「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

心のふれあう「ふるさとづくり」
長崎県長与町 高田地区コミュニティ活動推進会議
 急激な都市化がもたらすさまざまな問題や新旧住民の心の融和に取り組んできた「高田地区コミュニティ活動推進会議」(代表・下條力男さん 9自治会で構成)は、4半世紀にわたって活動している。最近では住民交流施設の建設や高齢者問題などにも取り組み、地域連帯活動を推進している。


自主的活動の推進

 長崎県長与町は、長崎市に隣接した典型的なベッドタウンである。急激に都市化が進む中、自治省が提唱した「モデルコミュニティ」構想を受け、町は高田地区を候補地として申請した。昭和47年にこの指定を受け、住民は「モデルコミュニティとは何だろう?」と早速勉強会として同会を発足させた。
 同会には、体育レク部・老人部・厚生部・婦人部・少年育成部・青年部の6つの専門部会が設置され、ソフトボール大会やコミュニティの運動会、先進地視察など住民の声を基にそれぞれ活動を展開している。中でも講演会や講座などは住民がお互いに講師を努め、潜在能力を開発しあう昨今の生涯教育事業の先取り的活動であった。
 3年間の「モデルコミュニティ」の指定が終わっても根づき始めた活動は終わることなく、増え続ける新住民のスムーズな受け入れのための活動が続いた。その方策のひとつに「高田コミュニティ便り」がある。地域の情報宅配便である「便り」は、必要と感じられた折々に発行するという柔軟なスタイルで、人びとの触れ含いを深めてきた。
 平成4年12月には、高田地区コミュニティ20周年記念祝賀式を開催し、住民からの公募で「シンボルマーク」が決定され、「旗」と「コミュニティ音頭」が作られた。「築く高田の故郷づくり、ヤットヤレヤレ」と囃すこの音頭は、地域の人びとがともに踊って楽しめる愛唱歌となり、年に1度の「高田まつり」はこの歌から始まり継続されている。


未来に向かって

 現在では、町全体の3分の1が居住する人口約10、000を超える大地区となっている。増加した住民の生活状況に適応した新しい住民交流施設「高田コミュニティ・ガーデンホール(仮称)」建設に開する陳情組織を作っている。また、住民の高齢化も進み、寝たきり老人や独居老人等の孤独に陥りやすい住民一人ひとりに、どのように心のふれあいを築いていくかもこれからの課題である。