「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

障害者が外出しやすい街づくり活動
京都府舞鶴市 京都府北部の福祉の街づくり協会
 街を車椅子で動いていると、健常者が想像もできないほど多くのバリアが存在している。京都府北部の福祉の街づくり協会(代表・菖蒲谷賢治さん メンバー9人)は、車椅子の利用者が安全で不便少なく外出して、積極的に社会参加ができるバリアフリーの街づくりを身体障害者たちが取り組んでいる。


街には多くのバリアがある

 歩道だけみても、車椅子の利用者にとって電柱や自転車が邪魔になり立ち往生してしまう。わずか1センチのことで前に行けない。歩道の幅が数センチ狭いがために車道に転落したり、傾斜のために横転したりすることもある。
 駐車場では、ショッピングしようとしても、近くに福祉車両をとめる場所がない。福祉車両用のスペースに一般車両が駐車していて入れないこともある。
 エレベータでは、狭くて車椅子が入らない。ドアとの隙間に前輪がはまる。階段でしか歩行できない駅など、街には多くのバリアがある。これらの問題を一つひとつ改善してもらおうと、他人まかせにしないで障害者自ら率先して取り組んでいるのが同会の活動だ。
 平成8年の夏、宮津市営立体駐車場ができるときのことだ。担当者に、エレベーターの出入口の隙間が3センチだと車椅子の前輪がはまりこみ、身動きがとれなくなることがよくあるので、隙間は2センチにしてほしい。駐車場の天井の高さをリフト付きワゴン車の後部のハッチドアを開けたまま乗り降りできるように設計変更してほしいとお願いした。
 平成9年7月にオープンしたときは、広い福祉車両のスペースを1階に6台分、天井の高さもリフト付きワゴン車の後部ハッチが十分開けられる空間があり、ゆっくり乗り降りできるようになっていた。それを見てみんなで喜んだ。
 ショッピングセンターのケースでは、目の不自由な人のために点字案内板の設置をお願いしたところ、入り口に設置し、あわせて売り場説明付き表示板も付けていただいた。
 舞鶴市魚市場のケースでは、開設の時に障害者用トイレに洗面台としびんを洗ったりする設備をお願いしたが、その通りに実現された。
 近畿丹後鉄道は、天の橋立〜綾部間の特急に通路の広い乗り降りしやすい福祉車両を1両付けている。これを京都まで延長することと、普通車にも広げてほしいとお願いしている。
 このように身体障害者たちの願いを真剣に聞き、その実現に協力している企業や行政にメンバーは感謝している。
 同会では今後ともバリアフリーの街づくりの活動を進めるとともに、(1)外出介護へルパーの増員、送迎サービス向上のためのPRと請願活動(2)ボランティア活動上の諸問題を改善するための企画研究(3)介護保険制度の効果的運営のための研究・提案活動などに取り組むことにしている。