「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

夢集め、ため池の再生を目指す
大阪府熊取町 長池地区ため池環境づくりワークショップ
 環境汚染が進み、迷惑施設となっていたため池を、住民と行政が協力して再生、地域の憩いの場と変えた。その原動力になったのが長池地区ため池環境づくりワークショップ(代表・原田勇さん、メンバー35人)である。


構想マップをまとめて

 このため池は、20年前に造成された住宅団地内にあり、今でも農業用水として利用されていた。しかし、ため池の堤は壊れかけ、ゴミが捨てられ、水質も悪くなっていた。しかも、周りには樹木が生い茂り、暗い雰囲気の場所となっていた。そして、周辺の自治会でも問題になっていた。こうした時、大阪府や熊取町がため池の環境整備を計画、その方法として住民にもワークショップ方式による計画づくりへの参加を呼びかけた。これに応えて、地域住民、公務員、関係団体などの有志が参加した。
 平成6年度から始まったワークショップでは、まず、ため池の起源や歴史、その役割について講義や問題提起を受けた。引き続いて、ため池の現状をきちんと把握しようと、実際にため池に足を踏み入れたり、水生生物や野鳥など調査をしたり、写真に撮ったりした。こうした活動をもとに、どのようなため池、また周りの環境をいかにしていくか、グループに別れ議論を進めている。各グループが「ため池マップ」をまとめ、それをもとにメンバー全員が納得できる整備案をまとめることになった。


地域住民にも積極的にPRし

 平成7年、メンバーはこの案を地域の自治会など住民に知ってもらい、環境改善に協力してもらおうと「ため池ふれあいマップ発表会」を企画した。ワークショップ活動の経過やスライドによってため池に来る野鳥の説明、そして構想マップについての発表が行われ、住民からも意見や提案が出された。これ以後、住民の関心も高くなっていった。
 平成6年、ワークショップが始まった時には、参加しているメンバーは有志とはいえ、まだおつき合い程度という感じであったが、作業や討論を重ねるにつれお互いの熱意も理解でき、親しみがわきさらに熱心な活動につながっていった。
 平成8年からは、さらに構想に沿って整備内容を具体的なものに詰めることになっている。それだけではなく、完成後の維持管理はどうするか、子供たちの事故などにどのように対応するか、なども課題になってきており、新しいメンバーの参加を得て充実を図っている。