、食事支援と同時に安否確認にもなる。高齢者は配食協力員とは話をする。その様子を民生委員につないでいる。
 地区社協は地元の核となる人とつながっているから地区社協ということで安心感もある。地区社協では町内会館を会場に高齢者のための「いきいきサロン」も開いている。今後、子育て支援にもなる保育サロンも進めたいと考えている。
 横須賀市は坂道が多く、ごみ出しに困る高齢者が多く、町内会の見守り隊が手助けしている。情報は足で集めるよりほかないと思うと話した。
 仲田さんは、介護保険制度の中身が理解されていない、学習の機会を設けるべきだということだが、介護保険制度の内容が分からなくても、まずは行政に相談することが大事だ。相談することで適切なアドバイスが得られる。積極的に相談を持ちかけるように働きかけてほしい。
 改正で、地域密着型サービスや小規模・多機能型サービス、地域支援事業などができるようになった。介護保険制度をよくするには声を出すことだ。制度をよくしたいと市民が声を出すことで行政も動く。声を出せない人のニーズを拾い集めて、つなげることも大事だと話した。


市民の力で安心して暮らせる地域に

 秦さんは、サロンなどに出て来ない人たちをどうフォローするかは大事なことだ。出てくれた人に対しては仲間づくりの活動を進めるといい。
 行政の壁を破るのも、違った力を集めて大きな力にしていくのも市民の力だ。市民の力で地域格差も是正できる。地域を変えるために声を出してほしい。
 担い手の高齢化がいわれているが、市民活動のゆるやかなネットワークを作ったら若いお母さんたちが入ってきた。こうした工夫をしながら若いお母さんたちと連携することも大事だ。
 人と人とのつながりがなければ安心して暮らせない。地域活動を広げて人と人とのつながりをつくり、安心して暮らせる地域づくりにつなげてほしいと助言した。
 勝部さんは、この分科会は、高齢者の1人暮らしや高齢者世帯が地域で増えている中で、生活学校・生活会議はそういった高齢者に何ができるかということと、改正された介護保険の2つを重ねて取り上げた。
 家に閉じこもって誘っても出て来ない高齢者も人と会い、しゃべりたいと思っている。声を出せない人たちの声を聞くためにも、勇気を持って訪ねていってほしい。
 介護保険は来年も取り上げてはどうかと思う。高齢者が利用しやすい介護保険にするために、どういった問題があるのか、介護保険を利用者の立場から調べ、問題点の改善に向けた取り組みをしてほしいと助言した。

第4・環境の分科会
地球環境を大切にするライフスタイルを広める
(順不同・敬称略)
【趣旨説明等・助言者】
金森房子  生活評論家・生活学校運動中央推進委員
【司会者】
藤原正子  延方生活学校代表(茨城県)
【実行委員】
我妻みと  船橋市つかだ生活学校副代表(千葉県)
中島マサ  横川生活学校代表(東京都)
【全国生活学校連絡協議会】
佐々木文子  全国生活学校連絡協議会副会長、北海道生活学校連絡協議会会長

 環境活動は一朝一夕にして成果の出るものは少ない中、生活学校の皆さんが、長年地道な活動に取り組み、実績を重ねてきていることを広く紹介することで、他の地域に繋がりを持てることをねらいとした。(協会・酒井)

○活動事例集の配布
 前述のねらいを実現するため、実行委員会では、昨年9月各都道府県協議会から推薦していただいた生活学校に活動状況の報告を依頼し、77校(県生活学校連絡協議会を含む)から活動報告を収集し、これを分科会資料として配布した。
○分科会会場を対話形式に
 分科会には、約80名の方が参加した。これを全員ができるだけ近い距離で顔を向き合わせて対話できるよう、司会・助言者席等を含め、机をロの字形に配置した。また、全員に参加者名簿を配り、発言者が分かるようにした。

○分科会の進行
 佐々木文子生活学校連絡協議会理事の開会宣言で始まった分科会は、藤原正子さん(茨城県延方生活学校代表)の司会により進められ、最初に金森房子助言者・生活学校運動中央推進委員から協会の環境活動の経緯の説明と分科会の趣旨説明が行なわれた。

