「ふるさとづくり'98」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

大気汚染の測定を始めて20年
東京都渋谷区 渋谷区生活学校連絡協議会
 昭和53年、甲州街道、明治通り、首都高速道路に囲まれていた地域に住む生活学校のメンバーは空気の汚れがひどいことから、大気汚染の学習を始めた。これをきっかけにして、渋谷区生活学校連絡協議会(代表・鈴木和子さん、メンバー194人)が「大気汚染(NO2)の測定」を統一テーマとして活動を始め、今年で20年になる。


地域住民の参加で運動に広がりを

 きれいな環境を取り戻すためには、まず地域の大気汚染の実態を把握することが第1歩と考え、定期的に測定を実施している。測定方法は「天谷式簡易測定方法」で、6月と12月の年2回、幹線道路・主要道路・生活道路等で測定している。その結果、幹線道路は濃度が高いが、樹木が多くあるところでは低かった。このことから樹木による大気汚染の浄化力などについても学習した。さらに、地域住民にも汚染の実態を知ってもらうため、測定には他団体や住民の参加を呼びかけている。
 この運動をより大きなものにするため、大気汚染測定運動東京連絡会と連携、年2回開催される東京都全域測定報告集会も数年前から渋谷の会場で行われ、参加者が年々増えている。その中で特に、中・高校生の姿が目立って増えており、関心の高まりを実感している。


青空を取り戻そう

 この間、大気汚染に対する社会の認識は徐々にではあるが進んできたようである。環境アセスメントの法制化では、今度こそ実効ある「環境アセスメント法」が期待される。その他、東京都環境条例・基本計画など、ささやかな追い風を感じる。だが現実は、NO2の濃度はやや上昇していく傾向にあり、快適な生活環境、きれいな空気の実現はまだまだ先のことのようである。
 今後は、NO2の排出量を規制するとともに、生活環境中の濃度を低減する方策の開発が急がれる。会として、これらの課題にどう取り組み、解決していくのか道のりは遠い。しかし、平成9年3月には「大気汚染(NO2)測定報告書」第3集を発行し、住民に広く周知を図っている。また、私たちがカプセルの取り付けをしていると、近づいて来て質問し、関心を深めてくれる地域の方々に勇気づけられることも多い。
 私たちは、これまでの活動の実績を力として、地域を愛し、健康に暮らせる地域づくり運動を継続させていきたい。