「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

湯川を清流に、メダカ泳ぎ、ホタルの舞う川に
福島県会津若松市 湯川を美しくする会
 人口12万の城下町会津若松市は、地図を片手に5〜6人ほどのグループに分かれ修学旅行生で賑やかである。子どもたちが真っ先に向かうのが会津のシンボル「会津鶴ケ城」、そして、その南側を西に流れている「湯川」の約1000m区間が私たちの活動のフィールドである。
 「湯川」は、標高1081mの会津布引山に源を発し、山岳部を北西流、東山ダムに注ぎ、さらに東山温泉街を貫流して市内に入り鶴ケ城の南側に至る。さらに西部を流れて、湯川村で日橋川に合流している延長約28kmの1級河川である。ゆるやかな扇状地を流れるため、河床勾配150分の1と急流で、そのため古来から洪水を繰り返し、「暴れ川」の異名をとってきた。川の名「湯川」とは東山温泉の湧泉にちなむ。


設立の趣旨と活動の流れ

 「湯川を美しくする会」は、昭和55年12月18日に「よりよい生活環境をめざし、母なる川である湯川を汚濁から守り、清浄な川に呼び戻すために、美化活動を積極的に展開し推進しよう」(会則第1条)と呼びかけて会員56名、団体10で設立し、昭和56年からは「生活会議」に加入した。当初は「会津はまとまらない土地柄、どうせ3年でつぶれる」との有識者の中傷を跳ね返して、22年経つがどうやら潰れそうにない。
 当初はPH、BODなどなんにも判らなかったが、学習と研修から取り組み、水質調査や県の委託事業ではじめた、小田橋から会津大橋までの刈り払い作業の区間が私たちの活動の場であり、新しい市民の憩いと安らぎの川にしようと運動を展開している。

◇これまでに実施してきた事業は、
(1)湯川源流域の調査(3年間継続調査してついに源流を突きとめ、水源地の標識設置)
(2)先進地視察(白河谷津田川、米沢小野川、盛岡中津川、宮城県成瀬川、梁川広瀬川、栃木市巴川、いわき市夏井川など実施したが、現在は中断している)
(3)ホタル生息状況調査(地図にプロットし、「20周年記念誌」に掲載)
(4)「ヨシノボリ」生息についての「要望書」を昭和61年、県に提出した。その後の水質調査では、生息が確認された。うれしいことである。
(5)設立10周年事業(平成3年、式典と図表案内板の設置、感謝状贈呈)
(6)設立20周年事業(平成12年実施、記念誌「湯川」発刊など4事業と記念式典、感謝状贈呈。これは2項目の20周年記念事業で詳述)

◇継続事業の内容
(1)雑草の刈り払い(県の委託契約事業)
(2)水質調査(昭和58年からはじめ、年1回8か所の定点観測を行い、データは市と県の担当へ提出し、さらに市の環境フェスティバルに発表している)
(3)下町の情緒、とうろう流し(昭和61年から沿線町内に呼びかけ実施し、今年16回目を迎える。緑町、城西地区区長会と子ども育成会の共催)
(4)県、市、沿線区長との「行政懇談会」を実施し提言と意見交換、昭和60年から実施
(5)河川敷の花壇造成と植栽(平成4年にはじめてコスモス移植、現在77か所の花壇)
(6)生息動植物の図表案内標識板を平成3年に作成、これまで3基設置、さらに4基めを目指すが、2基めは花火のいたずらにより焼失してしまった。
(7)会報、記念誌の発行
 会報「湯川を美しく」は年1回、ほかに15周年記念誌発刊。さらに、20周年記念誌「湯川」が今回応募の中心である。
(8)会津若松市環境フェスティバルに水質調査桔果、生息している魚、メダカの実物展示、植物標本などのほか上、中、下流の川石の比較展示など。
(9)受賞歴 これまで、日本の水をきれいにする会、建設省、環境庁、県、あしたの日本を創る協会などから12回受賞。さらに花壇では平成13年度に会津若松市民憲章推進委員会から「団体の部」最優秀賞を受賞した。


