「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

農業を通じた国際交流
長崎県外海町 フェルム・ド・外海
 ふるさとの農業が衰退し、農家の人でさえ野菜を買う。そんな現状を何とかしたいと、農業に携わる女性たちの学習活動が始まった。フェルム・ド・外海(代表・山田美智子さん・会員12人)は、フランスの村と姉妹市交流もあるまちの特色を生かし、ホームステイの受け入れやまちの特産品開発に取り組むことで、まちの活性化に貢献しようと活動を展開している。


町の歴史に因んだ農業学習会

 外海町は海に面した自然に恵まれた町である。農業が中心の町であるが、その外海町でも農業はだんだん衰退し、農家が八百屋から野菜を買うという光景が見られるようになった。これは何とかしなければと、地元農家出身の日宇スギノさんが農家の女性たちに「学習会を開きましょう」と呼びかけた。昭和58年「フェルム・ド・外海」(フランス語で「外海の農場・農家」の意味)の誕生である。この町の歴史を語る上で忘れてはならない人物にフランス人、ド・ロ神父がいる。明治時代、地域住民の暮らしの向上に尽くしたド・ロ神父は、住民に尊敬され、愛され続けている。そのド・ロ神父の生誕の地、フランスのヴォスロール村と外海町は、姉妹市として交流が続けられている。「フェルム・ド・外海」は、このような町の歴史に着目し、それと関連づけた活動を考えていこうと「自主的に集まる学習会」を目指した。


特産品づくりから各地との交流へ

 まず着手したのが、さつまいも、じゃがいもが中心だった農産物を見直すこと。何回かの勉強会を重ねるうちに、京いも、真っ赤なビーツと種類が増えていった。そして加工品の勉強会の成果として、みそや漬物の製造販売も始めた。
 20〜70代、職業もさまざまなメンバーが知恵を出し合い生まれたのが、フランスとの交流を生かした特産品づくりだった。フランス鴨の飼育、それを料理する時に相性のいいハーブの栽培である。それらを軸にハーブの集いを開催。コンサートやハーブについての講演会、そしてもちろんハーブ入り鴨料理は県内各地から集まった人たちに大好評を博した。
 宗教研究、農業研修などのため外海を訪れる外国人がいる。メンバーたちはホームステイで彼らを受け入れ、国際交流を楽しむ。海外だけでなく、都会の人との交流も、特産品を詰めたふるさと宅急便を通して生まれている。これからも地域の活性化に貢献していこうと、彼女たちの元気な取り組みは続く。