「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

視覚障害者の自立と社会参加を助けて
長崎県諫早市 諫早コスモス音声訳の会
 諌早コスモス音声訳の会(代表・立用久子さんメンバー46人)は、視覚障害者の自立と社会参加の手助けを目的に、視覚障害者が読書をする時の「目・視覚」の役割を果たすため、小説などの印刷物の内容や地図などの視覚から得られる情報を音声訳し、テープに吹き込み配布している。視覚障害者との交流を通して要望があった音声訳テープを作る活動や明瞭で聴きやすいテープを制作するための研修等の活動も行っている。


「目の不自由な方にも読書を」

 同会は、視覚障告者の「自分たちの住んでいる街をもっと知りたい」という要望に応え昭和63年1月に活動をはじめた。
 長崎県立盲学校や諌早市立図書館に寄贈したテープは200巻余り、これまで音声訳したテープは500巻余りにのぼる。内容は多岐にわたり、毎日の生活に必要な市報や広報等の「声の市報いさはや」「市議会だより」、テレビやラジオでは伝えられない街の小さなニュース、新しいお店を紹介する「コスモス便り」や諌早史談や郷土の文化等を紹介する「めがね橋便り」、電器製品の取り扱い使用説明や詩吟の本等のプライベートサービスも行っている。また、街をひとりで歩きたい、買い物にもひとりで行ってみたい、他の地域の友だちに郷士諌早の話しをしたい等の要望に応えるために「声の地図」を作った。これらのテープの制作は、固有名詞の読み方の確認からはじめて何回も練習を重ねて録音するため、完成までにはかなりの日数を要する。
 このため、同会の会員は音声訳の基礎を習得していないと、使いやすい音声訳テープがつくれないことから、社団法人長崎県視覚障害者協会主催の朗読奉仕員養成講座の修了を入会の必須条件としている。また、利用者の要望も年毎に多様化するため、それに応えられるような音声訳技術と、録音器具の操作技術の向上も必要となるので、そのための研修も実施している。


多種事業を通して要望を募る

 また、その他の活動として、テープ利用者の要望を知り、視覚障害者との交流を深めるため、障害者との集い等の各種行事への積極的な参加、盲老人ホーム等への施設訪問なども行っている。
 さらに、県や市が行うまち作り事業「はなし言葉講座」の無料公開講座、「諌早声の地図づくり事業」等の主催、長崎県地域づくりネットワーク協議会が行っている地域活性化アドバイザー派遺や地域活性化グループ間交流事業等への参加や、諌早市民まちづくり協議会での期読奉仕研修事業に参加している。
 同会では、これらの活動を通じて、利用する人の声を聞きながら、楽しんで聞いてもらえる音声訳のテープ作りに取り組んでいる。