「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

使用済み割り箸から紙を再生する運動
鳥取県米子市 新王子製紙(株)米子工場 環境ボランティアグループ
 新王子製紙(株)米子工場ボランティアグループ(代表・渡辺則利さん、メンバー10人)の活動は、平成4年7月から地域を構成する住民、行政、企業の三者が協力し、身近な地域環境を見直し、自分たちが汗を流して、地域の環境改善を図るグランドワーク運動として(1)使用済み割り箸を回収し、紙を再生する、(2)家庭用廃油を回収しボイラーで焼却処理をする、(3)健康増進ウオーキングをかねて、米子市内、海岸、公園、大山等で月1回、工場従業員による環境美化、清掃活動を展開することである。


“製紙原料にしますので、集めてください”

 使い捨ての典型として、環境保護団体からやり玉にあがっているものに、割り箸がある。これは、清潔さに加えてうどんやそば等の使用に適していて、食の伝統文化になっている。しかも、間伐材や建築用材の残りであり、必ずしも無くしていいと言うものでもない。しかし、使い捨てだけではいけないと、平成4年からリサイクル運動に取り組んだ。社員食堂や従業員に呼びかけて始めた運動は、周辺地域に広がっていった。“製紙原料にしますので、集めてください”という呼びかけは、皆生温泉の旅館組合にも受け入れられた。さらに、ここのおかみさん会の協力によって、全国的な広がりを見せてきている。ちなみに、割り箸10キログラム(2,500膳)でテイシュペーパー15箱ができる。また、3膳でA4判のコピー用紙が1枚できる。
 地域を構成する住民、行政、企業の3者が協力しあい、身近な環境を見直し、自然環境や地域社会の基盤整備をはかる、現場で自ら汗を流して地域環境の改善を図る活動は、グランドワーク運動として根づいてきている。


根づいてきたグランドワーク運動

 これまでに、新聞、テレビ等で報道され広がりを見せているが、その一例をあげると、全国にある新王子製紙の7工場でも受け入れているのはもちろんのこと、島根、鳥取両県の17店舗を有するスーパーでも回収箱を置いている。また、松江温泉から排出されるものはスーパーの物流を利用して回収、埼玉県蕨市の小学校は郵送で、兵庫県赤穂市の小学校からはPTAも協力して軽トラックで搬入されている。岐阜市内の中学校では近くの旅館、ホテルから回収したものが愛知県の春日井工場に届けられている。
 この運動は、資源の大切さを実践活動を通じて訴えるものであり、ごみの減量化にもつながるところから、北は北海道から南は九州に至るまで、250通の手紙や電話による激励を受けるまでになっている。