「ふるさとづくり'96」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

魅力ある集落づくり
新潟県 山北町
 新潟県の最北端に位置する山北町は、海岸線が県立自然公園、南部の11キロは国の名勝天然記念物「笹川流れ」が指定されている。この歴史とロマンを秘める自然豊かな景勝地や町の振興に「観光」を主要産業にと平成元年「山北町観光開発基本計画」を策定、全48集落で地域の自然、歴史遺産を大切にした住民による「魅力ある集落づくり事業」をスタートさせ、遊歩道・公園体憩舎の整備、集落標示板の設置等次々と成果を上げている。


恵まれた自然、生活文化資源の調査

 この集落づくりは、住民の創意と工夫によって地域づくり事業を計画し、実践活動を通じ整備していくものである。町では取り組みの手順として(1)座談会の開催(2)委員会の設置(3)生活文化資源調査(4)事業計画の策定(5)事業計画の住民合意の形成(6)事業計画の実践、6項目を示し進めることにした。48集落での座談会は延べ23日間にわたったが、なかには「本来行政がやるべき仕事ではないか」「住民の手づくりが原則と言うが暇はない」「観光資源は何もない、何をすればよいか」等、不満の声も聞かされた。しかし、住民の話し合いで委員会が組織され、名称や集落の待色を生かしたテーマが設定されるなど、これまで地域づくりへの参加の少ない若者や婦人も積極的に参加し推進母体が整っていった。委員会がまず取り組んだのは「生活文化資源調査」の実施である。この調査によって、それぞれの集落でどのような宝が眠っているか、住民はあらためて地域の価値を再発見することになったのである。


住民総出で「遊歩道整傭」など着々実現

 町は、各集落の委員会にアドバイスする職員体制や財源を考慮して、平成元年、2年度にに分けて取り組むことにした。集落の計画は多様な角度から十分協議を重ね、地域住民の理解と合意を得た内容で「集落で実行可能を等身大のもので、しかも楽しいものであること」などを前提条件に、計画期間は平成7年度までとした。計画に基づく事業には1集落100万円を上限に補助を行うが、資材購入や計画を実現するための作業はすべて住民の人海戦術で実施されたものである。
 これまで具体化した事業は、遊歩道整備・公園休憩舎設置・集落標示板設置・集落沿革史の発行・集落の歌づくり・ホタルの里づくり・ミズバショウ公園整備やアジサイロードづくり、清水の湧水地整備・日本国市場の開設などハード・ソフトにわたる地域のシンボルが実現、住民の創意工夫ならではのユニークな集落づくりが全町で取り組まれている。これからも町民一丸となった個性ある町づくりを進めたいとしている。