「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

若者に魅力ある国際交流を中心としたまちづくり
広島県高宮町 高宮町青年会「みんなの野菜畑」
 人口約4900人、県北に位置する過疎地の高宮町は、90年にオープンした「ニュージーランド村―高宮虹の家族村―」で一躍有名になった。その町の青年会が「みんなの野菜畑」(代表・土佐岡一也さん、メンバー32人)。幼稚園児や県内各地の青年同士の交流を促進し、世界諸国の若者との国際交流にも発展している。町の「若者定住プロジェクト事業」も動き始める中で、彼等青年の果たす役割は大きく、期待されている。


保育園児と芋の栽培

 青年会で実施したクリスマスパーティーの反省会で、「同じ町内でありながら、青年同士顔も知らないようでは町づくりなど出来ない」という意見が出され、集いの場として、農家から約3反歩ほどの農地を借り受け、「みんなの野菜畑」がスタートしたのが、89年であった。翌年からは、町内3保育園に呼びかけて、芋植え芋掘りを園児と合同で実施。目を輝かせて芋掘りに興じる園児たちの姿に「やってよかった」という充実感を味わった。
 山県・高田両郡の青年交流集会「わいわいコミュニケーションinたかみや’89」の開催も大成功。同じ悩みを持つ青年も多くいることを知り、手作りイベントヘの自信となった。これを契機に、93年9月、青少年育成広島県民会議の主催する「まち・ふるさと青年交流事業」を引き受け、留学生を含む都市部の青年と地元の青年60人が農業体験などで交流を行った。同12月には、瀬戸内海に浮かぶクルージング船『銀河』で県内各地からきた120人がクリスマスパーティーで集い、交流の輪を広げていった。


韓国青年のホームステイから

 野菜畑の国際交流は、91年韓国青年30人のホームステイを引き受けたことから始まり、会員の家族や地域の協力もあって大成功だった。11月には、今度は野菜畑のメンバーが韓国を訪問し、以後相互交流が定着。さらに12月、「クッキング・フォー・クリスマス・オブ・ザ・ワールド」のテーマで、ニュージーランド村に9カ国の留学生を招き、各国の料理を一緒につくり、クリスマスパーティーを楽しんだ。大変な盛況で92年も引き続き5カ国の留学生と一緒に料理をつくる「ワールドグルメ」で交換し、言葉や文化の違いを超えて人間同士の共感を共有し合ったのである。
 93年から、町の「若者定住プロジェクト事業」が動き始めた。若者に魅力ある町づくりを進めるという、この計画への積極的な参加が野菜畑メンバーの今1番の課題である。