「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

70世帯の生ゴミを堆肥化、有機肥料として農園に
東京都八王子市 私たちのまちから 生ゴミを100%出さない会
 家庭から出るごみのうち、重量比で半分近くを占めるのが生ごみ。この生ごみを回収し、有機肥料に再生し、自分たちの持っている畑で有機栽培をしているのが、「私たちのまちから生ゴミを100%出さない会」(代表・近岡吉雄さんメンバー70世帯)だ。


100トンの生ゴミを処理

 この活動が生まれるきっかけは、代表の近岡さんの会社が工業団地にあり、そこから出る弁当の残りやお茶がらの収集を清掃事務所から拒否されたことにある。もともと環境問題に関心があった近岡さんたちは、自分たちで生ごみの処埋をしてみようと思い立った。
 70世帯の生ごみが有機肥料になるまでの流れはこうだ。
 各家庭では生ごみの水分を取り除き、会のネームが入ったポリ袋(水切りのため孔があいている)に入れ、玄開先に出しておく。これを曜日ごと決められた担当者(1人が10世帯を受け持つ)が集めて、高速醗酵処理機に投入する。72時間後、この生ごみは堆肥となり自動的に出てくる。この中からビールの王冠や弁当の笹の葉などの不純物を取り除き3キログラム入りの袋に詰められる。この堆肥は、畑の肥料に使われるほか、消臭効果があると、各家庭で収集されるまでの生ごみにも振りかけられる。そして東京都肥飼料検査所での分析検査や植害試験の結果、「最高の肥料」との評価を得たという。グリーンスターという名前で肥科として登録されている。こうして年間100トンの生ごみを処理し、7トンのグリーンスターを生産している。


将来は学校給食の残飯の堆肥化も

 もちろん、このしくみは1日にしてできたのではない。最初、生ごみの破砕機と処埋機は別々であり、破砕された生ごみの悪臭で苦情が寄せられたこともあった。そこで、メーカーに処理機に破砕機を組み入れてもらい、この機械をローンで購入することにした。現在、会では3つの農場を持っている。これは生ごみを提供してくれる人たちの畑として使われ、休みの日には会員が、お弁当持参で、耕したり、草取りをしたりして、きゅうり、なす、トマトなど多種多様の野菜が作られている。
 今後は、3カ年計画を立て、学校給食の残飯の堆肥化、その堆肥を使ってできた野菜を一般市場に出すなど、将来の構想は広がっている。