「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

歴史と自然をいかして計画づくり
長野県飯山市 小菅むらづくり委員会
 地域の将来を心配した青年有志が、小菅むらづくり委員会(代表・真島一徳さん、メンバー6人)を結成した。そして、自然、文化、歴史を生かした小菅の里博物館構想などを盛り込んだ地域基本計画を策定して地区に提案、その実現の原動力となっている。


みんなの夢が行動力に

 小菅地区には、祭り復活や桜の植栽などに取り組む浅葉野会という青壮年の親睦団体があった。結成20年を迎え、運営や地域の将来について見直しや不安を訴える意見が聞かれた。その結果、新たに委員会を作り、地域の将来像をまとめることになった。電気、車検、土建などの様々な職業の人々7人は、夜遅くまで検討を重ね、みんなの夢が語られた。その結果、現在住んでいる人にとって「もっと住みよいと感じられる地域」やこの地を訪れる人たちが「何度も訪れたいと思える地域にしたい」と、「小菅の里整備基本計画」を作成した。地区総会に提案、「今さら、どうにもならない」との意見に対して、委員は行動の必要性を力説承認された。そして、平成4年から10年計画で実現が図られることになった。


地域すべてが素材となる

 その基本の構想には、小菅の里博物館、自然環境の保全、南竜池自然観察園などが盛り込こまれている。
 小菅の里博物館構想は、地域全体が博物館というエコミュージアムという考えで、住民や訪れた人に、地区の自然、文化、歴史をその場で見たり、感じたりしてもらおうというもの。住民の心のよりどころである地区内の神事の物語、栄えていたころの地域の様子を語る伝承や民話集の発行、地区内の案内図、案内標識、看板等の作成、配置、また、放置されていた講堂を片付け里祭り資料館として開設、運営などが始まった。また、里山の雑木林の下草刈り等を行い、野草カタクリの増殖をはかったり、自然観察会も開いた。自然景観の保全構想としては、かつてあった杉並木のイメージを復元することにした。これは、単に杉並木の再現というのではなく、除雪の邪魔にならないところには桜を植える、植栽の不可能な部分については花を植えて花街道や、ほ場整備の幹線道路は桜にするという。また、南池湖跡地にはさまざまに手を入れ自然を再生し、みんなに親しんでもらおうというもの。
 構想が出来て動き始めた。困難は多いが、委員会では「天は自ら助くる者を助く」を、地区住民の気持ちとして、さらに多忙な毎日を送っている。