「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

下町の活性化とまちづくり
新潟県新潟市 新潟北部開発協議会青年部
 歴史と伝統のある「新潟島」(通称)は、新潟市の中心部の信濃川と開尾分水に囲まれた下町にある。かつて繁栄していた町は、高度経済成長や車社会の中で昔の街並が変貌し、人口の減少がきわだってきた。こんな中で新潟北部開発協議会青年部(代表・本間恒夫さん、メンバー55人)は、新しいまちづくりの提言や各種のイベントを開催、手づくりのミニコミ紙の発行などによって、下町の再建と活性化に取り組んでいる。


新しいまちづくりへの提言

 まちづくり提言では、第1に下町住民の半世紀にわたる悲願であった港口部ルート(沈埋トンネル)の早期完成と、生活道路やコミュニティ道路の整備をあげている。第2には、新郷土資科館の周辺は、公園の整備や早川堀の復元などを一体化し、新しい新潟島の文化ゾーンとする。第3は、歴史的な地名や道路名の標識表示を整備し、町には集会場やポケットパークなどを設けて住環境を良くするなどを行政当局に提言・要望している。


地域文化の向上目指しイベント開催

 「北部川まつり」は、川や海の恵に感謝するとともに、水難者の供養のためウスキ地蔵盆の中で毎年8月に開催している。この中で行われる早川堀用水での灯篭流しや民謡盆踊大会は、町民にとって楽しい夏祭りとなっている。子どもたちのためには「手づくりおもちゃ教室」が開かれている。「卒業おめでとうもちつき大会」は、毎年小学生の卒業を地域で祝うための行事だ。この日には数百人の住民が参加して餅をつき、トン汁を食べ、手品を皆で楽しむ。また、同会では、数年前から郷土資料館のライトアップと警備を実施している。これは、多数の観光客や市民が訪れ、県の重要文化財でもある郷土資料館を夏の間だけライトアップし、地域のシンボルとして楽しんでもらおうと、市当局の理解を得て実現したものである。
 手づくりのミニコミ紙「よみがえれ!わが町」(隔月発行)は、すでに66号になった。内容は、信濃川の整備、沈埋トンネルなどの地域問題をはじめ、地域のまつりや行事の案内、住民や小・中学生からの投稿記事など盛りだくさんである。また地元の商店や職人技を紹介する「いいものじまん」や「うんめえもん」シリーズは、大変な好評を得るなど、地域住民のコミュニケーションに重要な役割を果たしている。こうした活動を通して同青年部は、「下町の素朴で親しみやすさを大切にしながら、もっと住みやすい環境を創り活力のある町にしたい」と情熱を燃やしている。