「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

心のつながりを求めた句碑の里づくり
山梨県中富町 “句碑の里づくり”実行委員会
 山梨県南巨摩郡中富町の「“句碑の里づくり”実行委員会」(代表・渡辺熊雄さん、メンバー8人)は、名工といわれる石工さんが今も活躍しているという土地柄を生かして町の中に句碑を建てたり、郵便句会や吟行などを通して全国の俳句愛好家との心のつながりを求めて“句碑の里づくり”に取り組んでいる。


あなたの文字であなたの句碑を

 過疎地だから何もできないのはつまらない。いっそ過疎を逆手にとって活力ある住みよいまちづくりを目指そう。この思いとタレントの永六輔さんの「句碑の里をつくったら」の提案が合体して、「あなたの俳句をあなたの文字で句碑にしてみませんか」と全国に呼びかけたのが句碑の里づくりの出発であった。
 堅苦しく考えず、自分たちも楽しめ、お互いの心の交流を深める句碑の里にしようと始めたが、永さんや落語家の入船亭扇橋師匠、小沢昭一さんなどの協力もあり、2ヵ月足らずで200もの中し込みがあった。
 同会は、句碑を建てるだけでなく、郵便を利用した句会なども行っている。全国の仲間からの投句を事務局が一覧表にし、作者名を伏せて投句者に送付。投句者は気に人った句を選び事務局に返送する。集計の結果人気を博した句による作品展を郵便局や放送局のギャラリ−で開催する。昨年の第一席は次の句だった。
 病む母にしばし良夜の障子開け 大阪府岸和田 原田皇泉


それぞれの思いが刻まれた句碑

 句碑の里づくりも7年が過ぎ、今では972基の建立が終わった。1、000基を超えるのは時間の問題である。この中には自分の句だけではなく、俳句好きのおじいちゃんの句碑を孫たちが、亡き父母の句碑を子どもたちが建てたものや、夫婦2つ並んだ句碑など、一つひとつにそれぞれの思いや人生のドラマが込められた句碑が建てられている。同会は建立者、地元の人、そして同会メンバーが「ホッ!」とできる中富町にしたいと語り合っている。
 中富町の句碑の里にはこんな句碑が建てられている。
 芭蕉も山頭火も来なかったけれど中富町は地球の真中句碑の里 永六輔