「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

シダレ栗の自生地を公園化
岐阜県下呂町 乗政DVC
 乗政地区周辺に自生する国の天然記念物「シダレ栗」の保護育成や周辺を整備公園に、県の史跡「初矢峠の石畳」の復元整備、ふるさとの発展に必要なボランティア活動等に取り組んでいるのが、平成2年、地域づくり団体として発足した「乗政DVC」(代表・今井重行さん、メンバー62人)である。


シダレ栗の保護育成

 国内で、シダレ栗が自生しているのは、下呂町と長野県(辰野町・丸子町)の3地域のみで、樹齢400数10年という古木もある。この素晴らしい国の天然記念物を見直すための活動を始めた。先ず、最初の年は、シダレ栗自生地に遊歩道や水場を設置、接ぎ木等での育成保護に取り組んだ。
 平成4年から、栗に付く栗玉蜂の消毒作業を開始、この作業は毎年実施している。また、周辺には、以前農業用水の溜め池があり、周囲に柵をし、橋を架け、公園に整備し看板も設置した。春には、ツツジ・ドウダンツツジ・山百合の花が咲き乱れる景色の中で、毎年5月3日、公園でつつじ祭りを行い、餅つきや宝探し、バザー等のイベントで賑う。そして、この年8月には、町長を始め住民約350人が参加の下、開通式と3か所に架けた橋の命名式を催し、同時に高齢者クラブの協力で、カラオケ大会、通行手形の作成、各種バザー等を行い楽しんだ。さらに、管理棟造りに取り組み、平成8年に完成している。
 平成6年には、シダレ栗の接ぎ木と苗木の移植、「下呂町健康わくわくウォッチング’94」開催に向け、管理棟にトイレを作った。平成7年2月、町主催の「下呂町夢育て児童生徒の集い」があり「今、私たちができるボランティア活動」をテーマに、竹原中学校でこれまでの活動体験を発表した。この時、「DVC活動で中学生も一緒に出来る活動はないか」との質問があった。その後、DVCの定例会で協議、学校・父兄の理解と生徒の自発的な協力を得ることにし、以後、栗玉蜂防除とバアク堆肥撒き作業を4年間続けている。この作業は、毎年青年団と共同で行ってきたが、捗らない年もあって助かっている。


鎌倉街道の復元整備

 一方、会発足の翌年から、県の史跡である「初矢峠の石畳」から乗政側約800メートルの官道復元整備に3年計画で取り組んだ。ここは、東濃と飛騨、美濃と飛騨を結んでいた昔の道(鎌倉街道)で、幅2メートル、長さ80メートルの石畳で、江戸時代初期の築造といわれる。現在は、国道257号線があり利用されていない。この活動には、高齢者グループも草刈り作業等で協力頂いた。DVCのメンバーは、毎月第3日曜日を利用して看板の作成設置、門や橋作り、ベンチの作成、土木工事作業に励み整備した。
 こうした活動のほか、身体障害者マス釣り大会への参加協力乗政川公園整備・新名所作り・文化財等の掘り起こし・石畳のカラカサ松の育成・特産品開発等精力的に活動を続けている。