「ふるさとづくり'96」掲載
<市町村の部>ふるさとづくり振興奨励賞

循環型社会を目指し我孫子式集団回収
千葉県 我孫子市
 人口は急増し、ごみは増え、昭和51年市内に最終処分場が確保できなくなった。「埋立処分場のない都市清掃事業」に取り組んで15年、不燃物の排出量は当時に比べ2分の1に減った。これは、住民・回収業者・行政によるリサイクルを促進し、都市の物質循環システムを計画的に進め、長期的なまちづくりを実現しようと基本計画を策定し、これに基づき徹底した分別収集「我孫子式集団回収」を行った成果である。


全世帯対象の資源回収

 それまで、資源回収は、子ども会やPTAが廃品回収を実施しており、行政はごみ減量の観点から1キロ2円の助成金を出しその輪を広げようとしてきたが、不燃系のビンや缶、全属等が大きなウエート占めてい、それが手に及ばなかった。そこで、この部分の減量を考え昭和56年1月から、半分は行政指導で全市的に資源化事業をスタートさせた。
 子ども会やPTAはこれまで通り地区の資源回収実施母体とし、子ども会等組織のない地域は自治会や町内会を実施団体にし、現在全世帯参加で215団体が登録している。資源回収は、50世帯に1ヵ所のステーション方式で月2回実施。品目は、新聞・雑誌・ダンボール・雑紙・牛乳パック、古着・布団等、ビン・ガラス類(特殊ガラスは除く)、空き缶・自転車・オートバイ・家庭用台所用品・バッテリー・その他金属類50%含むもの、廃食用油、発泡スチロール・発泡トレー等で、住民の責任で分別排出し回収業者に引き渡す。


事業所対象の資源回収もスタート

 平成6年に住民団体が分別排出した資源は、9、916トンで1キロ当たり5円+1世帯10円を市で奨励金として53、558千円、回収業者への赤宇補填141、522千円を支出しているが、平成5年度の実績ではごみとして収集処分した場合の経費と比べると資源回収によって272、583千円が節減されるという経済効果をもたらしている。
 平成3年10月には、市内60の事業所が自主的に参加して「我孫子エコ・ワーク町会」が設立され、再生資源取扱業者が買い取り、資源の売上金は環境の保全及び社会福祉等に役立てられている。また、平成6年5月から市と日立造船(株) が共同で開発した「焼却灰溶融リサイクルシステム」によって、焼却灰を減容・無害化処埋し、道路の資材やインターロッキング等の「資源」として活用している。このように、ごみの減量化・再資源化の結果、1日1人当たりのごみ排出量は750グラムと低く、資源化率は25・6%の高い数字である。