 続いて事例紹介に移った。冊子掲載校のうちから活動ジャンルの異なる4校に事例紹介をしていただいた。

一、「大好きいばらきエコライフ運動」の推進
(紹介者:茨城県生活学校連絡会会長桐原悦子さん)
・茨城県生活学校連絡会では、昭和48年の第一次オイルショック以降、資源を大切にする運動(省資源・省エネルギー運動推進大会、牛乳パック回収運動、事例記録集、パネル展示等)に取り組んできた。
・平成18年度は、エコグループの登録運動、エコライフ運動キャンペーン
(「もったいないの気持ちを大切に」のちらし兼登録シート)、3R推進のためのパンフレット(実践報告・生活学校から4つの提言)の作成、すぐれた取組みの紹介(生活学校の運動大会…3月に開催予定)等を自治体と連携・協働して実施している。
・他にも県知事から委嘱された県地球温暖化防止活動推進員としての活動を実施

二、「ごみ減量の活動」
(紹介者:東京都横川生活学校運営委員長中島マサさん)
・地域の人々に「ごみを増やさない」ことの大切さを体感してもらう考えから、地域のイベント出店の模擬店で、容器と箸を持参した人々にのみ「すいとん」を配布しますという会報を事前配布し、当日はそのことを実施した。大人の参加者もごみをなくすという意識を少しずつ持ってきたと思う。
・コンテストで一位をとった利用勝手の良いマイバッグを2千枚も売ってきているが、使用している人は少ない。3R活動は、結局は「人づくり」である。

三、「行政・事業者と協働による活動展開」
(紹介者:大分県生活学校運動推進協議会会長小野ひさえさん)
・3R活動実践団体の運動促進の場作りを県下一円に広げる「ごみゼロおおいた探検隊」に県下各生活学校6校が応募し活動した状況が報道され、生活学校運動の波及啓発となった。探検隊の活動費が県の単年度予算によるものである中、現在4年次に入っているが、更に継続させるため、生活学校単独でなく地域の他の集団と共に活動する方策を模索している。
・5年前より実施しているエコショップ点検活動は、事業者の理解も深まりつつある中、不況の余波で廃業、転業する認定店もあり苦労が多いが、大分市で消費者団体が点検を連携して行う協働事業として予算化されており継続している。
・エコマネー「めじろん」(地域通貨)を入手しようと生活学校県大会で割り箸持参、袋回収、マイバッグ持参展示等を実施。全員に「めじろん」を配布し、事業者への啓発展開に努めている。
・消費生活展で再生品展示コーナーを設け、積極的にPRし、事業者に品揃えについて働きかけを継続している。
・青果物トレーの追跡調査は23年次を数え、行政・事業者に注目されている。
・以上のように、行政・事業者との協働、他団体との連携が進んでいる。予算が切れるという課題もあるので、必要な経費助成・支援を望んでいる。

四、「省資源・省エネルギー・ライフスタイルを確実にするための方法を開発」
(紹介者:静岡県生活学校連絡会会長平松節子さんと静岡県生活学校連絡会の皆さん)
・静岡県生活学校連絡会では、昭和58年度以降、毎年度テーマを設定し環境活動を行ってきたが、省エネ遊具を使っての活動の評判が良く、県民講座、幼稚園、小・中学校向け講座の開催を活発に行ってきている。県外の生活学校からの貸出要請もあり、また、他団体からも催事への参加要請も多い。
・そうした活動は、県・市町の行政にも認められ、長年継続してきているのでメンバーの育成が進み、内容の濃い活動を展開している。
・遊具は、手作りで経費をかけないよう努力している。
・百聞は一見にしかずということで、実物を持参した(特大サイズなので、事前に宅配便と車で会場に移送した)。では、実演風景をご覧いただく。

