「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

母なる川・遠賀川に恩がえし
福岡県飯塚市 I LOVE遠賀川実行委員会
 飯塚市の住民が筑豊の母なる川、遠賀川の河川敷を舞台に大清掃活勤を実施してから7年目を迎えた。遠賀川流域は、遠賀川水系「遠賀川・穂波川・彦山川・犬鳴川・金辺川・中元寺川」で水源を馬見山に発し、幹川流路延長61キロ、流域は6市25町1村、人口67万人からなる。「I LOVE遠賀川実行委員会」(代表・曾根靖史さん、メンバー13人)は昭和63年4月結成、毎年1、000人以上の住民が参加し河川の美化活動や川に親しむ催しを展開してきた。今では、流域市町村の住民にも波及し自主的活動が各地で繰り広げられている。


美しく豊かな自然は永遠の資源

 昭和62年10月市が開催した、学園都市シンポジウムのパネリストであった近幾大学九州工学部産業デザイン学科の曾根教授は、「筑豊のことは着任早々で良くわからないが、橋の上からの中の島は、菜の花が綺麗だが、橋のたもとは空き缶やびんが散乱している。市民や学生と一緒に清掃しましょう」と提言した。これに目覚めた団体や個人有志が集まり63年4月実行委員会を結成、忘れかけていた遠賀川の大切さを再認識し、つぎの目標を掲げ取り組むことにした。
 筑豊盆地を囲む「父なる緑の山々」、太古の時代から流れつづける「母なる遠賀川」は私たちの生命であり、美しく豊かな自然の恵みは、永遠の資源であり大切な財産である。市民一人ひとりの手で大清掃をしよう「I LOVE遠賀川」をキャッチフレーズに実施した第1回クリーンキャンペーンは、1、000人が河川清掃に参加し汗を流したのである。


7回目を迎え活動の輪は流域各地に広がる

 I LOVE遠賀川実行委員会は、この事業は飯塚市で始めたが何年か先には、源流から河口まで、32の流域市町村住民がこぞって毎年10月、清掃活動に参加するようになることを夢見ていた。それが、3回目から稲波川流域の2町、5回目には彦山川流域の1市、下流の2市1町が、7回目を迎えた昨年は、約半数の流域市町村にまで拡大した。
 そして単に、空き缶やごみ拾いばかりでなく、流域市町村それぞれバードウオッチング、青空市場、チャリティーフリーマーケット、水生生物の観察、ニジマスやウナギのつかみ捕りなど楽しいイベントも併せ実施、自然保護や環境保全への意識高揚を図っている。現在、飯塚市の遠賀川河川敷や中の島は、菜の花、ポピイ、コスモスと四季折々の花が咲き、市民憩いの場所となって賑わっている。