「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ゴミラが飛んだ! リサイクル活動からまちづくりへ
福島県いわき市 ザ・ピープル
 ゴム手袋に長靴姿で回収車のゴミ収集体験をした6人の主婦は、紙ゴミなどの燃えるゴミの中に缶やビンから、まだ使える粗大ゴミまで混じったあまりの乱雑さに驚いた。「これは何とかしなければ」と、市民一人ひとりの意識変革を求めて、平成2年末、「ザ・ピープル」(代表・村山静枝さん、メンバー30人、機関紙購読会員200人)を発足。身近な資源リサイクル活動からまちづくり、国際交流へと活動を大きく広げている。


生活環境改善には市民の意識変革が必要

 主婦たちの体験を大勢の市民に知らせようと、情報誌「ザ・ピープル」を隔月で発行。1回の発行部数4000部は、200人の購読会員と地域の企業や市民団体に配布している。
 体験すると意識が変わると、「ゴミバス体験ツアー」を実施して70人が参加。参加者からこれは凄いとため息が出て、それが次へのステップとなった。こうして、市民・企業・行政に声をかけて懇談会を持ち、牛乳パックやトレーなど資源リサイクルを連帯してやっていくゆるやかなネットワークができた。
 活動は、牛乳パック紙すき、アルミ缶のレリーフ作り、空き缶や割箸を使った影絵遊び、親子ゴミ体験ツアーなどの小さなイベントを繰り返し実施した。そして、その度毎に主婦や銀行員、行政マン、会社員など違った人の顔があり、こうした人びととの出会いがネットワークを広げてきた。
 みんなで地球を、生活環境を考えようと、5年には「環境フェアー」を主催した。市民・企業・行政がそれぞれの立場で参加し、43のボランティアや企業のアピールテント、市民による100を超えるフリーマーケットなどで賑い、4回目ともなると町起こしとして、商店街の活性化にも大きく寄与している。


古着のリサイクルが国際交流を橋渡し

 5年にはまた、古着のリサイクルが始まった。ドラム缶にパステルグリーンの色を塗り、シンボルマークのゴミラを描いたリサイクルボックスを作った。幸い悪戯もなく、設置場所を増やして、現在、スーパーやデパート、企業、市役所など23か所に設置されて、月平均30トンの古着を回収。回収や処理などの作業は全てピープルのボランティアがやっている。
 古着で着られるものはバザーやPCC(ピープルコミュニティセンター)で売られたり、市内の留学生や研修生などにも利用され、海外援助物資として送られたりもする。着られないものは、PCCに併設された障害者作業場で、ウエス(工業用雑巾)にして販売する。
 古着の収益金は、主にPCCの経費や海外援助に使う。6年からは「タイビルディングプログラム」を実施。タイのスリン県に校舎や養魚場、図書館などの建設を支援している。10年7月には10日間、中学生や高校生、大学生、主婦、行政マンらの労働ボランティア20人がタイに出発するなど、古着という小さな一歩が、ゴミラとともに世界を翔ける。