○決議・申し合わせ(案)の作成
 残り短い時間の中、参加者は次々と意見を述べ、それぞれの想いを決議と申し合わせの中に盛り込んだ。

○分科会の成果
 紹介事例に対しては、参加者から次々と質問が出、活発な意見交換が行なわれた。
 今回は、事例集のうちごく一部が紹介されたに過ぎないが、お互い学びあう良い機会になったのではないかと思われた。
 四つの事例に共通しているのは、他の団体と連携し、行政と協働して活動していることである。生活学校だけの力は小さくても、他団体・行政と交流することにより、新しい情報を得、また、生活学校のPRができることをこれらの事例が証明している。
 なお、今回の環境の分科会は、企画の段階から資料作成、当日の運営まで実行委員(藤原さん、中島さん(以上前出)、我妻みとさん(千葉県船橋市つかだ生活学校副代表)のお三方が精力的に準備されたご苦労が実を結んだものであることを感謝している。

第5・地域と学校の分科会
子どもがいきいきと生活できる地域、学校、家庭にするために
(順不同・敬称略)
【助言者・中央推進委員】
加田純一  生活学校運動中央推進委員
【司会者】
田丸せつ子  あすか生活学校代表(東京都)、全国生活学校連絡協議会副会長、東京都生活学校連絡協議会会長
【助言者】
三原 徹  東京都足立区・五反野小学校校長
吉村ゆかり  東京都北区・西ヶ原小学校養護教諭
【実行委員】
濱田敏子  吉田子育てネットワーク生活学校代表(新潟県)
松川豊子  山梨市生活学校代表(山梨県)
矢野みずや  大田区生活学校連絡協議会代表(東京都)

 第5分科会「地域と学校の分科会」では、体力、学力の低下、社会規範への関心の希薄化、また、いじめなど、現在の子どもをめぐる様々な問題点を、学校教育の現場で確認し、コミュニティスクール制度導入も含め、解決のための地域と学校、家庭の役割を話し合った。その結果、@解決のためには、家庭の役割が大きいが、その機能が低下しているとして、地域の小・中学校は、家庭が子どもの生活を見直し、是正していくための情報の提供など積極的に行い、家庭の機能を再生し、高めていく役割も求められている、A地域は、学校との連携を深めるだけでなく、小・中学校が家庭への働きかけなど、その役割を果たせるよう支えていく必要がある、Bその一つとして、現在、文部科学省が推進しているコミュニティスクール制度を地元小中学校が導入するよう、教育委員会に働きかけるとともに、委員など積極的に関わっていく等が確認された。(協会・徳丸)

 午前は、「子どもの問題」「地域と学校の連携」「いじめ」などのテーマごとにグループ討議を行なったが、まず、その前提として、全国フォーラムの関連分科会で野内容について確認するとともに、朝食や十分な睡眠時間をとった子どもたちの学力が、朝食抜きや夜型生活の子どもたちより学力や運動能力が高いことなどの文部科学省などのデータや、「早寝、早起き、朝ごはん運動」など、最近の子どもの生活見直しの動きについて報告があった。
 午後は、小学校の校長、養護教諭を交えて、子どもの生活や家庭の状況について、また、いじめについて、さらに、コミュニティスクールの内容、役割について協議、各テーマについて、以下のような、意見や提案が示された。


