「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

行政に頼らず自分たちの手で子どもの心にふるさとを
群馬県沼田市 さぎいし公園(地区住民で築くさぎいし公園)運営委員会
地域概況

 さぎいし公園は、群馬県沼田市戸鹿野町3地区にあり、通称地区名で鷺石(さぎいし)と呼ばれています。西に利根川、国道17号と145号線、東に国道120号線とJR上越線が交差する交通の要衝に位置しています。
 この地域の住民等の推移は、昭和初期の戸数20戸から110戸へと増加し、現在の住民数350人、60歳以上の占める割合は約2割、子どもの数は32名ほどです。


公園開園経過

 さぎいし地区では、かねてから「子どもたちに遊び場を」と念願し、要望して参りました。そして、1987年(平成元年)に当地にも生活学校が主婦の集まりで設立され、地区の美化や環境問題の高まりから発生したリサイクル運動を推進してきました。
 当時はまだリサイクル運動の奔りであり、市当局に足踏みカンつぶし器を購入してもらって、手探り状態でこれらの運動を推進してきました。
 そのような中で、いつも集まる老壮年の方々や子ども連れの父親・主婦たちから「子どもたちに遊び場を作ってやりたい」「どう作るか。場所や土地をどうするか」など計画や方法について情報交換が盛んになり、遊び場づくりの機運が盛り上がって参りました。
 沼田市各地のリサイクル運動が、県や市当局に認められ表彰を受ける中で、願いや要望が行政に理解され、地区住民にもその意識が浸透してきました。
 やがて、2700m2(約820坪)の公園用地が市から貸与されたのです。
 今や、地方財政は大変な時代であることは、われわれ市民も共通に認識しているところですので、「公園用地だけ確保できれば、後の管理・運営はすべて地区住民で」を市に確約し、自主運営、自主管理の姿勢と初心を忘れずに、地域の心安らぐ場の提供と、「子どもたちに自由に遊べる公園づくりを」を旗印に考えや意見を集約し実行に移して、4年が経過します。
 この公園作りと運営・管理が模範とされ、沼田市は「まちなか再生事業」の一環として、さぎいし公園と同様な趣旨・運営を考えている地域には土地を提供する政策が進んでいます。群馬県内でも同様の公園作りが進行し、この6月も前橋市と藤岡市から視察がありました。われわれは、奇をてらうことなく、これからもこの運動を進め、自然体で運動を推進し、地域にふるさとを再現したいと考えています。


活動推進

 1998年5月沼田市より、管理運営を「さぎいし公園運営委員会」が引き継ぎました。
 委員会の中にグリーン委員会とプレイ委員会を組織しました。組織は企画・運営上のもので、住民の活動参加は緑を増やすのも、遊び場づくりも区別はありません。

(1)グリーン委員会活動
 一木一草もない石だらけの土地に、緑を増やす計画実行
 ―芝を植えること500m2―花壇作り―住民の持ち寄りによる植樹(当地出身の国務大臣である尾身幸次氏をはじめとしてミニ公園の緑づくりに感動しての寄付樹・結婚祝い樹・入学や孫の記念樹等)も1000本を超えました。一括購入の樹木ではないので、花を楽しむ木・実のなる木、常緑・落葉、高木・低木雑多がまた楽しいし、立派で高価な樹木はないが、それぞれの思い出のこもった樹木集合であることが誇りであります。
 市民が自由に植樹してよい公園が自慢の一つであり、また、それが公園や樹木を大切に扱い愛着を持って施設に接し、手入れをしています。これこそ真のボランティア精神であり、楽しむ活動だと思っています。

(2)プレイ委員会
 遊び場や自然体験の提供(池や小川づくり、ホタル育て)
 苗の移植、手入れ、収穫の楽しさ提供
 住民の交流・ふれあい・祭りの企画
 と、多様であり、最近は他の市町村からの視察対応もある中、さらなる工夫を楽しんでいる毎日です。

【運営資金】
 委託料(市から年額9万円)、戸鹿野町の助成金、地区民の寄付金。

【活動例】
 1999年 子どもたちの遊び池の手作り。今でも付近の幼稚園児に大好評。
 2000年 蛍を育成する小川と池づくりを行い、蛍の幼虫の餌となる川蜷(かわにな)育成。今年もホタル祭りを行う予定。
 お花畑は、今年チューリップ1000株開花。
 耕作エリア(200m2)は、約半分の面積でジャガイモが収穫を待つばかり、すでに大人のこぶし大になっていて育成会で収穫予定。残りの面積は、サツマイモが植えてあり秋の収穫祭を計画しています。池の魚は、納椋祭で子どもの歓声を誘うことになりそうです。


成果

 例を挙げればきりがありませんが、次のような成果が出たと評価されています。
(1)「ボランティアは楽しいものだ」という意識と、共同作業を通じて地域の連帯が非常に強くなり、常に人が集まり何かしている。連帯感と環境整備に燃えている。
 「できる人がする」という精神が定着し、人を批判したり、当てにすることがなく、自主性が生まれた。
(2)子どもたちが、ものを大切にし、積極的に行動するようになった。ボランティア精神が身に付いてきた。また「…しないでください」「…を守ってください」等の規制をしない公園作りの中でマナー、躾も備わってきたと住民が評価している。公園にゴミが散らかることがないし、花や木の枝が傷められたりしていない。
(3)市内や他の市町村に私たちの運動が理解され、視察が多くなってきた。
 地域づくりに特別なことをしているとは思わないが、周囲に認められ、理解され、同様の運動が盛んになろうとしていることに誇りを感ずるとともに、初心を忘れず、子どもによりよい遊びの場を提供するために、さらに地域住民で工夫をしていきたい。
 学校5日制の実施と相まって、この公園の存在、活動の意義、取り組みの姿勢等が子どもによりよい影響を与えることを願っている次第です。
 地域住民の高齢者の割合が増加する中、お年寄りのふれあいサロンの場の提供にも力を注ぎたい。