「ふるさとづくり2003」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

年寄りパワーで地域とのふれあい
兵庫県夢前町 上菅ボランティアグループうららか会
夢前町のプロフィール

 昭和30年7月1日夢前町誕生。当時の衆議院議員、清瀬一郎先生は、町名の由来について、
《うつつには さらにもいはず播磨がた 夢前川にながれもあはん 紀貫之》
 『これにより夢前の地名は、千余年の昔、国内運用の地名なりしを証す。過般、鹿谷・置塩・菅野の三村合併して一町なり、夢前をもって町名となす。ここに由来を記して町民諸君に贈る』と記しています。
 私たちの住む飾磨郡夢前町は、兵庫県の西南部に位置し天下の「白鷺城」、武蔵坊弁慶が修行したと伝えられる書写山のある姫路市の北部に隣接し、播但山地まで延びる南北24km、東西8kmと細長く総面積は146・22km2、総人口は2万1791人(平成15年4月1日現在)です。
 町内は中国高速自動車道によって南北に分かれ、南側は姫路市の後背地としてベッドタウン化し、重要文化財・古墳等多くの史跡・神社・仏閣があり塩田温泉・厚生年金健康福祉センター「ウェルサンピア姫路ゆめさき」が全国的に有名です。
 一方北側は日本三彦山のひとつに数えられる霊峰・雪彦山があり、そこを源流として東側の夢前川、西側の菅生川が瀬戸内海に流れ、山並みが迫る谷間の過疎化しつつある山村ですが、資源を活用してのアウトドア・農園・アユ狩り等の活性化を図っている山紫水明の地です。
 町内の西側を流れる菅生川の中域に上菅校区があります。その上菅校区を拠点として、町内外のボランティア活動に勤しんでいるのが私たち、平均年齢74歳の年寄りによる「上菅ボランティアグループうららか会」です。


「上菅うららか会」発足

 昭和63年頃に農業一筋の菅長さん(現会長)の孫が幼稚園に入園し、園に行く機会が増えたのがきっかけです。
 “何か子どもたちとのふれあいができないものか”と考えているうち、兼業農家が多数占める校区でありながらも農業体験がほとんどない今の若い者、少年・少女たちに農業を通じたふれあいを、自然の恵みと豊かさの尊さをともに体験しつつ学んでいこうと数人の協力を得、餅つきをして幼稚園児とふれあいをしたのが始まりです。
 その後上菅幼稚園、上菅小学校、上菅中学校とのイチゴ狩り・サツマイモ掘り・餅つき等を続けているうちにだんだんと人数が増えました。
 “何とかまとめなければ”と話し合った結果、平成5年12月「上菅ボランティアグループうららか会」と命名し、会則・役職・活動資金(毎週日曜日に開いている野菜即売での売上金の一部及び小学校児童によるアルミ缶の回収、また会員によるアルミ缶の回収販売金を充てる)等、42名の会員の協力により発足いたしました。


意 義

 かつては日常的行為であった郷土の伝統行事が、文化的生活の合理的便利性に圧されて疎外され、簡略化されてゆくのは寂しいことです。便利さの追求が日を追って心の温かみと郷土の伝統文化が薄れていくように思われます。
 私たちはこうしたなかで、古里行事の一端を身近な所から子どもたちに伝え、郷土の温かいふれあい行事がいつまでも守り続けられてゆくことを意図するものであります。
 そして、子どもたちが土に親しみ、収穫を体験して、この豊かなふるさとの大地に生まれ、育まれるものの喜びを実感し、心身ともに健全な子どもに育つことを願うとともに、育成に寄与することを目的としています。


活 動(現会員38名)

 平成5年発足から今日に至るまでの10年間の活動内容は、主として365日農作業を勤しみながら、「地域とのふれあい」、歳も歳ですので「健康第一」をモットーとして元気いっぱい“若い者には負けないゾォ”とばかり張り切って頑張っています。余り張り切りすぎて、“あっちが痛い・こっちが痛い”と思いつつ活動しています。
 現在の活動としては、毎週の日曜日に朝市での新鮮な野菜・果物等の販売、春には幼稚園・小学校低学年のイチゴ狩りで始まり、小学校高学年・中学生の田植え・稲刈り等農作業を通じてのふれあい、またトライヤルウィークには10名程の生徒受け入れ、町内での商工会祭り・置塩城まつり・フレンデー祭り・生涯学習・サークルまつり等にも参加して、野菜・花・モチ・自分たちで作った品物・タコ焼等販売・餅つきもおこなっています。その他老人ホーム等にも年数回慰問に行き、いろいろな地域の行事に参加して会員の皆が明日への活力を得ております。
 以下は平成5年12月発足から現在までの会の共同作業です。(15年度推進中)