家庭の状況が悪くなっている

 養護教諭である吉村先生から、子どもまた家族の考え方について「以前はよく噛むことが栄養につながると考えられたが、今は、あまり噛まなくても食べられるハンバーグなどが好まれている」ことや、家庭との関係で「入学前に、保護者に子どもが食に関してアレルギーの症状があるか尋ねたところ、『ある』と回答した子どもが多かった。保護者会でよく話を聞くと、子どもに好き嫌いが多くて、学校に入ると無理やり食べさせられると困るのでアレルギーがあると書くと、何とか大目に見てくれるのでは、ということで回答したということであった」と、保健室から見える一端が紹介された。
 会場からも、グループ討議の意見として「子どもが夜遅くまでテレビを見る、親が朝食を食べさせない、登校時に学校に立っていると母親が子どもをむやみに叱る。公民館で地域の人と子どもを遊ばせると、赤ちゃんを抱いたことのない人が母親になっている。具体的に家庭にどう働きかけていけばよいか、家庭が考えているより非常に悪い状態になっている」「家庭において子どもたちの親の社会観が薄れているため、子どもの教育ができていない」などの、意見が出された。
 加田中央推進委員は、子どもや家庭の状況について「行政が、早寝、早起き、朝ごはんの大切さを言わざるを得なくなった家庭になっていることは恥ずかしいことである。給食費を払わなかったり、始業時間を遅くしてほしい、など非常識な要望をする親も多い。生活学校などが、そういう分からない人を変える役割をしなければならない時代に来ているのではないか」として「そのために、コミュニティスクール制度は、親に、特に母親に子どもの生活に、関心をもってもらう一番いい手段だと思う」と、その導入を地域で進める必要性、目的を説明した。
 コミュニティスクールについて、逸早く制度を導入して成果をあげている三原校長から、「コミュニティスクールは法律に基づいた制度で、保護者代表と地域住民代表(学校代表や行政代表がはいることもあるが)が学校の運営について、コミュニティスクールに指定してほしいと教育委員会に申請をして認められる。これまでの学校と、どこが違うかというと、人事、予算、教育方法などについて、代表たちが考えたり、まとめたことを学校に意見として言うことができる。言われた学校や教育委員会はそれを尊重しなければならない制度。地域住民などが重要な提案をしても学校に聞いてもらえないようであれば、コミニティスクールは有効な手段」と説明した。
 三原校長は、さらに、「五反野小学校は、開校当初、備品や体育館などが整備されていなかった。地域の人たちは廃品回収やバザーや寄付金を集め、1億円近くの金を集めたが、それをもとに行政に体育館を何とかしてほしいと要望した。その経験が、地域と結びついた学校づくりをわれわれもやっていこうということに結びついた」として、コミュニティスクールになって「パソコンを教えている人、調理師、お習字の先生などが、地域に居住しており、地域の力が手伝うということで、土曜スクールが発展した。常時地域の人が学校を使ってやっている。理科の実験もあれば、そろばん、英会話も行なわれている」ことなどを紹介した。


学校を変え、親を変える

 さらに「もうひとつ、学校評価である」として、「授業を土曜日も含め、1週間、保護者や地域の人々に公開し、教室は整理されているか、子どもがちゃんと先生の話を聞いているか、など、子ども、教室の様子、先生の教え方などを評価してもらう。子どもが落ち着いて事業を受けていないなど問題点があれば、担任等と話し合い、改善のための目標を持って授業に当たってもらう。その目標については、保護者、住民に伝えられる」とした。その結果、「地域の人々から、先生が本当に変わったという評価を受けるまでになり、地域の協力度も高くなってきている」ということであった。
 こうした学校、地域の姿勢が家庭にもいい影響を与えているとして、加田中央推進委員も「五反野小学校では、保護者が学校にもっと宿題を出してほしいと要望、学校も受け入れた。そのため、親たちが子どもの宿題を真剣に見るようになり、8時以降のテレビは見ない、というようになり非常にいい結果が生まれたという記事が出ていた」として「親を教育できるのは、学校しかない」と述べた。
 このことについて、三原校長も「子どもは学校にまかせたというのではなく、保護者と地域と学校で子どもの教育をしていく。五反野小学校では保護者も地域住民も、できることを一緒にしてほしいという依頼をしている。学校で勉強するだけでなく、家で宿題を一緒にやり、子ども達が一生懸命に考えたり、書いたりすることを見てやって欲しいと依頼している」としたうえで、「箸をフォークのように突き刺して食べる子がおり、箸と鉛筆の持ち方は共通したものがあり、箸の持ち方を教えておいて欲しい。授業時、落ち着かず、そわそわする子どもがいる。絵を描いても、本を読んでもいいので、学校の授業時間の45分くらいは集中できるようにしつけて欲しい。また、小学校は集団登校で、子どもだけで行き帰りをする。帰宅したとき母親は、カラオケに行ったり、パチンコに行ったりせず、家にいて欲しい」と、新入学前の学校説明会の時、地域住民である学校理事長が、保護者にお願いするなど、地域も一緒になり、家庭へ働きかけていると説明した。


