「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

地域の昔話を掘り起こし伝承活動
静岡県天竜市 上阿多古草ふえ会
 天竜市上阿多古草ふえ会(代表・野澤初代さん、メンバー20人)は今から21年前に上阿多古地区に住む主婦達で作った自主グループで、「郷土愛の心を培い伝えよう」をテーマに、地区の昔話の堀起こしと伝承活動を継続し、今では市全域へと活動範囲を広げている。


子どもの宿題「地域の民話調べ」が題材

 昭和50年度上阿多古小学校家庭教育学級の中から、「自分の手で生きがいを創造し、そこから得たものを何らかの形で地域に還元していきたい。」の声が上がり、たった5名で「上阿多古草ぶえ会」を発足させた。
 丁度その頃子供の宿題に出された地域の民話調べが、私たちの格好の題材となり、今の時代、子どもたちが失っていく純粋さや郷土愛を何とかしたいとの思いを、テーマ「郷土愛の心を培い伝えよう」に託して、昔話伝承活動を始めた。


伝説集など収集、出版活動のあらまし

・伝説集「ふるさとものがたり」
 昭和51年度自費出版。地区の昔話100話を収録。1,300部は瞬く間に完売となった。
・童話集「ふるさとものがたり」
 昭和52年度自費製作。地区の昔話10話をガリ版刷りの本にし、地元小中学生全員に無料で配布した。
・脚本集「ふるさとものがたり」
 昭和56年度自費製作。地区の昔話10話を方言をふんだんに使った民話劇に脚色、ガリ版刷りの本にし、地元小中学校や公民館等に無料で配布した。
・昔話「ふるさとものがたり天竜」
 昭和63年度自費出版。昔話160話を収録し、子供達から募集した絵をカラーで挿入。3,000部印刷したが、あっという間に売り切れた。また、この中から80話を60分テープ6本に吹き込み、市内の14校へ無料で配布した。
・地元民話人形劇等の公演活動
 53年度以降、市内の公民館祭りや幼稚園、小・中学校・各種施設、イベント30分程度の劇を年間10回程の公演を行っている。等身大の人形、歌、振り付け、演出等すべて手作りで、自分の体の前に付けて演じる、草ぶえ独特の等身大人形は、子供達に大好評である。
・脚本集「ふるさとものがたり天竜」
 A5版・465ページ(43話)を発刊予定。
 現在は、若い人の参加希望が多く、今後の進め方を検討中だが、子供達の心に郷土愛を、地域の人々にふるさと志向の盛り上がりを、そして自分自身の心に豊かさを求めて、これからもソフト面での地域活性化を図っていくことにしている。