「まち むら」141号掲載 |
ル ポ |
箱の浦のことは箱の浦で解決する |
大阪府阪南市 箱の浦自治会まちづくり協議会 |
高齢者が集える溜り場を 私たち阪南市箱の浦は、人口1930人、世帯数732世帯、高齢化率38.5%強の高い高齢化率を持つ地域である。市内まで8キロメートル、最寄り駅まで2キロメートルと典型的な交通の便が非常に悪い地域である。高齢化が進むにつれて、特に一人暮らしの高齢者から孤独、健康上の不安、買い物の困難さ等を訴える声が多く聞かれるようになった。自治会として地域の課題として行政に解決方法を相談してきたが、高齢者の溜り場、食事会など支援ができないことがはっきりした。そこで、私たち自治会役員を中心に、社協、民生委員、趣旨賛同者で「箱の浦自治会まちづくり協議会」を2012年6月に立ち上げた。行政の援助を受けずに、地域のことは地域で解決を目的に、まず高齢者が集える溜り場「おしゃべりサロン」の開設を目的にした。ところが公共施設が悪く利用が困難と分かり、空き家を借りることに。家主さんに利用の目的を5回にわたり説明してようやく私たちが考える家賃になり借りることができた。家賃・光熱費など諸々の費用が払えるか、無償のボランティアが集まるか心配は絶えなかったのだが…。とにかくスタート、2012年10月に毎週火・木の週2日の運営でスタートしてみると1回40人(予算は20人)と予想以上の賑わいだった。翌年から火・木・土の週3回開催。 買い物困難地域の解消を 「おしゃべりサロン」を拠点に同年11月には、買い物困難地域の解消を成すべく「朝市」の開催を計画して、毎週土曜日に開催することとした。野菜はもちろん新鮮な魚、パン・ケーキ・漬物・陶器と販売品目もできるだけ多彩にと苦労した結果、毎回100名の参加者で買い物困難地域解消を図ることができた。 また、参加者から精肉や日常生活品の販売の要請があり、2014年12月から「生協の移動販売車」を導入して、買い物困難地域を名実ともに解消。本年で5年を迎えている。 子どもの溜り場も開設 「お助け隊」も創設 2013年には、地域の子どもは地域で育むを合言葉に「のびのびクラブ」を創設して毎月イベントを運営し、2016年度末には最終目的の「こどもサロン」=子どもの溜り場として読書、語り、宿題などができる子どもが主役のサロンを開設した。 他方、財政基盤の確立にも努力を注ぎ2013年には、高齢者の便利屋として「お助け隊」を創設して高齢者に喜ばれている。現在では地域の空き地の除草、屋根のペンキ塗り等に発展して財政にも寄与している。もう一つとして、2014年には「再生資源の回収事業」を始めた。業者に回収させるのではなく、自分たちでアルミ缶・新聞紙・段ボール・雑誌などを回収して業者に持ち込み、年間65万円(市からの回収報奨金を含む)の収入になり、財政基盤の確立に大きく貢献している。 「シニアランチハウス」開設 2015年には、食事から健康を考えるための「シニアランチハウス」を開設。民家を借りて高齢者、特に一人暮らし、認知症の人たちの参加を積極的に呼び掛けた。「ランチハウス」には毎回20数名が参加し、500円の会費で食事はもちろん食後はカラオケ等を楽しんでいる。 開催は月3回であるが、回数を増やして高齢者、特に一人暮らしの人たちのストレスを解消し認知症の予防につなげていきたいと考えている。 これからの5年間 この5年間、「箱の浦自治会まちづくり協議会」は前だけを見て活動し、一定の成果を上げてきた。しかし、一度過去を振り返りこれからの5年間の活動を立てたいと考えている。 2017年は、まず介護保険の改正に伴う地域の受け皿として、地域の高齢者が介護保険の改正に伴い不利益にならないように体制をしっかり作っていき、高齢者の目線に立つ。次に、オープンした「子どもサロン」を充実させるために、週2回の開催日を3回〜4回にするために若い女性のボランティアを発掘していく。シニアランチのあり方も月3回を4回に、高齢者が自分たちで料理から片付けまで全部を行えるようにしていきたい。 次に、現在の「まちづくり協議会」の活動者の年齢は平均すると74歳の高齢者であるため、若い層の後継者の育成が急務であると考えている。 地域との連携を如何に進めて行くか? 行政との協働を如何に進めるか? 私たちの活動を進めて行くのに必要な協働を如何にして連携を強めるか? この課題に本年度は取り組んでいきたいと思っている。 私たちの地域活動に刺激をされて、他地域でも活動のための相談が数多くなってきており、私たちの活動を話し、特に自主財源確保の方策を説明して行政に頼る活動は挫折することを話し、自主財源確立には再生資源の回収等があるが、各団体の支援、助成金に応募して支援を受ける方法もあることを話している。ただ、応募するには活動が絶対条件であることも説明をして支援しているところである。 阪南市全体に地域活動を広め、高齢者・子どもが、市民みんなが住んで良かった阪南市、住み続けたい阪南市を作り上げるためにこの活動を続け成果を上げていきたい。 |