「ふるさとづくり'99」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

木炭を使って水質浄化
北海道追分町 追分町マチおこし研究所
 追分町に源流部をもつ安平川は、町を二分するように北から 南へ流れる2級河川、どこでも見られるように、生活雑排水などで水質の悪化が進んでいった。
 この安平川にこだわりを持ち「自然との共生を目指し川と水の活性化を考えよう」と、平成元年3月に「マチおこし研究所」(代表・工藤隆男さん、メンバー38人)を結成し、地域おこし集団として、自ら焼いた木炭を活性炭に生活雑排水の落ち口に設置する等の活動を続けている。


清流・安平川を再生し、憩いの場に

 研究所は、清流・安平川を昔のように町民の手に戻し、親しみのあるふるさとの川にしようと、毎年秋に「安平川フォーラム」を開催、源流・上流・中流の3地点で、水生生物の分布調査と水量調査の実施、同時にカヌーや魚釣り等の遊びも催しながら町民の参加と理解を深めている。
 そして、フォーラムの内容や結果を機関紙「パワフル追分」(2000部発行)に紹介し、全戸配布と町外所員にも郵送している。また、フオーラムでは、より多く町民の意見を活動に生かすことを目的として、小中高校生580人を対象に、川のイメージを探るアンケート調査を実施したところ、川で遊んだことがあるは1割、9割の子どもたちが、水遊びの出来る綺麗な安平川を望んでいることがわかった。


水質調査も科学的に実施

 そこで、研究所は、「クリーン安平川の日」を設定、河川敷の草刈りとゴミ・空き缶拾い、水に強い花サリカ(エゾミソハギ)の植栽を行うことにした。植栽は、小学校高学年児童と老人クラブ、マチ研究員が、再生紙を利用しダンボール鉢「カミネッコン」を作成、サリカの苗を植えこみ、川の中州に植栽した、この実践は、川の環境美化運動へと広がっている。
 綺麗な川を取り戻すためには、安平川の汚濁状況を把握する 必要があることから、環境庁水質保全局の「水生生物による水質調査法」によって、2か月間にわたり8回、水生昆虫や魚類を捕獲し調べた。その調査結果、1〜4の生物学的水質階級(汚水生物系列)では、源流や上流部では、きれいな川に棲息する「カワゲラやブユ類、ヤマメ」がおり清流であることが実証されたが、中流部では「トビゲラやカゲロウ類、フクドジョウ」がおり、水質階級は1〜2の中間状態にあった。しかし、水は濁っている、生活雑排水等が原因であると考えられた。
 川の上流に住む住民として、川を汚すことは出来ない。議論を積み重ねた結果、町有地の間伐材を利用し、木炭を作ってマスに入れ、低水路の生活雑排水の落ち口に設置した。木炭の設置前と後での水質調査(パックテスト)の結果では、酸素の消費量は45ppmから25ppmと大幅な改善を見ることが出来たのである。木炭での環境改善と環境美化活動を始め、水辺の番人として啓蒙・実践活動を継続していくことにしている。