コミュニティスクール制度導入の推進役に

 司会の田丸さんは、「地元の小学校がコミュニティスクールになるが、生活学校が関連したのは全国的にも初めてのケースだと思う。教師にも、教育委員会にも不安があったが、私たちが子どもたちと接し、雑誌やテレビで取り上げ、記録を教育委員会に提出するなど、地域の役割が必要だということを力説した」として、「地域の町会長や教育に関心のある人に声をかけてやっていけばいいのではないか」と提案した。
 加田中央推進委員は「学校は全国で3万8000校あるが、文部科学省がコミュニティスクール制度を導入しているのはまだ100校しかない。社会的には必要だと思うが、教育委員会の権限が制限されるなどの理由もあり、増えていない。生活学校・生活会議等地域活動集団がこの仕組みを増やしていかなければならない状況にきているのだから、コミュニティスクールの趣旨をよく理解し、もっと関心を持って普及するという運動を進めて欲しい」と述べた。
 いじめについては、加田中央推進委員は、「10年前にもいじめが問題になり、有識者から、家庭も含めた取り組みの提案がなされているが、その後、きちんとした対応がとられていなかったのではないか」と指摘した。
 吉村先生からは「今の子はコミュニケーションをとることが下手で、喧嘩をした時、『ごめんね』『いいよ』『お互いさま』とゆるすことができず、エスカレートすることも多い。40人クラスで、『人を傷つける言葉』について聞くと一回り半したが、『ほめる言葉』となると、半分しか回らなかった」ということを紹介した。
 また、三原校長は「今の子はおしくらまんじゅうや、馬とび、相撲のように体が触れ合う遊びをしていない。そのため、後ろに座っている子がちょっとつっつくと、ストレスを感じ、何するんだと過剰反応をする。子どもの手を握ると、何があったんだろう?と、ドキッとするような顔をする」として「触れ合ってもドキッとしない、いやだと思わないような、馬とびなどをやらせたらいいのではないか、ということも考えている」と説明した。

第6・レジ袋削減分科会
地球温暖化防止のため−地域の力で減らそうレジ袋−
(順不同・敬称略)
【基調講演】
小紫雅史  環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部企画課リサイクル推進室課長補佐
【アンケートの調査結果を分析】
黒田洋子  船橋市かつしか生活学校副委員長(千葉県)、実行委員
【生活学校運動中央推進委員・助言者・コーディネーター】
白水忠隆  讀賣新聞東京本社編集局生活情報部部長
【パネリスト】
井山利秋  東京都杉並区区民生活部生活経済課課長
中島和子  京都市生活学校連絡会会長
金山富士子  岐阜県生活学校連絡協議会会長
大内康子  栃木県那須塩原生活学校委員長、実行委員
【実行委員】
坂本幸子  横瀬町やまびこ生活学校(埼玉県)
熊代聖子  汝の花生活学校(東京都)
鈴木和子  全国生活学校連絡協議会事務局長

 昨年はレジ袋の有料化が法制化されるのではないかと、期待したが自由経済の現状ではそれが無理であることが判り、その後、地域において様々な取り組みがなされた。だが、依然としてマイバッグ持参率30%の壁は厚い。
 今回は各地域で取り組んできた活動事例を基に、この壁を破るには生活学校が今日まで取り組んできた活動のあり方について、どこに問題があり、なぜ、削減率が上らないのか、今までの活動のやり方を根本から見直し、レジ袋削減に向けた、効果的な運動を進めるために徹底的に話し合う。(全生連・鈴木)