創立20周年記念事業の中心は、記念誌「湯川」の発刊

 20周年記念事業は、平成12年に「記念誌」部会と「記念行事」部会の二つの専門部会に分けて取り組み、四つの事業と記念式典を開催して終了した。
記念事業1=子どもイベント マスつかみ大会 平成13年9月5日実施、湯川畔市内小学校から7校64名が参加。雨で増水のためプールを作成。
記念事業2=水生生物分布標識板(1基)の設置 平成12年10月1日
記念事業3=オオヤマザクラの植栽 平成12年10月8日 30本。
記念事業4=記念誌「湯川」の発刊 平成12年10月15日完成 B5版、140頁 写真74枚、地図、図表25点挿入 250部作成。
記念事業5=記念式典と感謝状の贈呈平成12年11月10日実施。
 以上の記念事業五つのなかでも、記念誌部会10人による記念誌「湯川」はその根幹をなすものであり、会員、賛助会員、関係行政機関、湯川沿線町内会、教育委員会、小中学校エコクラブ、生活会議関係団体、河川愛護団体、マスコミなどに配布したところ大きな反響と評価をいただいた。あしたの日本を創る協会からも評価された。
 収録内容は、(1)湯川の水質と水生生物、(2)湯川とホタル、(3)湯川と魚類、(4)湯川の野鳥(5)湯川流域の植物までの37頁分をそれぞれの得意分野の会員が分担執筆し、中心の(6)湯川と人の流れは、山口事務局長が長年にわたり調査、研究を積み上げてきた成果を結集させた渾身の力作であり、「新編会津風土記」から援用した旧町名、史跡川の流れの変遷・舟運・洪水・伝説など15項目に分類した歴史的考察は詳細を極めている。


現在の活動と今後の展望

◇「会津メダカの学校」メダカの放流会を実施
 福島県の後押しもあり、絶減危惧種「会津メダカ」の保存、放流活動が今後の事業活動の重要な柱になると思われる。これは、平成11年の会津若松市政100周年記念事業として開催された、子どもたちによる「エコクラブ交流会」への企画運営協力以来続いてきた小学校のエコクラブ指導の延長線でもあり、最も新しい事業がさる6月10日に実施したメダカの放流会である。昨年から県会津若松建設事務所により放流池の工事が施行され、待望のビオトープがこのほど完成した、長さ110m、幅3m、水深30cm「メダカ専用水路」に、ホテイアオイなど40種類の水生生物を植栽し、市内の小学校5年生80人と関係者30人が集って実施した。そして、中田喜直の「めだかの学校」を歌った。子どもたちのパフォーマンスが楽しそうだった。マスコミ各社にも取りあげられ、地元の町内会からは日常管理に協力いただけることになった。この日放流した「会津メダカ」400匹は会員が自宅の池で育てたものである。

◇今後の課題と展望〜生物指標のヨシノボリ、ホタル、メダカとともに〜
 現在の会員は個人30人と7団体で、ここ数年はすっかり定着し確実な歩みを続けている。活動内容は地味ではあるが、関係行政機関、とくに県建設事務所、阿賀川工事事務所との協力関係が特筆される。市主催の環境フェスティバルには実行委員長と事務局担当を派遣、湯川の水環境協議会、同市民の会にも参加し、阿賀川ネットワーク、環境パートナーシップ会議、うつくしまエコリーダー認定者5人など。このほかに、市民憲章、町内会、民生児童委員、市会議員、県会議員の会員もおり、それぞれの活動スケジュールに合わせて参加してくれる。基本的に自由参加型である。本会の生物指標はヨシノボリ、ホタル、メダカの3種類と規定し、今後も観察と保護、増殖活動を模索していくが、ヨシノボリは、市街地の城西小学校東の地点で毎年生息が確認されており、メダカの放流池ができたことで、会津の固有種「会津メダカ」の保護活動に見通しが立ってきた。このメダカの池をさらに環境整備し、ホタルも放流していこうというのが、今後の課題となってきた。「湯川はきれいになりましたね」とよく言われるようにはなった。子どもたちが裸で水遊びをする姿も見かけるようにもなった。しかし、本当に「美しい湯川」にはまだまだ課題が山積する。行政関係機関との協力を一層推進し、川への自らの拘り合いこそが最大の喜びと感じながら、昔のような「美しい川」を、そして「安全な川」を目指し、ゆったりと息の長い活動を展開していきたい。これが会員一同の願いである。