「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

子どもたちとの交流を深める“ふれあい農園”
兵庫県太子町 老原営農組合ふれあい農園部
 太子町老原ふれあい農園の開園をきっかけに、他集落から耕作に来る人とのふれあいを大切にし、とくに子どもたちとの世代間交流を深めるために体験農業活動に取り組んでいるのが「老原営農組合ふれあい農園部」(代表・桑田さんメンバー25人)である。


休耕田を利用して他地域の人との交流を

 ふれあい農園の開園は平成3年4月。野菜や花などを栽培して、自然にふれあい、農業への理解を深めてもらおうと町が開園した。農園の管理と運営が老原営農組合に委託されたのを機に組合内にふれあい農園部をつくり、農業体験に来る人たちの指導役を務めることにした。
 春・秋野菜づくりの講習会では、技術の向上を目指すだけでなく、地域住民にも参加を呼びかけ、お互いのコミュニケーションを生みだし、地域間交流を図ることにしている。
 しかし、開園当初は101区画中49区画の利用しかなかった。「田んぼを休ませておくのはもったいない」と、平成4年には休耕田1600平方メートルに町の花ひまわりの種をまき、ひまわり園も開園。円形状のひまわり畑の中央には交流の場にとふれあい広場をつくった。オープニングセレモニーではアドバルーンを上げたり保育園児のマーチング演奏などが花を添えた。この模様は新聞、テレビなどで報道されたこともあり、県内外から多くの来園者があった。平成7年にはついに全区画を耕作するほど参加者は増えていった。


子どもたちにも農業体験

 ふれあい農園に農業体験に来る人と地元住民との交流をどのようにするか。そのための手段として、コシヒカリを昔ながらの手植え、有機栽培、滅農薬でと呼びかけた。この話しが学校で広まり他集落の子供会との交流につながった。さらに噂は広がり校区全域の児童が参加するようになった。「おっちやん、今年の田植えはいつやるんや」と子どもたちに聞かれるようになり、メンバーも張り合いが出るという。
 手取り足取りの指導は、手植えの田植えから、除草機での草刈り、成育調査、稲刈り、結束、運搬、足踏脱穀、藁細工と米作りの一連の作業。作業が終われば婦人会などの女性たちがつくったおにぎりを食べながら、米作りの他、缶・びんのポイ捨て防止、環境美化などの問題を子どもたちに話している。体験した子どもたちには校長先生から「体験の証」が手渡されるが、これが子どもたちには大きな励みになっている。
 今後同会は、町主催による“さつまいも掘りオーナー”の募集に合わせて、部員の休耕田約10アールにさつまいも苗を植え、いも掘りに来るオーナーを歓迎し、都市住民や町民との交流を図ろうと準備を進めている。