一部 基調講演「容器包装リサイクル法」―改正の経緯と今後の展望―

 平成16年からの約1年半にも及ぶ中央審議会等による審議、答申を踏まえ、本年6月に改正容器包装リサイクル法が成立・公布。
○見直しの基本的方向
@容器廃棄物の3R(リデュース・リユース・リサイクル)。
Aリサイクルに要する社会的コストの効率化。
B国・自治体・事業者・国民等全ての関係者の連携。
○容器包装リサイクル法の成果と課題
@事業者の努力により、容器包装の軽量化等の成果が見られる。
A家庭から捨てられる一般廃棄物の排出量は横ばいとなっている。また、家庭ごみに占める容器包装廃棄物の割合は変らず、大きなものとなっている。
Bリサイクルは進んでいるが、家庭から出るごみは増えている。
C容器包装廃棄物の分別収集・選別保管に伴い市町村負担が増加している。
D特定事業舎の支払う再商品化委託料も年々増加している。
E再商品化義務が課せられているにも関わらず義務を果たさない、いわゆる「ただ乗り事業者」が未だ一定数存在しており、事業者の不公平が発生。
F住民と市町村の努力により集められた、ペットボトルの一部が海外に輸出されており、国内での再商品化の実施に支障が生じている。


二部 パネルディスカション

 レジ袋削減「30%の壁」をどうやって打ち破るか
○全国272の自治体から聞き取り調査を実施、そのアンケート調査を分析し参考資料とする。
白水コーディネーターより
 私はレジ袋削減についての専門的知識はあまりないので、今日のパネルディスカションは皆さんが今迄、経験されたパネルディスカッションとは多少、趣が異なるかも知れない。なんでそんな初歩的なことを聞くのかと、思われるかも知れないが、今日のパネリストの皆さん、また、会場の皆さんのご意見で私がなるほどと納得しないと、世の中は動かないと思ってください。昨年のこの分科会の議事録を読ませていただいて印象的だったのは「杉並区としては、あらゆる普及啓発・啓蒙活動をしてきたが、レジ袋削減30%の壁を破ることはできなかった」と言われていたことである。これは、生活学校運動にとっては、きちんと突き詰めて、どこがどう悪くて30%の壁が破れないか、どうすればこの壁が破れるか、生活学校全体として考えて見る必要があるのではないかと思う。
 削減の活動事例は「マイバッグ持参運動」・スタンプ制・自主協定と三つのタイプがあるが、それぞれがどう効果的で、どういう成果があるか、トータルとしてどうやったら実効性のある、目に見えて効果のある活動があるのか、皆さんと考えていきたいと思う。

活動事例の中から
○マイバッグ持参運動はもう一度全国的に普及啓発し、全国の生活学校主体メンバーが一人残らず参加するだけでも削減率は高まると思う。
○17年度のスタンプ制による削減運動では、2か月半で10万枚以上の削減ができた事は予想以上であったが、今年度は4万枚強であった。その原因の一つかと思われるのが、昨年はスタンプを20個押してあるはがきを、着払いにて応募できたものが、今年度は50円の切手を自分で貼ってもらうことにしたためなのか、あるいは、昨年参加しなかった人だけで、昨年の参加者はマイバッグ持参を継続しているから応募しなかったのか、是非とも後者のほうであって欲しい。
○「京都市レジ袋有料化推進懇談会」は京都市生活学校連絡会を始め地域の事業者・消費者団体等により、17年7月にスタートし、18年1月「域地自主協定」を結ぶところまで漕ぎ着けた。この間毎月地域の事業者・消費者・行政に呼びかけては会合をもってきたが、紆余曲折の日々を乗り越えての今日である。あえて言えることは、地域住民主導の会であったればこそ、此処まで来られたのかも知れない。自主協定終結後は生活学校・地域住民がどれだけの協力体制を維持して行くかにかかってくると思う。できればこの京都方式が広く全国に広がること、そして、全生連としてアクションを起こすことを望んでやまない。
○意識調査からみる行動ギャップ。市民・企業・行政の堂々巡り、社会的ジレンマの代表例「ポイ捨て、放置自転車、レジ袋」わかっているけど・・・これが残念ながら実態と言えよう。そこで、いよいよ、平成18年10月16日 杉並区レジ袋削減推進協議会、サミット株式会社、杉並区で協定書終結。行政のみならず、杉並区民の力が試される。
 消費者である杉並区民が、レジ袋有料化の実証実験店での購入を回避したのならば、これは杉並区民自らが選択したものであり、長年にわたりレジ袋削減運動を展開した杉並区と、杉並レジ袋削減推進協議会や、各種団体の運動成果そのものが問われるものでもあり、杉並区民全体で論議すき課題となる。

