「ふるさとづくり'99」掲載
<個人の部>ふるさとづくり振興奨励賞

アトラクションおばさんの福祉公演活動
大分県豊後高田市 津田信子
 緑の山々に囲まれ、国宝富貴寺や熊野磨崖仏など多くの仏教遺跡で知られる仏の里、豊後高田市田染に住む主婦、津田信子さん(64歳)は、地元の新聞で「アトラクションおばさん」と紹介された人気者。得意のマジックや踊り、指人形、腹話術などを駆使して福祉の現場などで重ねた公演活動は数知れず。61年に同市を訪れた作家の故松本清張の書「国東に極楽浄土や山桜」や、何回かくれた便りを今も大きな励みにしている。


敬老会で披露した芸が発端となり

 昭和30年に結婚して、1男1女に恵まれた津田さんは、独身時代、幼稚園の教師をしていた関係で農繁期などに近所の子どもたちを預かり、自分の子どもと一緒に保育していた。お手玉やゲーム、読書、簡単な手品などをして遊ばせていたところ、村のお年寄りから、敬老会でもと勧められて披露した手品や金色夜叉の指人形が大評判になり、「老人ホームのお年寄りや幼稚園児らに喜んでもらえたら」と、本格的に勉強を始めた。
 10年間教室に通ったマジックは、リングから胡蝶の舞、不落のコップ、6枚レコード、トランプ、帽子タマゴ、魔法陣(数字)と新作に挑戦してきた。踊りは子ども向け、大人向け、高齢者向けにそれぞれ工夫し、指人形は子ども向け家庭劇や人情・笑い・滑稽劇の大人向け、腹話術は男の子のタッチャンと子どものかけ合いといった、数多くのレパートリーをマスター。
 津田さんの公演活動は、幼稚園や公民館、老人施設を中心に展開された。昭和52年には、大分文化会館で開かれた「クリスマス子ども大会」に出演し、マスコミに紹介されたことから出演依頼が急増。同大会も以後続けて21回出演している。


福祉活動を重視した公演活動

 63年には、大分合同新聞で「アトラクションおばさん」と紹介されて、ますます知名度を増した。もっともこの頃になると、昭和43年から始めた公演活動も20年を経過し、舞踏や寸劇、カラオケなどに一緒に出演するボランティア仲間も増え、公演先も保育園や小学校、福祉施設などにも広がっていた。
 交通安全運動や防火運動にも協力している。交通安全の研修会や法令講習の際の公演をはじめ、小学校、幼稚園などから招かれて交通安全のマジックや腹話術を披露し、消防団関係では防火をテーマに、老人クラブや幼稚園などで公演している。
 同氏は、近年、一緒に公演できる仲間やボランティアグループとの提携を深め、提携して福祉活動に大変力を入れている。平成3年から9年までの7年間の公演活動を平均すると、1年間に約78回の公演をこなしてきた。その1年間の内訳は、(1)敬老会や老人クラブ、保健施設、デイサービス慰問などの高齢者福祉活動20回、(2)ふれあいコンサート、施設・病院での障害者福祉活動5回、(3)幼稚園や小学校など、子どもを対象とした活動11回、(4)交通安全や防火活動への協力4回、(5)その他38回にも上り、平成4年には大分合同新聞福祉賞を受賞している。