「私たちの生活学校」135号掲載
積もる話があるんです

若い人たちに遠慮せずにもっと言おう
富山県・富山市 富山生活学校
参加者
石金和子さん
黒川陽子さん
柳川智恵子さん
藤井恵美子さん
稲葉英子さん
聞き手・山崎能伸(元あすの富山を創る運動協議会専任者)


年間予算は24万円

―― 最近の活動についてお聞かせください。

柳川  私たちの富山生活学校は、メンバーは現在60名です。昨年は68名でした。残念ながらメンバーの数が減少しているのが悩みにといえます。
 年間の活動費は24万円ほどです。収入の内訳をみると、会員からの会費は1人あたり1500円で9万円になります。それに市からの助成として、生涯学習課から4万5000円、市民生活相談課から3万円、富山の県協議会から1万円をそれぞれいただいています。このほかに、市が主催する消費生活展のバザーに出店して、その収益が2万9000円ほどあります。
 活動費は十分とはいえませんが、バザーの収益があって助かっています。しかし、このバーザーの収益が落ちているのが悩みの種です。この収益は昨年に比べて半分になっています。というのは100円ショップが普及して、私たちも高い値段をつけることができなくなって、その影響でだいぶ値段をたたかれてしまって、収益が落ちているのが現状です。

石金 活動の拠点として、富山市大手町にある市民プラザの4階の学習センターを無料で借りています。市の生涯学習課には私たちの活動が認められて、部屋を無料で貸してくれたり、助成をしてくれるなど、大きな支援をいただいていて、助かっています。そういうこともあって、生涯学習課の行事などには協力しなくちゃと思っています。

――今、どのような活動に取り組んでいますか?

黒川 今年度は食品の安全問題などについて取り組みました。今、大きな社会問題になっているように狂牛病など食品の安全性に問題がありますので、この問題を取り上げました。この問題については、消費生活展でパネルなどを展示したり、来る人にアンケートなどを取ったりしています。
 平成10年度から12年度までは、生ゴミやエコクッキングなどについても取り組みました。

石金 このなかで、実際に、ゴミの量を計測してみたんです。今まで漠然と多いと思っていたゴミですが、実際に計ってみて、ゴミの量が実感として分かったのが、良かったと思います。


アンケート調査の効用

藤井 食品の問題で、調査活動をしましたが、私たちが、10人なり20人なりにアンケートのお願いをするなかで、耳に入ってきたのが、「調査のおかげで、表示やマークをしっかり見るようになりました」という声でした。ですから、このアンケートを通じて消費者に表示に関心を持たさせることができたと思います。

―― 課題を取り上げ、調査をして、問題があれば対話集会を開くのですが、最近、対話集会は開いていますか?

石金・藤井 ゴミ減量については、ミニ対話集会とでもいうものを開催しました。レジ袋については、この袋が、市のゴミの回収用袋に使用されていることがネックになって、スタンプ制の導入などをはかってはいますが、今ひとつ浸透しない理由だと思います。
 トレーの問題で、お刺身などは柄付きのトレーが氾濫していますよね。そこで、スーパーマーケットに、「家庭では、どのみち、食卓に上れば、皿に盛りかえるのだから、普通の白いトレーでも良いのではないか」と提案しました。スーパーからは「そのようにはかってみましょう」という回答を得ました。そして、その後、スーパーを見て回ったら、確かに、ちょっとは柄付きのトレイが減って、「私たちの主張が通ったのかなぁ」と喜んだんです。ところが、しばらくすると、また、柄付きのトレーが増えてきました。これは消費者自身の問題も多いと感じました。
 というのは、皿を洗わずに済むというので、皿に盛りかえないで、そのまま食卓に出す家庭が増えてきたのではないでしょうか。その辺が柄付きの豪華なトレーがたくさん出ている背景だと思います。
 このようなことは、消費者の意識自体を改善しないと解決しない問題だと思います。そして、むしろ、大人たちよりも子どもたちの方がこの問題に関心があって、分別などでも協力してくれています。

○○ 現在、富山市では、ゴミの回収日はダンボールなどが月1回、プラスチックの回収日は月2回になっています。その関係上、私の娘たちはゴミの容積を少しでも小さくするように工夫をしています。そして、「近所の眼がうるさい」と言って、ちゃんと出すようにしているようです。やはり変わってきたと思います。まわりが変な出し方をしても黙っているから良くならないので、私たちのような経験した者がどんどん言えば良いのではと感じました。もっとも、反発がくることもありますから、実際はむずかしいとは思うのですが、近所のおばさんとして言えば良いのではと思います。