質疑応答の中より
○レジ袋削減に向けて何十年もやってきた。マイバッグを配っても「ありがとう」で終わり。それを有効利用しているかは疑問に思う。マイバッグ運動では無理。
○昨年有料化の法制化を強く望んだのは、一般消費者に期待しても無理、今日までの意識啓発活動・マイバッグ持参運動・スタンプ制による削減運動等でも削減率が上らないと、考えられるからこそ、法制化によるレジ袋の削減を強く望んだものと思う。自主的有料化が効果的だ。
○自主的有料化が一番有効であるが、それまではマイバッグ持参しか無い。生協でもレジ袋1枚5円にしたら90%にマイバッグ持参率が上った。
○「イオン」は全国でまず5店舗レジ袋を有料化する心算でいる。レジ袋を削減するには事業者と手を結ぶ様努力する事。そのためには生活学校得意の対話集会を開くのが近道ではないか。
○「イオン」はレジ袋の収益金を環境保全活動に使うといっているちょっとやそっとの、なまやさしいことで踏み切ることではないだろう。そうした事業者をこれからは買い支えていく仕組みを作らないとならない。(効果的活動の仕組み)
○レジ袋削減の効果について発表するということを、自主協定書のなかに入れたい。また、事業者の参加をどうするかは、自由にする。
○レジ袋しかりで、その他使い捨て時代が長すぎた。いかに無駄であるかを皆に伝えていかなくてはならない。
○リサイクル法改正に有料化が組み込まれなかったが「シュン」となってはいけない。私たちは全国組織を持っている、この大きな力を結集して、30%の壁は何としても打ち破らなければならない。


まとめ

 先程の井山さんからも社会的ジレンマの話が出たが、私なりに考えて見ると環境意識の高い人は買い物に行くときは、自転車か、歩いてマイバッグ持参している。どうでもいい人は車で行ってレジ袋を貰う。社会的ジレンマとはそういう意識を持った人が損をするような結果になるからジレンマというのである。ものごとを正しく考えて行動しようとする人は一定割合はいる。一定割合以上に増えないのは、そうしない方が楽だからで、長期的な問題は残すけどその要因が強い。その強い要因をどこで断ち切るか、というところが行動を変えるということ。
 また、皆がやれば私もやるという心理的メカニズムがどこかにある。相手が信頼できれば行動が変る、動機付けができるかも知れない。もしそうであれば本来生活学校が目指してきた運動というのがそこにあると思う。レジ袋削減にどう取り組むかを考える時、一人ひとりの気持ちをどう変えられるか、そのきっかけ、ノウハウを何処かの学校が見付けられないか、30%の壁がどこかで破れたらある面では「ふーっと」広がる可能性がある。何もルールをつくらなくても、そういう可能性に生活学校運動として賭けて見ませんかと言っているのである。ここまで減らそうという目標を立てて、「みんなでやろうよ」という気持ちが盛り上がれば行動が起こせる。議論のための議論はもういらない、実践活動で答えを出すこと。

第7・生活会議の分科会
地域力を高めるために、生活会議の役割を考える
(順不同・敬称略)
【助言者・中央推進委員】
伊藤光造  株式会社まちづくり研究所所長、生活会議運動中央推進委員
岡完治  財団法人あしたの日本を創る協会理事長、生活会議運動中央推進委員
【司会者】
西村 弘  とまり木生活会議(東京都)
【問題提起・事例発表】
工藤隆男  安平マチおこし研究所(北海道)
山根 誠  神奈川県横浜市神奈川区・親がめ会議代表
川口道子  NPO法人はかた夢松原の会の理事長、松原生活学校代表(福岡県)
【実行委員】
木村幸一  日本吹き戻し保存協会(兵庫県)
柴 俊男  玉川上水の自然保護を考える会(東京都)

