「ふるさとづくり2002」掲載
<集団の部>ふるさとづくり賞 振興奨励賞

オペレッタ! 歌って 踊って 自己表現
岩手県一戸町 いちのへ子どもオペレッタ劇団
劇団の結成

 音楽好きな有志が、数年前、学校週5日制(第2、4土曜日休日)の実施に伴い、子どもたちの休日を楽しく有効に過ごさせようと取り組んだのがオペレッタでした。そして、子どもたちの音楽活動が、町民の音楽や演劇に対する関心を高め、「わく夢いっぱい文化の町づくり(町民憲章)の一助になれば一石二鳥であると、教育委員会や学校の協力を得て、平成7年4月30日、「いちのへ子どもオペレッタ劇団」として発足しました。

劇団の概要

(1)ねらい
 異年齢の集団による芸術文化活動(オペレッタ)を通して、表現することの楽しさや生涯に渡って学び続ける意欲と態度を育て、心豊かでたくましい青少年を育成するとともに夢いっぱいのふるさとづくりに寄与することをねらいとしております。
(2)活動開始日 毎年5月第2土曜日
(3)指導者 一戸町在住(勤務)の音楽・演劇の同好者
(4)団員(児童)の募集と期間
 ・一戸町内の小学校に在学する児童を対象に、学校を通して入団申し込み書を配布していただき、入団希望者を募っていただいております。
 ・募集期間は毎年4月中旬から4月末日までです。
(5)活動月・曜日
 ・平成7年度〜平成13年度=5月から毎月第2・第4土曜日。
 ・平成14年度以降=5月から毎月2回(その月の都合のいい土曜日)。
(6)会費
 ・劇団としては、会費は徴収しておりませんが、親の会の方で何円かずつ出し合って、練習後や発表会後などに飲み物やおやつなどを出しています。
(7)上演作品と配役
 ・いくつかの作品の中から、団員数や学年層を加味し指導者が選びます。
 ・配役(特に主役、準主役)は、それぞれ希望する役を演じ(オーディション)、子どもたちの判断で決めております。
(8)協力団体
 教育委員会や学校、文化協会、婦人会などたくさんの団体に協力・支援をいただいておりますが、直接的には父母で組織している「親の会」がなにからなにまで面倒をみてくれています。
(9)その他
 年度毎に団員を募集している関係で、毎年新しいメンバーということになりますが、前年度に引き続いて入ってくる子どもたちもたくさんおりますので、特に支障もなく活動できています。
 また、学校も学年もそれぞれ異なるのですが、歌や踊りが大好きという同一の目的で入団した子どもたちですので、トラブルもほとんどなく、覚えも早く、また、男女を問わず上下関係(先輩、後輩)をよく理解し、助け合い、教え合い、チームワーク抜群の劇団となっています。


劇団の歩み(年度抜粋)

(1)平成7年度
○団員 1年生4名、2年生5名、3年生2名、4年生8名、5年生10名、6年生3名。計32名。
○作品 「白鳥グルック」、「赤ずきん」。
○発表 平成8竿1月27日、於 一戸町体育館
 「歌って、踊って、自己表現」「上級生は下級生の面倒を見て、下級生は上級生を見習って」をモットーに、結成初年度をスタートしました。
 第1回の活動の成果を発表しましたが、オペレッタを見るのは初めてという観客がほとんどでしたが、子どもたちのひたむきな演技に大好評を博することができました。
1年の活動を通して、
・子どもたちは…たくさんの友だちができた。楽しい活動であった。音楽や演劇がますます好きになった。立派に発表できてよかった。来年度もがんばりたい。など
・父母たちは…積極的に行動するようになった。素直になった。恥ずかしがらなくなった。家でも大きな声で歌っている。など
 というようなことが感想文に書かれていました。特に、子どもたちは、全員といっていいほど、初めての公演に満足感でいっぱいなようでした。

