「まち むら」141号掲載 |
ル ポ |
地域の皆で地域の子どもを育てる子育て支援 |
福岡県大野城市 NPO法人チャイルドケアセンター |
私たちは、福岡市の南に隣接する大野城市(人口約10万人)を拠点に、筑紫地区4市1町(人口約43.5万人)で子育て支援活動をはじめて20年、NPO法人化して16年になります。私たちの主な活動と成果は次のとおりです。 子育て情報誌「びぃ〜んずキッズ」を基盤にした乳幼児の子育て支援事業の創出 子育ての中で「地域に子育てに関する情報が少ない」と感じ、同じ思いの仲間と手弁当で平成9年に「びぃ〜んずキッズ」(フリーペーパー)を創刊、20年間で75号、約150万部を筑紫地区で発行。取材を通じてこんな支援があったらいいな、もっとみんなで子育てを一緒にできたらいいなと思うことを事業化してきました。 ■「HAND IN HAND」【平成15年〜現在】 育児サークルのリーダーをネットワーク化、各地の育児サークルのリーダーの悩みの解決と活動内容の充実を図る相互学習を行っています。補助金を獲得して、個別のサークルができない運動会の開催等を通じて子育てサークル間の交流にもつながっています。 ■「中学生サロン」【平成18年〜現在、5中学校、生徒1万6703人が参加】 子育て中の親子が中学校に出向き、家庭科の時間を利用して、地域の親子とふれあう中で、命の大切さを実感してもらう授業を学校と協働で実施しています。実行委員には、地城のシニアボランティアと「ママ先生」約30名と一緒に運営します。「ママ先生」とは、有償ボランティアで子育てママの社会参加の機会をつくっています。現在は、九州大学の授業でも行っています。 ■「キッズステーション」【平成25年〜現在、筑紫地区の延べ12万8370人親子が参加】 当時、異年齢のサークルが多かったが、子育てママの声から、0〜6歳の年齢別の有料育児サークル事業を立ち上げ、子どもの育ちに合わせた同じ悩みを持つママ同志の交流が広がりました。 大野城市との協働で子育て支援施策の充実 自治体も子育て支援を行政施策とする時代となり、大野城市との協働も増え自治体の子育て支援の推進に貢献してきました。 ■ファミリー・サポート・センター事業【平成14年からの利用者延べ4万6686人】 取材時に子どもを預け合う中で大きなニーズを感じ、大野城市のファミリー・サポート・センター事業を平成14年に試行、15年から取り組みました。当時、本事業のNPO法人での運営は珍しかったが、すでにつながりのあった地域の方に声をかけてお助け会員を募集、開始することができました。現在では、那珂川町でも同様の事業を受託しています。 また、託児の時に、本事業の対象外であるが派生する家事支援、病児保育、集団託児などの個別ニーズの相談が寄せられるようになり、自主事業「あいさぽーと」を事業化して対応しています。 ■「ファミリー交流センター」の管理運営【平成16年〜現在、平成28年度利用者延べ2万9330名/年】 大野城市が平成16年に子育て支援の拠点「ファミリー交流センター」の設置が決定し、こうした乳幼児の子育て支援の実績から管理運営を行っています。平成22年からは地域の親子サロン「ぞうさんひろば」を四つのコミュニティセンターで開催しています。 ■学童保育【平成16年〜現在】 大野城市の学童保育(市直営、月〜金)から相談を受け、平成15年、自主事業で土曜日学童保育を実施、この実績から平成16年から大野城市の学童保育事業を受託、現在、学童保育の支援員144名、市内10ヵ所、小学1〜6年生の児童1000名以上を月〜土曜日までお預かりしています。 特徴の一つは、支援員がファミリー・サポート・センター事業のお助け会員となり、学童終了の19時以降は、学童保育所で延長でのお預かりに対応していることです。 「子ども食堂」と「子ども食堂に特化したフードバンク」の両輪で地域の居場所づくりを支援 毎日、0歳から中学生の子どもだちと接する中で、親の共働き・離婚、貧困世帯の増加、地域社会の絆の希薄化により、多様な人との交流の機会が全体的に減少し、子どもの体験・つながり・心の貧困という課題を実感するようになり、その解決に取り組みはじめました。 ■子ども食堂の立ち上げ支援【平成27年〜現在、筑紫地区での立ち上げ支援】 平成27年から全ての子どもたちの居場所となる「子ども食堂」の立ち上げに必要なノウハウを、地域に伝える立ち上げ支援をNPOの自主事業として行っています。大野城市の27行政区の各公民館のうち14ヵ所・大野城市5ヵ所・春日市4ヵ所、太宰府市2ヵ所、那珂川町1ヵ所・筑紫野1ヵ所を支援しています。 ■子ども食堂の支援に特化した「ふくおか筑紫フードバンク」【平成28年〜現在、食材86161キログラム、子ども食堂の延べ参加者5920人】 平成27年にNPOの自主事業ではじめた食材の寄付受付・配布を平成28年7月に運営委員会方式にて透明性ある体制に刷新、子ども食堂の支援に特化したフードバンクを事業化しました。子ども食堂の運営団体をネットワーク化して、調理時の安全対策、運営の悩みを意見交換する場を設け、食材と運営ノウハウの両方を提供して「子ども食堂」の運営の継続を支援しています。 かつての子育てママが支援する側になり各事業への参画も増えてきました。スタッフそしてシニアを含めた1000名以上のボランティアの方たちと共に地域の方たちと子どもたちが触れ合い、世代を超えた縦、横、斜めの交流機会をこれからも私たちの住む地域でつくり続けていきます。 |