「ふるさとづくり'97」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

郷土芸能「はねこ踊り」で地域おこし
宮城県桃生町 寺崎はねこ踊り保存会
 古くから豊作を喜び神への感謝を込めて地域で踊り継がれてきた「はねこ踊り」を伝承していた青年会・青年会OBや愛好者で、昭和42年4月「寺崎はねこ踊り保存会」(代表・佐々木一さん、メンバー40人)を設立した。昭和44年全国青年大会をはじめ、全国民族芸能大会やアジア太平洋うたとおどりの祭典などへの出演。また、町内2小学校で囃子と踊りの指導、4年前から開催の“はねこ踊りフェスティバル”は町の最大イベントに成長した。


小学生への伝承活動

 昭和51年から、町内の中津山第二小学校全生徒にはねこ踊りを指導。運動会・学芸会・収穫祭等で発表され引き継がれてきた。当時の生徒は、現在青年会員で地域活動のリーダーとなって活躍している。この頃町内には12の青年会があったが、今は郷土芸能を通じ活発に活動している寺崎青年会のみである。7年からは中津山第一小学校でも囃子と踊りの指導を始めている。寺崎地区で、はねこ踊りを盛大に披露するのは4年に1度(オリンピックの年)八幡神社の大祭で、地区民総参加の祭りとあって、小中高女子・一般のはねこ踊り、中高男子の獅子舞、神楽が1日中続き、大祭には地域出身の帰省客や首都圏で組織する桃生町人会の故郷訪問ツアー等、内外からの観衆で地域の祭りとは思えない程の賑わいを見せていた。
 また、元年に東京都立清瀬養護学校高等部の生徒70人が修学旅行で来町、はねこ踊りを体験したことが契機となって、現在も大祭や田植え時にも訪れ交流を深めている。


やがては東北何大祭りの1つに

 同会が指導するはねこ踊りと囃子は、町内はもちろん県内外に広がりを見せている。6年にアジアうたとおどりの祭典で一緒の出演だった鳥取県の方々をはじめ、北海道、広島からも地元でイベントに生かすため体験に来町したし、東京や千葉、埼玉などの小学校では、囃子の楽譜を作り「宮城県桃生町のはねこ踊り」が披露され、体験活動教育に活かされている。
 今後は、全国愛好者のネットワークをつくり「はねこ踊り」で交流を深め、地域おこしの結びに考えている。また、4年には県の国際交流事業でシンガポールでの公演があり、これを機会に桃生町国際交流協会のメンバーとなって、この事業にも積極的に取り組んできた。
 そして4年9月から地域の大祭時に、前夜祭“はねこ踊りフェステバル”を開催し大成功を納めた実績から、町主催の夏祭りとドッキングした町最大のイベント、“はねこ踊りフェステバル”in桃生「ものうふれあい祭」(毎年9月第2土曜日開催)まで発展した。同会は、この祭りがやがて東北何大まつりの1つに挙がることを楽しみに活動している。