「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

住民・行政・企業一体の環境保全活動
京都府宮津市 宮津市連合婦人会
 宮津市は「海園都市みやづ」として観光都市のまちづくりが進められています。
 私たちも、昭和40年に意識して"美しい衛生的なまちづくり"をテーマに活動を展開してきました。
 川や海を汚さない、美しいまちづくりのためには、まず、ゴミ処理問題と緑化運動を手掛け、ゴミ処理は"燃えるゴミ""燃えないゴミ"の分別から始めゴミの回収運動に取り組みました。緑化運動では、松の苗木と桜・紅葉の苗木の街頭販売をし、その利益金で市内全体の公共施設内に植樹し、その樹々は現在春は桜、秋は紅葉と地域の人々に喜ばれています。


行政との連携で真のまちづくりへ

 昭和50年代に入って「みんなで取り組む環境保全」―見直そう・問い直そう・くらしのあり方―とし、ねらいは"美しい地球を次の世代へ"と過去の経緯を振り返りながら、活動の積み重ねと輪を広げて行動を起こしてきました。しかし住民活動だけでは壁を乗り越えることができず、行政施策との連携で、真のまちづくり、で話し合いを数回持ち、一本化した環境問題の活動のレールを敷くことができました。
 それ以後、活動目標と実践課題を立て活動を展開しています。


目 標

○地球環境との共生をめざして―今姶めなければ―
○美しい地球を次の世代ヘ―あなたが主役―

(1)生活排水対策(昭和40年代より)
 下水道の未整備地域においては、ほとんど家庭排水は未処理のまま川や海へながされています。汚染の原因の50%以上が家庭排水で、生活様式の多様化で汚染負荷量も増大してきています。
 特に、当地域は閉鎖性水域で、水質の悪化が著しく、少しでも住民一人ひとりが家庭排水について考えて見ようと始めました。
○食油廃油の回収
 ねらいは合成洗剤から石けんに切り替え使用への運動として、年4回市内全体にステーション(地域毎)を置き、石けん使用をPRしましたが、現在は、いろいろの問題があり、回収と石けんづくりは中止し、学習会は継続事業としております。
○エコクッキング教室とゴムベラ活用
 ゴミの減量と健康づくりをめざして料理教室は継続しています。
○水質検査
 昭和40年代に水質汚染で、その原因対象となる事業への行政指導の依頼と定期的な水質検査の要望をし継続されています。
○現状は水フォーラムを迎えて世界のNGOの実践活動と接して、まちづくりに向けて行動をさらに推進したいと考えています。
(2)廃棄物の減量化と再利用・再使用の環境型社会の形成に向けてゴミ問題は資源の枯渇・環境問題(焼却処理によるダイオキシンや二酸化炭素の発生による地球温暖化)は深刻なものとなっています。
 この問題解決に向けて、まずゴミを作り出さない努力・リサイクルヘのリユーズすることの必要性を啓発している。
○ゴミの問題の現状と今後の活動への方向を見出すための地域フォーラムの開催(8会場)。参加者は自治会・PTA・老人会が中心に開催。
○ゴミの減量と分別の徹底は大きく成果が見られる。
○廃棄物は循環型社会の構築に向けて、常に各地域の婦人会役員宅を拠点として活動を進めている。
○製品については、その過程と作品の展示と活用方法・体験教室等宮津市のイベントを利用しPRしている。
○小・中学校の児童に学校での環境教育の一環として学校へ指導に出張し活動を展開している。
(3)二酸化炭素の削減対策(地球の温暖化防止)
 人間の活動に伴って排出される二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスにより地球温暖化が進行してきています。
 京都で開催されたCOP3(地球温暖化防止京都会議)を受けて宮津市連合婦人会も環境宣言を致しました。実施に当たって"家庭から"ちょっとした工夫や心がけでエネルギーの無駄をなくす実践から取り組みました。
○温暖化の影響について学習会やフォーラムの開催。
○環境家計簿の持続的な記帳と活用。
 現在では婦人会の作成した家計簿を一般市民にも配布し輪の広がりがみられるようになった。
○ケナフ栽培による二酸化炭素(CO2)削減対策と啓発活動
・集団での栽培は、小・中学校児童が配布した種子を自分で蒔き育て、6か月後刈り取り、樹木の皮で繊維を作り、ハガキあるいは卒業証書の作品に仕上げるまで自分で体験する。
・また、企業(株式会社日本冶金)にも趣旨を説明し協力を求め、毎年敷地内国道筋に、長さ約80m、中1m土地内に播種栽培をお願いして二酸化炭素の削減に対する啓発活動を行っている
・会員・地域住民は希望者に配布し、個人か隣組で栽培し、ティッシュペーパーと交換する等、3年間を経過している。
(4)行政、事業所、住民との連携(環境保全のため三者一体)
 現在の地球環境問題(地球の温暖化、オゾン層の破壊、ゴミ問題など)の解決は、行政施策や事業者の努力だけでは解決できない。
 一人ひとりが実行することと輪を広げることによって大きな効果となっている。
 そのためには、ゴミを消費者に渡さない事業所の協力や、それを支援する行政施策・消費者である住民の理解と実践がなくてはならない、三者との話し合いを進め、それぞれの役割の明確化、三者一体の活動に重点を置き環境問題を考えたまちづくりを推推しています。
(5)調査活動の推進(環境問題意識実態調査の活用)
 成果と課題を明らかにするためには調査活動であります、そのデータを上手に活用してこそ活動の成果を見ることができます。
○環境問題の意識実態調査から
○深刻化する様々な環境問題から
・暮らしを変える=自分一人でできることから始める人が集まれば暮らしを考え、社会を変えることにつながります。
・わかるそしてかわる=正しく現状を知ることで、それがさらなる飛躍へつながります。
・ゴミ、温暖化問題にたいする高い意識(深刻だと思う人)
 (1位)ゴミ問題80%以上(2位)地球温暖化問題70%(3位)水質問題40%以上(4位)オゾン層破壊等々
 やはり学習を重ねた問題に関しては意識が非常に高く責任者は個人個人であると回答している。
・課題は「広がり」=適切な情報提供は体系的に行い、参加体験型の取り組みが必要と見られます。
・パートナーシップの対策の推進=家族ぐるみ、団体ぐるみの取り組みが重要であること。


知る・理解する・行動に移す

 最後に婦人会は住民活動の中核を担う存在で今後は自分たちで率先して、さまざまな団体と連携して、私たちの手で「環境のまちみやづ」を作っていくことを確認しました。
 まとめとして、平成11年度から3年間環境問題対策研修委員会を構成し活動の進め方を検討しました。重点的な推進方法の学校教育、社会教育で「知る」「理解する」「行動に移す」啓発活動と普及活動の輸を広げる。
 平成14年度から3年間「環境型社会の形成」に向けて活動の柱を立て計画する。
・平成14年度=これまでの活動を整理し成果と課題を明らかにしながら、新しい知識を得るための学習会、啓発と普及活動と実践
・平成15年度=家庭・地域・まちづくりのシステムづくりと他府県との交流
・平成16年度=府下全域への情報提供へのまちづくり、そのための調査活動、次の世代へ引き渡すまとめ集作成。
 以上、計画をし、実践へと活動を展開している現在です。