○○ 分別収集になって、いかにプラスチックが多いかを改めて実感しました。しかし、夏などは衛生面を考えるとラップなどある意味で必要なものもあります。しかし、ラップをかけなくても良いものまでラップをかけているのが問題で、いかに上手に利用するかだと思っています。


子育てについてはベテランとしてアドバイスができるのでは

○○ メンバーが増えて欲しいというのが、一番の願いですが、先細りの感があります。一生懸命やっているんですが、賛同してくれる人も少なくなっているのが悩みですね。

○○ 生活学校を活性化するには、活動の内容をどう変えていくかが大事だと思います。しかし、年齢・世代によって考え方は違っています。われわれ熟年者が関心を持つのは、私たちのこれからの問題である高齢者問題だとか資源や環境問題で、子育て支援などにはどうしても関心が薄いと思います。しかし、若い人は子育てなどに関心があります。そういったところからも、若い人たちと調和していくのはけっこうむずかしいと思います。一緒に学ぶことは無理なような気もします。
 市の生涯学習課の方からも「住み良い環境づくりなどや安全なまちづくりに関心を向けていったらどうか」という指摘を受けたりするのですが、山崎先生にその辺でアドバイスをお願いしたいと思いますが…

―― 私の住んでいる高岡市では、公民館で子育て支援をやっています。若いお母さんとその子どもを対象にして、遊ぶ時間を作る活動を公民館でやりました。最初は来る人がいるかどうか心配しましたが、毎週ある程度の数の親子が参加して、お母さん同士で話したり、保健婦さんの話を聞いたりしています。こういう活動が生活学校としてできないものかと思うんですが。
 行政などが進めている子育て支援だけで果たして十分なのか。これにはそんなに多くの人が来るわけではないですし、なかには、子育てノイローゼ気味の人もいます。そういう人はこのような場に来て話すだけでその悩みが解決することもあるようです。そのような時に、みなさんが子育てのベテランとしてアドバイスすることも考えられるのではないかと思うんです。


○○ 富山市でも、やはり公民館で保健推進委員が中心になって、同様なことをやっています。毎回20組程度の親子が参加しています。今、悩んでいることを若いお母さん方同士が話し合っています。その間、私たちが、子どもたちの相手をしているということを月に1回ですがやっています。

石金 いつも思うんですが、子どもを産んだ娘さんが、子育てについては、まず、親に相談すべきだと思うのですが、親よりも他人に相談するといいます。アンケートなどを見ますと、友だちに一番に相談するそうです。親は信用できないという。親というのはベテランママさんなのだから「相談してください」と思います。「親の育て方が良かったから、今のあなたがあるのだから」と言いたいです。
 そして、古いという言葉だけで片付けようとする。私たちと子どもの世代の距離感はすごく大きいです。しかし、古いと思うこと自体が、思い込みではないでしょうかね。子育てに古いということはないんです。それでは交流ができないんじゃないでしょうか。子育てについては古いということはないと思います。

○○ 親と娘の距離が大きいというお話ですが、確かに生活の仕方は、機械化などで変わってきています。だけど、人間の生きかたは変わっていないと思うんです。若い人には、いつも言うとわずらわしがられる面がありますが、ときに「このときはこんなふうにしていくんだよ」と言うべきだと思います。

○○ 親は遠慮すべきではない。でも言えない親が多い(笑)。そこが問題なんですよね。
※一部発言者の不明な箇所がありました。お詫びします。


積もる話が終わったあとで…
  聞き手=山崎能伸(元あすの富山を創る協会専任者)
 全国的に生活学校の数やメンバーの減少がみられる中で、富山生活学校の構成メンバーはあまり減少していない。このことは石金代表や運営委員諸氏の努力の結果だと感じた。
 活動費は潤沢ではないが、その捻出にも工夫がなされている。日頃の活動が市の生涯学習課などに高く評価され、活動拠点は市民プラザの一室を無償で貸与されるなど、年間計画にもとづいて活動の熱心さがうかがえる。
 メンバーの方々は、生活学校の活動に積極的に参加するとともに自分の得意とする分野で、それぞれの地域においてより良い生活の構築に努力を惜しまず地道な活動がなさていることが分かった。
 生活学校の個々人の取り組みがたとえ、小さな一歩であるとも、社会を住みよく変えていくことを再認識できた。