「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

住民の連帯で広がった花づくり
茨城県美野里町 納場地区コミュニティ推進協議会
 納場地区は、平成2年自治省の「コミュニティ活動活性化地区」に指定された。それ以前のコミュニティ活動は、大字単位12の行政区ごとに実践していたが、生活圏の拡大や時勢の変化を意識し、それを繋げ広域化し、小学校区をエリアにした新たな活動域を設けたのである。
 納場地区コミュニティ推進協議会(代表・保田義光さん、メンバー5、400人)は、テーマを「自然へのいざない(快適な生活・自然環境の蘇生を目指して」と定めて、花づくりをメインにより質の高いコミュニティ活動を目指し活動している。


波及効果を生んだフラワーロード

 納場地区は、茨城県美野里町の北西部に位置し、人口約5、400人の比較的農村色が濃くコミュニティという言葉すらあまり耳にすることのなかった地域である。その納場地区が町行政の示唆により地域活動を始め、アドバイスを受けながら「遺された自然と花」に焦点をあてた景観づくりを始め、答種ふれあい事業を展開している。まず、地区南部を束西に走る都市計画幹線道沿いにつくったフラワーロード。起点に約700平方メートルの花園を有し、幅3メートル、延長約800メートルに、自分たちが育てたパンジー、マリーゴールド、コスモス、葉ボタン等の四李折々の花を植えた。
 このフラワーロードづくりは予想以上の大きな波及効果を生み、この3年間に新たに作られた花壇・花園の数は20以上。フラワーロードは延長約1.5キロに及ぶ「あやめ通り」をはじめとして「さざんか通り」、「あじさい通り」が出現し、家の前の道路や農地等の私的空間にも花を咲かせ、地域自慢の愛称道を創出する活動へと発展した。


地域を見直すふるさとウォッチング

 また、コミュニティづくりで大切なことは「集まり、語り、友になる」雰囲気づくりである。地区民一人ひとりが自分の好きな活動を選択し、社会参加できるイベントやふれあい事業として、花づくりの他「ふるさとウォッチング、花と史跡めぐり」や「自然観察会」「ふれあい写其展」「地域づくり講演会」等を開催し、視察研修やミニコミ紙も発行している。
 こうした活動が、地域は家庭や職場・学校と並んで人間にとって大切な生活の場であり、地域が抱える問題は、住民の連帯とたゆみない努力で解決できることが理解されてきた。今後は、活動で培った人の心の美しさ、まちや地域を思う優しさを糧に地域福祉という生活領域にも踏み込み、本地区ならではの相互互助システムを構築していきたいと思っている。