 分科会では、地域に住む住民の思いや願いが実現でき、地域社会をより良いものにしていくための連携、協働の方策について話し合った。連携・協働といっても、「ネットワークづくりは、そう簡単でない。リーダー同士の話し合いができるかどうかによる」などの意見が出されていたようにむずかしさも語られた。しかし、町内にあるまちづくりの団体だけでなく、スポーツ団体なども含めた住民の団体の名簿をつくり、公表することにより、団体間がつなぐために役立てているという報告や団体間の連携をはかる場合に、団体・組織のトップによる協議会方式があるが、代表であると、かえって活動、発言に柔軟性を欠く面がある。それを払拭するため、実際に動ける人、実働部隊をメンバーにした組織をつくり、そこが中心になって、企画、調査、団体への働きかけをしていき、自治会・町内会の賛同を得て、町内会館を子育て支援の場としている活動などが報告された。さらに、連携をはかるためには、「常設の地域団体のたまり場をつくろう」「互いが出している機関紙等を交換しよう」などのアイデアが出されていた。そして、何よりも、申し合わせ事項で出されていたように、「地域のビジョンをつくり、とにかくやってみましょう」ということが指摘された。
 また、決議では、市町村合併や学校の統廃合が進むなか、余分となった公共施設を住民団体の交流の場とするよう国や地方自治体に要望することが盛り込まれた。

第8・地域づくり(あしたのまち・くらしづくり活動賞)の分科会
わたしたちの思いをかなえよう!まちづくり
(順不同・敬称略)
【鼎談会出席者】
NPO法人 グラウンドワーク三島(あしたのまち・くらしづくり活動賞 まち・くらしづくり活動部門 内閣総理大臣賞受賞団体)
むつみ造園土木(株)(秋田グリーンサム倶楽部)(あしたのまち・くらしづくり活動賞 企業の地域社会貢献活動部門 内閣総理大臣賞受賞団体)
石川英輔  作家・江戸研究家(NHK前テレビ番組「コメディー道中でござる」解説者)
〔司会者〕
藤原 隆  NPO法人まちなみ育成会台東支部長(東京都)、実行委員
【実行委員】
及川ひろみ  NPO法人宍塚の自然と歴史の会理事長(茨城県)
田中衛八  八俣「ふきの芽会」会長(茨城県)
早坂津夜子  NPO法人あだちの学習支援ボランティア「楽学の会」代表理事(東京都)
【アドバイザー】
高橋勇悦  東京都立大学名誉教授

 第8分科会には、「平成18年度あしたのまち・くらしづくり活動賞」を受賞した団体(食育推進活動部門、子育て支援活動部門、まち・くらしづくり活動部門、企業の地域社会貢献活動部門の4部門)のうち、まち・くらしづくり活動部門、企業の地域社会貢献活動部門の2部門の受賞団体と地域づくりの約50団体等、約100人が参加して「まちづくりについての思い」を熱く語りあった。
@ワークショップ
 まち・くらしづくり活動部門及び企業の地域社会貢献活動部門の内閣総理大臣賞、内閣官房長官賞、主催者賞受賞の8団体を基に、八つのグループに分かれ、そこに参加者が思い思いに参加した。それぞれのグループでは、始めに受賞団体から、「じぶんたちのまちづくりの思いがどのようにしてかなえられたか。」をテーマに活動の紹介があり、参加者がまちづくりについて「思い」、「悩み」、「喜び」、「課題」などについて、意見交換・討論し、その結果を「自分たちのまちづくりの思いをどう広めていくか。」をキーワードにして、それぞれのグループが意見を発表した。
A鼎談会
 まち・くらしづくり活動部門内閣総理大臣賞受賞団体のNPO法人グラウンドワーク三島渡辺豊博氏と企業の地域社会貢献活動部門内閣総理大臣賞受賞企業のむつみ造園土木(株)(秋田グリーンサム倶楽部)三浦顕兒氏に、作家で江戸研究家の石川英輔氏を交えて、まちづくりについての考えや活動の苦労などについて話し合った。
 なお、食育推進活動部門及び子育て支援活動部門の受賞団体は、関係の分科会にそれぞれ参加した。