 「上菅うららか会」(平成5年12月吉日発足)共同作業
●朝市・・・毎週日曜日 朝6時〜11時
●幼稚園・・・餅つき・いちご狩り・サツマイモ掘り大会・三世代ふれあい・レンゲ畑ふれあい。
●小学校・・・すくすく農園行事・米づくり・焼き芋大会・三世代ふれあい・低学年いちご狩り・アルミ缶回収・卒業式参列。
●中学校・・・餅米づくり・餅つき大会・トライヤルウィーク・交通安全旗ふり・音楽会招待・卒業式参列。
●共同野菜づくり・・・ジャガイモ3畝・スイカ60本・サツマイモ4畝・花畑づくり3畝(菊・ひまわり)・菜の花づくり(1反5畝)。
(収穫野菜・花等は各施設へ寄贈しています)
●ボランティア行事
◇介護老人保険施設・白寿苑 餅つき行事(野菜即売・余興)
◇夢やかた祭り(野菜即売・餅つき・タコ焼き等・クイズ)
◇老人ホーム・光寿園交流(野菜提供・入居者とのふれあい)
◇戸谷リハビリセンターヘ慰問
◇「ウェルサンピア姫路ゆめさき」ヘ交流(ふじ大工花飾り・巨大カボチャ等提供)
◇二葉園交流(サツマイモ掘り焼大会・二葉園祭招待)
◇町内盲目の方とのふれあい(ぜんざい・カラオケ・福引等)
◇年2回研修旅行(1回目・先進地へ視察、2回目・1泊旅行、総会兼ねる)
◇阪神大震災見舞い(寄付金・白米10俵寄付・2か所、仮設住宅見舞い余興をおこなう)以後数度仮設住宅見舞う
◇「上菅うららか会」と上菅幼稚園、上菅小学校、菅野中学校における交流・協力・支援。


効 果

(1)朝市の売上金の一部及びアルミ缶の売上金等の収入は年1回夢前町福祉協義会、福祉施設、中央募金、防災施設等に少々ですが寄贈させていただいています。
(2)朝市を開設したことにより町内外にグループが生まれ普及し、切差琢磨するようになりました。(品質改良等における研究心が湧き、野菜づくりが楽しくなった。巨大カボチャにおいて日本一をめざしたいという意欲が湧いた)
(3)種を蒔き・草を引き・水をやり・育成し、収穫した時の喜びが何事にもかえられません。(よぅ育ったなあ! と自分の努力と自然の恵に感謝心が生まれる)
(4)自分たちの作った野菜を喜んでもらうと作るのが楽しくなります。
(5)各学校との交流を深めることにより、童心に返り、子どもたちのエネルギーを与えてもらい元気が出て、勇気づけられています。
(6)子どもたちが“アッ! うららか会のおじいちゃんや・おばあちゃんや”“あのおじいちゃん・おばあちゃん知っとるで”“何してるんですか”等の言葉を聞くたび心の安らぎを覚えます。
(7)子どもたちが農作業に興味を示し、積極的に手伝う子が多くなりました。
(8)子どもたちに額に汗して働く姿を見せることにより労働と自然の尊さを学ばすことができます。
(9)地域とのコミュニケーションを深めることにより情報交換ができ、明日への活力・活路が見出せます。(思い・悩み等がきいてもらえることにより仲間の大切さを感じる)
(10)共通性を持つ仲間が増え、会が楽しいです。
(11)退職した人、何かをしたいなあという人も気楽に入会でき、共同で働くことにより生きがいを見出せます。
(12)その他無形・有形の効果を感じています。


今後の取り組み

 地域の中で私たちができることを考えたら、先程述べましたとおり、こんなにたくさんありました。お陰で会員みんな、退屈しらずで子どもたちのエネルギーをもらって元気一杯です。
 子どもは正直です。明るいです。笑顔がすばらしいです。子どもは国の宝ともいいます。
 平均年齢74歳の私たちですが、歩んできた人生の体験を身体も口も元気なうちに、次代を担う子どもたちに教え、教えることによりともに学んでいきたいと会員一同思っております。
 “ふるさとは遠くにありて思うもの”という詩がありますが、やがて子どもたちが大きくなり“ふるさとはよかったなあ、懐かしいなあ、もう一度帰ってみようかなあ”と思えるようなふるさとづくりを会員と地域住民の方々と協力しあい、住民参画意識高揚を図るとともに明るい活力ある町づくりにしたいものです。
 私たちが皆さんに言えることは、いろいろと支援していただき「ありがとう」の感謝の心、健康で働ける喜びを今一度噛みしめ、世のため・人のため・自分のためとして「上菅うららか会」はまず、会のできる範囲からひとつひとつ地道に活動していきたいと思っています。
 子どもたちや地域住民の方々とともに、また関係各所と連携を密にし、万年青年の気持ちで老人パワーを発揮できるよう、悔いのない人生に向かって「上菅うららか会」は力強く歩んでいきます。