「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

"エゴよりもエコ"子どもから大人へ地域へ発信
島根県大田市 畑ヶ中2子ども会エコクラブ
 「"心に残せ" 大自然の中 あの日の遊びと学習」・「"エゴよりもエコ" 子どもから 大人へ地域へ発信」をテーマに子ども会活動とエコ活動に取り組む自治会単位の子ども会エコクラブです。
 現在、行っている調査活動は、酸性雨調査(H6)、ツバメの初飛来調査(H8)、セミの初鳴声調査(H8)、久利町河川水質調査(H9)、ひっつき虫調査(H9)、銀山川の水生生物調査(H10)、畑ヶ中会館の水道水の調査(H10)、会員家庭から排出するCO2量の調査(H10)、朝顔による酸性雨調査(H11)、野鳥による自然環境状態の調査(H11)、自治会の溜め池の水質調査(H12)、自治会の井戸の水質調査(H12)、ウメノキゴケによる亜硫酸ガスの調査(H12)、氏宮橋と下川原橋で毎月のCOD調査(H12)、全国一斉星空継続観察(H12)、ヨシの浄化作用調査(H13)、農林水産省の田んぼの生きもの調査(H13)等の調査活動を中心に年3項目程度の単独調査活動を自治会に協力していただいて継続しています。
 その他年に1回、特別行事として地域の小学校・中学校の子どもたちと保護者・先生を対象に平成12年から環境体験学習会を久利町社会福祉協議会と久利町寿会(老人会)の協力を得て行い、異年齢交流とともに他の地域の人たちにエコ活動の大切さを訴えています。また、他団体からの依頼で事例発表の機会を持つことが最近多くなり、子どもたちとともに参加し環境活動を発信しています。


きれいな川がどうして汚れているの?

 私たちのエコ活動の原点となったのは、平成9年8月、日本環境協会と読売新聞社の共催で行われた「全国一斉きれいな水を守るための水質調査」だった。橋の上から見た銀山川の水はきれいで川底まで透視でき、魚の泳ぐ姿もハッキリ見え、子どもたちは毎日川で遊んだり泳いでいた。それなのに測定した数値は8mg/l。すなわち、10段階の8番目で汚れているということだ。何度も測ってみたが同じだった。子どもたちの「何でやー。」という問いに私たち親は誰も答えられなかった。子どもたちはその日を境に川で遊ばなくなり、好きだった魚釣りも止めた。
 親も子もショックを引きずっていたある日、子どもたちが、他の場所も調査してみたいと言いだした。そこで、銀山川110か所で測定したが7〜8mg/lと汚れていた。何とかしなくてはの思いで私たちは「水」にこだわって調査活動をしながら、水に関しての文献を集めた。
 私たちは地域の人たちと一体となり、協力してエコ活動を行うことにした。子ども会活動は、オリエンテーリング・ウォークラリー・花火大会などではある程度、地域の人の参加もあり、成果をあげていたが、なかなかエコ活動では参加の協力が得られなかった。そこで、平成10年より久利町の文化祭に小学校の体育館を会場に借りて、久利町河川水質調査結果を展示し、川の汚れていることを町民に訴え続けることにした。また、平成11年から調査結果報告書を自治会全戸に配布することにした。


地域の人にも関心を持ってほしい

 平成7年8月、環境庁(現・環境省)全国こどもエコクラブに登録して、今年で8年目を迎えますが、平成11年までは私たち子ども会エコクラブだけの調査活動でしたが、活動を通して、大人や地域の環境意識のなさに驚きました。私たちの住む所は、山に囲まれていて緑が多く、大きな工場もなく空気が美味しいし、米や野莱・果樹は自給する、そんな環境で長年過ごしてきたのですから、無理もありません。今、環境問題といっても他人ごとに聞こえるのかもしれません。しかし、この恵まれた自然環境(生態系)を私たちの世代が破壊してはいけません。子どもたちと話し合い、地域の人に参加を求め、環境問題に対しての調査活動を実際に体験してもらい、少しでも環境問題に関心を持って生活してほしい。私たちも地域の自然環境(生態系)を知りたい、守っていきたいとの思いから、平成12年より「地域の自然環境(生態系)を知り守るための調査活動」を始めた。
 そこで、自治会の人、全員参加による調査活動を計画した。平成12年、初春に「タンポポ」の分布調査を4月1日から5月31日までの2か月間。夏から初秋に「セミ」の鳴声・姿・種類・ぬけがらの調査を7月1日から9月30日までの3か月間行った。その結果、タンポポ調査で地域の93%が在来種の白花タンポポという貴重なデーターを得た。平成13年は「魚」・「野生動物」・「野鳥」・「両生類・爬虫類」の調査を1年間行った。この調査は自治会内で見かけたり、聞こえたなどしたらエコクラブ会員に報告していただく、聞き取り調査の方法をとった。自治会の多くの方々に協力していただき、私たちの活動に理解をいただいた。自治会も「環境の21世紀」と位置づけて私たちとともに環境活動に取り組みたいとの自治会長の表明があり、私たちの活動の広がりを感じた。


地球温暖化防止にも取り組む

 平成9年から始めた久利町河川水質調査も年々数値がよくなっていて、川の水は改善されてきていますので、監視調査とし、水に関する調査は溜池と井戸水、ヨシの浄化作用調査を重点にしたいと思います。そこで今年は、地球温暖化防止の活動にも取り組むことになりました。
 私たちにできる地球温暖化防止活動として、わが家で排出したCO2はわが家の庭や家の回りの樹木に吸収させようという活動です。この活動は15名の子どもたちが環境大臣認定を受けた(H10・H13)環境省の「こども葉っぱ判定士」事業からヒントを得たものです。そのためには、各戸の排出量と庭や家の回りの樹木の吸収量を知る必要があります。排出量を知るために島根県が作成した環境家計簿を全戸に配布し、月々の排出量を記入してもらい、私たちは33戸の家庭の庭や家の回りの樹木を計測し、1年間の吸収量をだします。現在15戸の調査が終わっています。
 すなわち、この活動は排出量と吸収量を等しくしようとするものです。来年度はこの結果を基に吸収量が少ない家庭は庭や家の回りに木を植えてもらい、しかも排出量を抑えてもらう活動を展開していきたいと思っています。
 今は私たちの企画で調査活動をしていただいていますが自治会の企画があってもよいのではと思います。私たちはこれまでの活動が着々と自治会の人たちに伝わり、環境意識の向上が進んでいるように強く感じます。この環境活動を私たちの自治会だけでなく、隣の自治会ヘ、久利町へと広げていきたいと思います。