「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

行動するまちのシンクタンク
兵庫県加西市 文化サロン「クリエイト'89」
 地方の時代が始まる。地方自らが輝き、21世紀の豊かなふるさとの顔と心をつくり、地域の価値観で地域社会を創造する人づくりを目指し、市民のコミュニケーションの場として、1989年に文化サロン「クリエイト’89」(代表・伊藤一夫さん、メンバー50人)が誕生した。勉強会を重ね、イベントの実施や企画、他団体への協賛活動などを実施し、ふるさとのイメージが、空気まで明るくさわやかに大きく変化してきたように感じられる。


映画文化の花を咲かそう

「まちを愛することは、まずまちを知ることから」と、毎月1回の例会を開催。市内外の各分野からユニークな講師を招き意見交換をしている。たまたま、映画製作に携わっていた講師の話から映画談義に花が咲いたのをきっかけに、映画文化をふるさと加西に広げようと、県下初、日本最大級のドライブシアターの開催を計画した。会場の手配、映写機の確保、超大型スクリーンの製作、ポスター・チラシづくり、資金の調達などに奔走した。シアター会場としては会社の遊休地を借り、会場の草刈り・整備に2か月を費やし、すべてが手作りだった。当日は遠方からも多くの車が集まり、大成功であった。このドライブシアターの収益金は、まちにモニュメントを設置するため、市へ寄付をした。やればできる、夢を持ってチャレンジすれば道は開けるということに、市民、とくにまちの若者に大きなインパクトを与えたようで、それ以来まちのあちこちで様々なイベントが活発に実施されるようになった。


かさい夢っ子クラブ誕生

 さらに、子どもたちにふるさとのすばらしさを体験させようと、学校が週5日制になったことを活かして、小学校高学年の親と子どもを対象とした「かさい夢っ子クラブ」を結成した。太陽と水、風、山、川、海・・・、大自然を舞台に夢を描くのが目標。花づくり、いも植え、和紙づくり、夏休み無人島探検、魚釣りなど、様々な体験学習をしてきた。また、年間を通して子どもたちが熱中したのは、排ガスを出さないクリーンな車として注目されるソーラーカーの制作。廃物を利用し、父親とともに子どもたちが車の型・デザインを考え、迷いながら夢いっぱいのソーラーカーを1年がかりで完成させた。遊びながら自然に、エネルギーや環境問題にも目を向けてもらうことができた。
 グループや既成の枠にとらわれず、行動するまちのシンクタンクとして、ふるさとを愛し“まち”にこだわる活動は、個性的で夢のあるふるさとづくりに大きな成果をあげている。