(2)平成8年度(団員32名)
 8月、思いもしなかった幸運に恵まれました。宮澤賢治生誕100年祭「童話村フェスティバル」に招待されたのです。8月という年度初めで、しかもメンバーが新しく結成されたばかりでしたので、練習不足が心配されましたが、「白鳥グルック」を野外ステージで立派に演じてきました。
 演じた後、女性司会者に感想を聞かれた代表が、「120%の発表ができましたので、とてもうれしいです」という返事に、観客から再び大きな拍手をもらい、われわれも「よくやった」と喜びを隠すことができず、不覚にも感激の涙をこぼしてしまいました。
 なお、この年の定期発表会は「白鳥グルック」と「花咲き山」を12月に一戸町体育館で行いました。

(3)平成9年度〜平成13年度
年度 発表作品 団員 備考
白鳥グルック
まつゆきそうの夢
(12/20発表)
25 二戸女声コーラス「野ばらの会」、一戸混声合唱団「まべち」の2団体賛助出演。
*「白鳥グルック」の題材となった現地(雫石町)を見学。(8/18実施)
10 花のすきな牛
白鳥グルック
48 こんにゃく座によるオペレッタ「森は生きている」も同時公演。(11/24)
奥中山地区公民館の要請により、奥中山農協団地センターで公演。(2/28)
11 白鳥グルック 44 岩手県音楽教育研究大会(10/27二戸市民文化会館)に研究発表として出演。
二戸地区生涯学習フェスティバル(12/10一戸町体育館。定期公演と兼ねる)
12 にわとりのとさかはなぜ赤い 54 この年から町文化祭(11/5)ステージ部門で発表することになる。
町文化協会チャリティーショーに要請されて出演(2.24一戸町体育館)
13 白いクジラの泳ぐ空 44 昨年と同様、町文化祭(11/3)ステージ部門とチャリティーショー(2/25)に出演。


(4)平成14年度
○団員 計35名
○作品 「御所野縄文むらにふく風」
○発表 平成14年7月29日、於 一戸町御所野縄文公園野外ステージ、平成14年11月3日(町文化祭)於 一戸町体育館
 本年度の活動にうれしいことが二つ重なり、団員一同すごくはりきっております。
 その一つは、「御所野縄文公園(国指定遺跡)」の開園を記念して開催される「縄文の森コンサート」にオペレッタ劇団が出演することになったということです。演目は開園記念のために作られた「御所野縄文むらにふく風」というオリジナル作品です。
 もう一つは、前年度演じた「白いクジラの泳ぐ空」の原作者永山友美子先生から直接オペレッタの指導を受けられるということです。私たちにとりましては夢のようなことが実現することになり、子どもたちとともにたくさんのことを学び、よりすばらしい劇団にしていきたいと思っております。


成果

 子どもオペレッタ劇団も結成8年目を迎え、結成当時小学校1年生の子どもたちも中学生に、小学校6年生であった子どもたちも大学生となり、時の経過の早さをしみじみ感じているところです。先輩たちもときどき練習を見にきたり、発表会のときなどは、自ら仕事をかってでるなどいろいろ手伝ってくれています。また、親の会(父母)のみなさんも協力よろしく、練習時には子どもたちの送り迎えを、発表会のときには衣装やメイクなどあれやこれやとやってくれております。
 なによりもうれしいことは、私どもの活動が一戸町の一文化団体として認められ、町文化協会主催の発表会やその他社会教育団体から出演を依頼されるなどと、微力ながら町の文化の発展に貢献できているということです。
 また、一般の方々の間にも、オペレッタについていろいろな面で話題になり、開心の高さを示すものとしてこれもまた、うれしく思っているところです。
 私どもは、学校週5日制の完全実施により、子どもたちの健全育成にますます重要な役割を果たす団体であることを自覚し、あわせて町民憲章の記されているふるさとづくりに、一層の活動を推進していきたいと思っております。