「ふるさとづくり2001」掲載
<企業の部>ふるさとづくり振興奨励賞

エフピコ方式によるトレーからトレーへのリサイクル
広島県福山市 (株)エフピコ
 環境意識の高まりから「トレーはゴミ量産の元凶」と槍玉にあがり、不買運動にも発展した。「便利なものも使い捨てはダメ。環境問題を考慮しない企業は生き残れない」と始めたのが「エフピコ方式」で、消費者やスーパーマーケット、問屋、エフピコが一体となって展開するリサイクル方式の総称である。


「方式」軌道に乗せるまでが苦労の連続

 市民の環境意識の高まりを背景に、「エフピコ方式」に取り組んだのが、1991年9月だった。しかし、始めた当時は苦悩の連続だった。回収量も少なく、リサイクルできないビンや缶、クリップ、電池、卵パックなどの異物の混入も多かった。
 回収量を増やし、不適品をいかに少なくするか試行錯誤の結果、地域住民にリサイクル工場見学の機会を作り、不適品の混入の多さや、再生製品などを見てもらい、専任スタッフがプラスチックの種類やリサイクルの現状などを説明した。さらに土・日曜日にはトレーやプラスチックを鞄に詰め込んで、講演会や展示会に足を運び、地域住民たちに協力を呼び掛けた。
 努力の甲斐あって、現在回収拠点6070か所。回収量も月間400トンを超えるまでになった。総回収量も2万6000トンと莫大な量にのぼり、ゴミ回収車にして37万台に相当する。再生されたエコトレーは、日本で出回るトレーの1割に達していて、地域によっては2割近いところもある。学校関係でも回収しており、回収トレーからできたリサイクルグッズ(鉛筆立て、植木鉢、お盆、ブロック等)と交換し、リサイクルを身近に受け止めてもらうことに努めている。
 今年4月からは、容器包装リサイクル法の完全施行にともなって、これまで以上に地域も企業も使い捨てや資源浪費のあり方を大きく変えねばならない時代に入った。それだけに「エフピコ方式」は始まったばかりで、まだまだ紆余曲折を繰り返すだろうが、地域に密着した企業として、地域住民とのコミュニケーションを一層大事に考えている。そして、それを支える「エフピコ方式」は、持続発展性あるリサイクルシステムとして、また、リサイクルの先駆者として、これからも地域に密着した資源循環型社会の一翼を担うため、挑戦を続けている。