「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

彫刻を活用したまちづくり
山口県宇部市 トーク・ウベ21
 自分たちの住むまち、子どもたちが育っていくまち「宇部」のことが気にならないか?と、卒業後20年経った高校時代の同級生8人が集まった。まず宇部を見直し、より魅力のあるまちづくりのためにと勉強会を開いた。そしてシンポジウムの開催、行政への提言、「宇部を彫刻で飾る運動」により1960年代から市内の各地に見られる野外彫刻のガイドブックを作成、彫刻をテーマに様々な活動を行っているのが「トーク・ウベ21」(代表・久保田克秀さん、メンバー16人)である。


まちの財産「野外彫刻」に着目

 「トーク・ウベ21」は昭和63年に結成。地域社会の活性化を考えるグループである。メンバ−の職業は様々。「市役所の批判ばかりしていても、まちは良くならない。自分たちに何ができるのかを考えよう」と話し合いの結果最初に着目したのが、「宇部を彫刻で飾る運動」によって、市内に財産となっている「野外彫刻」であった。
 その頃「彫刻の小路」を造り、彫刻によるまちづくりを進めていた先進地の金沢市に、手弁当でノンバー7人が視察に出かけた。視察直後、地元新聞の宇部時報に「彫刻を活用したまちづくり」について投稿する。次はシンポジウムの自主開催。参加者に配布するための彫刻の写真と位置をまとめたマップを作り、市民の関心を高めるための「写真コンテスト」を行うなどの活動を実践した。シンポジウムは大勢の市民が関心を高め、これを機に他のグループにも呼びかけて、より幅広い、具体的な活動を精力的に実践していくことになった。


愛され続けるまちを目指して

 毎日、宇部市内の幼稚園に飛んでくるペリカンの「カッタ君」は、マスコミにも取り上げられる大の人気者。そのカッタ君を宇部のシンボルマークにし、イメージアップ作戦に使うことを市に提案。彫刻絵はがきの自主作成、まちづくり座談会「ライトアップ&トーク」の開催、ニュースレターの創刊、「彫刻のあるまちづくり・絵画コンクール」を実施、コンクールで募集した優秀作品を題材に「彫刻のある風景・カレンダー」の作成など。7年3月には「風の中の美術館」彫刻ガイドブック&マップを発行し、彫刻と市民のふれあいに大きな役割を果たしている。
 市民、行政の理解と関心を得てメンバーも増えた。宇部の「価値ある財産」として彫刻を中心に据え、子々孫々にいたるまで、愛し続けられる宇部づくりに取り組んでいる。