「ふるさとづくり'96」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
町の春をさくら色に染めたい |
宮城県柴田町 柴田町さくらの会 |
柴田町さくらの会(代表・斎藤幸一さん、会員111人)のキーワードは「さくら」。城下に戦前植えられた町花・さくらが老木化したため新たな植樹を計画。苗木代として会費を納める特別会員制度を設けた。町民だけでなく町出身、町外からの入会者もあり、今では町内各所にさくらが復活した。この活動をきっかけに産業おこしのほか、文化活動、環境整備と活動を支える基金の創設と様々な活動を計画、その実現を目指している。 町花「桜」を町民の手で守る 伊達騒動で有名な原田甲斐の居城があった同町は、明治から大正時代にかけ各所に桜が植えられ、名所になっていた。しかし、今では老木化し保護育成が必要になってきていた。危機感を抱いた有志が仲間を募り、14人で昭和53年に発足した。 会は「町民自らの手で桜の町づくりを進める」ことで20年間に1000本植樹するという長期計画を立て、財源確保のため特別会員制度を設けた。これは町民に一人1本、誕生日など記念の日に会費を出してもらい、植樹した木には会員の名前を入れたプレートをつけるというもの。町民以外の申し込みもあり、今では町内対力所に985本が植えられている。 さくらの会では、植樹だけでなく日常的に育成管理にも努めた。活動は町民の共感を呼び、地区によっては自主的に植樹するところも出て来た。さくらの会は会員も増え年齢層も幅広くなっている。話し合いは桜のことだけでなく、町づくりもテーマになることが多くなり、提案した祭りの復活、町民団体交流の場づくりは実現につながっている。 目標達成ももうすぐ 会に刺激され、町も桜育成管理費を予算化し、さくら担当職員が配置された。そして、子どもが生まれた家庭には誕生桜を贈ることになったという。 目標達成が近づくにつれ、会では次は何をするかが議題となった。桜の新種の開発、桜博物館、桜の森構想などが出されているが、「桜を愛する町民を増やし、日本一の桜の町に」ということだけは、会員一致した考えだ。このために、行政や町内各団体との協力体制を作っていくことが課題になっている。同時に、平成8年の目標達成時のイベントのためにプロジェクトを作り、大観桜会の開催など様々な内容を検討している。 町が日本一の桜で埋まり、春すべてがさくら色に染まる、その日も遠いことではない。 |