「ふるさとづくり'95」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

若者が定着する地域づくり
和歌山県田辺市 田辺市「長野郷明会」
 郷土を明るく――という願いからつけられたのが、長野郷明会(代表・竹内豊さん、メンバー60人)で、昭和63年4月に発足した。会の前身は、地区に夜間照明を設置してソフトボールでも楽しもうと、20代の若者たちが文字通り照明で地区を明るくと設置協議会を作って活動したのが始まり。だが、真の狙いは山間の過疎地を守り、活性化することこそ村を明るくする手立て、との思いが込められている。照明完成後、郷明会に改名した。


ふるさとカレンダーで交流を深め

 同会のある地域は、田辺市中心部より北東に約10キロ入った農村地帯だ。昔から人情豊かで、歴史や伝統文化の香り高い地域も、刻々と進む過疎化に抗することは出来なかった。地域は次・3男はもとより、ついには長男まで住み慣れた地域を離れて他所に家を構えるなど、残された人々はやりきれなさと寂しさをかみしめていた。それだけに、過疎化に歯止めをかけて、若者が定着する地域づくりを悲願に活動してきた郷明会の活動は真剣だった。その足跡を紹介してみよう。
 63年から、盆に「ふるさと祭り」を開催。帰省客を交えて、ソフトボール大会や盆踊りに夜遅くまで興じ、都会に出た青年たちと交流を深めている。同年暮れには、「ふるさとカレンダー」500部を作り、地区内に300部を販売した他は、地元中学校出身者で外部に出た人々を対象に、交流を深める目的で200部を販売した。これがユニークな発想と地元のマスコミの関心を呼んだが、5年続けたものの製作コストが年々かさみ、カレンダーの作製は、残念ながら平成6年までで一時休止のやむなきに至っている。


名勝地となったホタル鑑賞会

 平成元年11月から、文化の日を「長野見て歩こう会」と定め、地域をくまなく歩きながら歴史や文化の再確認・再発見に努めている。2年6月からは、ホタル鑑賞会が実施されている。会員のホタル研究や保護育成で鑑賞会はすっかり名勝の場となって、地域の道路は車で埋まり、1000人を超す来場者で大変な賑いをみせている。
 5年4月には、那須の与一研究会が発足、栃木県大田原市で与一ゆかりの地を訪ね、当地との交流も生まれている。5〜6年になると、支部活動も展開され始めた。西原支部では、住環境整備推進委員会が設立されて、宅地供給を目的に土地の整地が進められているし、伏菟支部では、子供たちに夢を与える自然観察園の工事が着工されている。