「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

“ああじゃ”“こうじゃ”とまちづくり
山口県岩国市 じゃげな会
 「工業の町」「観光の町」「歴史の町」「基地の町」と、様々な顔を持つ町・岩国。郷土の問題を話し合うと共に、長年にわたって育まれた歴史や暮らしの豊かさを市内外に住む人、また、次の世代に知ってほしいと、観光ボランティア、歴史を紹介する出版事業、郷土料理の伝承活動などを続けているのが、「じゃげな会」(代表・新庄菊子さん メンバー40人)である。


女性の力でもできることがある

 歴史の町・岩国の顔ともいえる横田地区には、市発展の礎を築いた藩主吉川氏関係の史跡が多い。横田地区婦人会では、吉川家墓所を清掃奉仕していたが、その時、訪れた人に歴史などを聞かれることが多かった。
 こうした経験から、女性でも歴史紹介など能力を生かすことにより、何か町のために出来ることがあるのではないかと、「ああじゃ」「こうじゃ」と話し合いを重ね、女性の有志3人で平成3年から活動を始めた。その後、会員も増え、観光ボランティアだけでなく、吉川氏の歴史をまとめた本を出版したり、吉川氏発祥の地である静岡県清水市との交流など、ほとんど自分たちの力で企画・運営し、様々な活動を展開してきた。


活動の原動力は「カ・キ・ク・ケ・コ」

 活動費用捻出は大変さはあるものの、活動は年を追ってますます活発になっている。
 出版では、吉川家墓所の修理公開されたのを機に、岩国に関する歴史を「歴史の散歩道」としてまとめた。同時に、町の歩みを知ってもらいたいと、市民を対象に歴史学習会を開催、市民の関心を高めた。
 歴史と共に食文化も次代に伝えたいと、中学生やPTAを対象に岩国寿司などの郷土料理を伝承する料理会も開いた。予想外の好評で、希望する中学校も年々増えているという。
 国際交流も重要な活動の分野だ。基地の町岩国には、多くのアメリカ人が生活しており、お互いの文化を理解し合うこと は、市民文化を高めることになる。その一環として開催している紅葉まつりは、着物の着付けでは申し込みを断らなければならないほど盛況である。
 活動を支えるためのは資金づくりを目的に開いているのが観光青空市である。しかし、青空市を覗いた人を史跡案内することになり、商売にならないと言うが、それもメンバーの楽しみともなっている。
 じゃげな会の活動要素はカキクケコ、「感動」「興味」「工夫」「健康」「行動」だという。メンバーは、今、この要素が活動に定着してきたのを実感している。