「ふるさとづくり'96」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

オオムラサキの森づくり
北海道栗山町 栗山町オオムラサキの会
 10年前、栗山町の市街地と隣接する御大師山の雑木林で、オオムラサキが発見された。ここは、町民が身近かに自然とふれ合える格好の散策コースであるとともに、オオムラサキの日本における北東限にあたるところから、栗山オオムラサキの会(代表・高林茂保さん、メンバー25人)が発足した。その後、オオムラサキの成長に欠かせないエゾエノキの里親制度を発足させたり、町民間のコミュニケーションづくりのために「耳よりな話と楽しい語らいの夕べ」等によって、活動を盛り上げている。


20年後の夢をかなえてください

 オオムラサキの森づくりを進めようと発足した会は、最近二つの事業を進めている。一つは、エゾエノキの里親制度である。実生のエゾエノキの幼木を、自宅の庭で育ててもらい、3年から5年後に山に移植していくこと。「20年後の夢をかなえてくだざい」という呼びかけに170人の町民が応え、約500本の苗木が移植されている。
 もう一つは、「耳よりな話と楽しい語らいの夕べ」の開催である。2ヵ月に一度の割合で、“町民みんなが講師”との考えに立って、ふれあいトークを開いている。町民が「木に心をきざむ」「野鳥」「昆虫」「星」などのタイトルで話をしたり、「楽器と木」「陶器と土」のように話と音楽会や陶芸展を開いている。この企画、毎回50人程の参加者があり、5年目を迎えている。


住民の結束と行政の理解のもとに

 この会が発足して以来、つぎの二つの目標が達成された。栗山町には、御大師山にかかわりをもつ自然愛好団体として、御大師山を愛する会、御大師山水系の調査を進めるホタルの会等、6団体がある。これらの団体が結集して、「いきものの里づくり協議会」が発足した。今年度、この会は、春の「合同観察会」、夏の「オオムラサキ・ホタルまつり」、秋の「栗遠足」、冬の「発表会」を計画し実施している。
 こうした住民個側自然保護に対する運動の高まりを受けて、行政もその長期発展計画の中に「蝶と緑の里づくりプロジェクト」と位置づけ、栗山公園に統く御大師山の雑木林一帯を“ふるさと自然財産”として7ヘクタールの土地をすでに購人。そして、教育委員会には、「いきものの里専門委員会」が設けられ、企画広報係では『広報くりやま』に「栗山の自然を探る」シリーズを掲載して、町民間のコミュニケーションづくりに一役買っている。