「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

文化と観光のまちを目指したビジョンづくり
山口県岩国市 菜の花学校
「自分たちの住むまちがこのままでは、経済的にも文化的にも行き詰まってしまう。何とかしよう」と立ち上がった市民によって結成された菜の花学校(代表・西村宏さん、メンバー50人)は、岩国の良さを再発見するとともに、文化と観光のまち−岩国を目指してのビジョンづくりなどの活動を展開している。


岩国のまちを何とかしなければ

 このままでいくと、わが岩国は衰退してしまう-こんな危惧を持った、市内に住む自営業者、公務員、主婦、議員、サラリーマンなど50人が集まり、「手づくりのまちづくり塾-菜の花学校」を、平成5年5月に結成した。会では、各界から招いた専門家によるまちづくりの講義やメンバーの討議により、まちづくりの理論と実践を学び、その中から、岩国のまちを考えていこうとしている。
 そのなかから、いくつかの成果も生まれてきている。
 その1つが、平成5年に行った「いいまち岩国ベスト10」である。これは岩国の良さを再発見しようと、市内の「景観」「建物」「イベント」「うまいもの」「人物」の5分野で、それぞれベスト10を選定し、表彰するというもの。例えば、イベントの部では「錦川イカダ下り」や「吉香公園のフリーマーケット」などを選んでいる。そしてその内容を冊子にまとめ、市民に配布し、岩国の良さを再認識してもらうというものだ。平成6年にも、「工芸」「生け垣」「フロントデザイン」「ポケットパーク」「道・橋」の5部門で同じように選定し、表彰を行っている。


岩国未来史の作成

「岩国未来史・パート1(岩国・横山地区)」も、討議などのなかから生まれてきたものだ。これまで岩国の観光は“通過観光”“トイレ観光”といわれていた。しかし、市内の横山地区には、錦帯橋などの歴史的施設が数多く存在している。未来史では、横山地区を歴史遺産、文化施設などを盛りこんだ「文化・観光ゾーン」に再構成しようと提言している。そのため、景観条例の制定や歴史的建造物の保存などを積極的に進めること、市民・行政・企業が一体となって対応することの大切さを訴えている。
 また横山地区には、江戸時代に建てられ、歴史的価値も高いとされる「旧吉川家門長屋」がある。この門長屋は老朽化がひどく、取り壊しの話が出ていた。会では、この建物を修復するため、請願書を市議会に提出するとともに、募金を呼びかけ修復を目指している。