「ふるさとづくり'99」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地名を活かした花のあるまちづくり
岩手県 花泉町
 花泉町には、88の集落振興協議会があり、各集落で振興計画を策定し、住みよいまちづくりに取り組んでいた。昭和61年住民の願望であった「花のあるまちづくり運動」を始めた。 そして、花いっぱいコンクールの実施、花と泉の公園ぼたん園を開園、地域住民自らの手による花街道の整備、女性の海外研修「フラワー大使派遣」や宿泊交流研修施設「花夢(かむ)パル」の建設、花にこだわる起業集団活動も活発になるなど、「花泉」は、名実ともに開花の方向へ進んでいる。


花と泉の公園「ぼたん園」を開園

 花いっぱいコンクールは、当初、町で花の苗3万本を無料で集落・事業所・学校に配布し68団体が取り組んだ。現在、152団体まで増えている。この間、県花いっぱいコンクールで最優秀賞、優良賞等を受賞した。さらに、県花いっぱい大会実践者交流会の開催を受けたり、全国花のまちコンクールで優良賞を獲得したこともあって、多くの視察者があり、より集落の美化や都市と農村の交流施設の整備が必要になってきた。
 平成3年、町の活性化策を町民に問うたところ、小学3年生から花泉という名前のような「花のようにきれいな町にしよう」との提案に、町は花の公園化構想を打ち出し、7年、花と泉の公園「ぼたん園」20ヘクタールを開園、3ヘクタールにぼたんを中心に、芍薬を始め数種類の花を植栽し造園を行った。


地域住民自ら花街道の整備

 これまでは、観光地に乏しく景勝「刈生沢の滝」等に年間2万人程度であったのが、今年は、ぼたん園に5万1千人もの観光客が訪れ賑いを見せている。しかし、車の渋滞が問題となり2年目以降、駐車場の確保やシャトルバスを運行することで解消を図ってきたが、最盛期の土日は4キロも渋滞、そこで沿道の4集落は自主的に、渋滞中のやすらぎにと3キロにプランター400個を並べた花街道を整備し、2年前から続けている。また、公園では地場産の野菜、花・ぼたんにこだわった製品販売の婦人コーナー、JAは「2番目に美味しい弁当」花大臣・花御膳等を作成販売、花公園の話題を一層引き立てている。
 さらに、4年前から町民大学講座「フローラルセミナー」では繭花アート、押し花アート等の技術向上と指導者養成に取り組んできた。この終了生の自主グループ「マユ花の会」を始め3グループが誕生し、ぼたん祭りで、ぼたんの押し花・繭を加工のぼたん花の作品が販売され、お土産品に定着している。
 平成5年に結成した「花のまち交流協会」は、埼玉県花園町やぼたんを「町花」とする東松山市との交流活動、昨年結成の「花泉町グリーンツーリズム協議会」は、今年「ぼたん・花里めぐり」を企画している。1昨年、女性の社会参加促進の「フラワー大使派遣事業」に参加したメンバは、今年生活学校を開設し活動を始めた。念願の宿泊交流研修施設「花夢(かむ)パル」も完成、交流活動にも拍車が掛かってきている。