「まち むら」137号掲載
ル ポ

マンネリ打破?みんなに聞けばいいじゃん!
アンケート結果から自主防災会の活動テーマを考えました
愛知県西尾市 下町自主防災会
 平成28年度あしたのまち・くらしづくり活動賞に、私どもの10年間の活動をまとめて応募したところ、振興奨励賞をいただくことができました。ありがとうございました。レポート内容は「あしたのまち・くらしづくり2016年度版」にて紹介されていますので、ご一読いただければと思います。活動の全体をまとめた内容になっていますので、具体的なイメージがわかないかもしれません。今回は、住民対象のアンケート結果から自主防災会の活動テーマを決めた事例を紹介させていただこうと思います。みなさんの活動の参考になれば幸いです。

アンケート実施の背景と狙い

 自主防災会の活動は、毎年いくつかの重点項目を掲げて、マンネリ化防止を意識した活動を計画してきました。何年も繰り返していると、いろいろなテーマで活動が進み、目先を変える必要も出てきました。当初は、自分でテーマを考えて役員の皆さんに会議で検討してもらっていましたが、これでよいのか?みんなのためになっているのか?独りよがりではないか?と疑問を抱くようになりました。話し合いの機会があるたびに、皆さんに希望を聞くようにしていましたが、なかなか妙案が出てきません。そろそろネタ切れか?というタイミングで、「アンケートして直接聞いてみたら?」という提案をいただいたので、やってみることにしました。
 せっかくですので、アンケートをきっかけに活動全体を見直す機会になればと思い、一通りの地震対策を取り上げて、それぞれの項目の実施状況や重要度の認識・自主防災会への期待などを回答してもらうことにしました。アンケートに回答することで、防災活動を振り返ってもらう、弱点に気づいてもらう、自分の意見が反映される自分たちの活動という意識を持ってもらう、などの効果を期待して質問項目を工夫しました。

実施方法

 対象者は、各班の活動メンバーとしました。できるだけ大勢の意見を反映するためには、全員参加とするのが望ましいですが、集計分析の作業が大変ですので、活動メンバーのみとしました。それでも、世帯数の約半分が回答していますので、意見収集の手段と考えれば十分な数と思っています。活動メンバー向け勉強会の場で趣旨説明をして回答していただきました。
 アンケートはA3用紙1枚に活動テーマ28項目と重要度・期待度の質問がびっしり。それぞれに5段階評価で○印をつけて選んでもらいます。じっくり考え出すと考えがまとまらなくなるので、「だいたいの感覚でよいから、直感でよいから」と促しながら30分ほどで終わるようにしました。集計分析とグラフ化は表計算ソフトを、説明用資料作成にプレゼンソフトを使用しました。
 28項目は、実施度合いを5段階評価で「できていない」〜「じゅうぶんできている」から選択、活動の重要度は「まったく重要でない」〜「とても重要」から選択、活動の期待度は「まったく期待していない」〜「すごく期待している」から選択してもらいました。
 集計結果から、@28項目の対策実施度、A28項目の重要度と実施度の関係、B28項目の期待度と実施度の関係について、分析しました。ABは、マーケティングの分野で活用される顧客満足度調査のアンケート(CSポートフォリオ分析)を応用したものです。サービス業者と顧客の関係を、自主防災会と住民の関係に置き換え、また、サービス項目を防災対策項目に、サービス項目に対する満足度を防災対策項目の重要度と期待度に置き換えてみました。

結果

 @実施度合いは、予想通りの結果となりました。繰り返し訓練してきた項目は「できている」という回答が多く、未実施の項目は逆の結果となり、ABでは、それらの結果が反映されて「強み」や「優先的改善項目」にプロットされました。例えば、Q7:避難場所や避難路の確認の項目は、訓練を繰り返してきたので、重要度も実施度も高ポイントとなり、わが町の強みと言えます。皆さんの様子や訓練の履歴からは感覚的にイメージできていましたが、このようにデータで示されると、はっきり見える化ができて客観的な説得材料として使えることを実感しました。
 回答してくれたメンバーの感想も紹介しておきましょう。「たくさんの項目があって、まだまだ足りていないことに気づいた」「内容がわからないものもあったので、これから勉強したい」「5段階評価の基準がわからない」「自信をもって回答できない」といった声がありました。「自信をもって回答できない」という意見は、厳しい言い方をすれば、自分で活動の要否を考えていない、判断をしていない、判断結果に責任を持てないということだと思います。まだまだ自分のための活動へ落とし込めていないのだと思います。

活動への反映

 弱点は「被害状況調査」「行政との連携」「災害ボランティア対応」「仮設住宅」「復旧復興支援」など、これまでに実施していない項目で、かつ、ボランティアや行政など外部との調整が要るものばかりでした。それぞれの項目について勉強や訓練を重ね、行政との調整や自分たちの要望を整理したうえで、地区防災計画にまとめる方向で取り組んでいくことにしました。形になるまで少し時間がかかりますが、じっくり取り組みたいと思います。

おわりに

 今回のアンケートは、自分たちの活動を振り返りながら、かつ、これから追加していく必要があると思われる「地震対策」を質問項目に取り上げました。あくまで事例の一つと考えています。一つのテーマについて細分化して調査する方法もあるでしょうし、地震以外の自然災害では、対策も別の内容になるでしょう。皆さんの地域の活動に合ったものになるよう工夫していただきたいと思います。