「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

自らの手による地域づくり
長野県木島平村 木島平ふるさと会議
 地元に開発計画が持ち上がったのを契機として、地域のあり方を模索する住民の組織・木島平ふるさと会議(代表・持田郁夫さんメンバー40人)が生まれた。同会議では「ふるさとの未来は自らの手で」を合い言葉として、地域の将来ビジョンづくりや多くの人びとの力を結集したイベントを開催して、地域の活性化に努めている。


開発計画の浮上が発足のきっかけ

 長野県木島平村は、面積の80%が山林。ブナの原生林や湿原は、自然の宝庫として村の貴重な財産となっていた。バブル時代、大手企業を入れた開発計画が浮上した。村内にはこの計画に関する議論が巻き起こった。その中で20〜40歳代の人たち40人ほどが集まり、昭和63年9月、一木島平ふるさと会議一が結成された。
 開発計画に対し、同会議では会員各自の立場等もあって意見の集約まではしきれなかったが、開発問題や村の歴史等を学習しながら、地域に関わる諸問題の学習、地域将来ビジョンの研究などを深めていった。そして単なる議論だけに終わらせるのではなく、住民を巻き込んだ事業を実施することを基本姿勢とした。また他市町村の地域づくり団体に呼びかけ、お互いの活動の刺激になればと、「村おこし団体交流会」を発案し、現在、各団体持ち回りで開催されている。


地域住民の力を結集したブルースカイフェス

 村は障子紙として知られる内山和紙の発祥の地。経営が行き詰まっていたこの内山和紙の「体験の家」を会員が出資し、組合法人を設立。現在美大卒の女性が管埋を行い、菌茸の栽培工場と和紙の体験の家を合わせて運営し軌道に乗せている。
 平成4年の夏、有名歌手などを招いての「ブルースカイフェス」と銘打つたイベントを開催した。500万円を超える協賛金、100人を超えるスタッフ、入場者も3000人を超え、地域の人たちに大きな反響を呼んだ。しかし興行的には赤字だった。連日の会議、会員は一人ひとりと離れていったが、逆に残ったメンバーは結束した。チケットの販売に他県まで足を伸ばすなどしながらも、このイベントは毎年開催されている。平成8年の第5回では、内山和紙で漉いたスクリーンを作り、映画祭を催すなど、コンサートだけではなく地域を考えるプログラムも入れてきた。今では地域の夏の催しとしてすっかり定着している。
 結成8年を過ぎ、会員も社会的に中核となるべき年齢に達し、地区や各種団体の中でも重要なポストを占めるようになった。同会議での活動はもとより、その体験を活かし、それぞれの立場で、地域の活性化を図っている。