「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

安全な暮らしの確立のために
大分県大分市 大分県立大分東高等学校ボランティア委員会
 震災の心配はないと言われてきた地域で、突如起きた阪神淡路大震災。震災2か月後に足を踏み入れた神戸の街は、想像以上に被害が大きく、復旧作業も遅々として進んでいない状況であった。被災地に対する支援活動と同時に、自らの暮らしや社会の安全性の確立に向けて、平成7年「大分県立大分東高等学校ボランティア委員会」(代表・橋本浩司さん、メンバー数・20人)を結成。一般市民に対する防災意識調査、地域コミュニティの点検や調査分析活動を続け、問題点の提言を行っている。
 同会は、神戸のあまりにも悲惨で想像を絶する被害に対し、どのような支援を行えば良いのか、その対応に苦慮したが、話し合いの結果、学校内外での募金と激励のメッセージを募った。
 さらに、NPO団体大分ライブネットワーク21等と、数回に及ぶ街頭募金や支援物資の収集活動を行い、日赤や社会福祉協議会を通じ、被災地に義援金や支援物資を送付した。


防災意識調査と地域の安全性を検証

 平成7年から11年にかけて実施した「防災意識調査」は、一般市民を対象に、直接対面・男女無作為抽出方式で、30回、1000人以上に及んだ。この結果を整理・分析し「市民の災害に対する意識は薄れていって、防災対策も相変わらず手付かずの状態で放置されている。今回の災害を契機に、行政・民間の区別なく、1人ひとりが積極的に防災対策を考え、実行に移す必要がある」との提言をまとめ、県消防防災課と社会福祉課に、防災マニュアル作成の参考資料として提出した。
 次に、調査結果で判明した問題点のひとつ「地域の安全性」の検証である。市内の避難場所や災害予想危険場所の一覧表をもとに、会員が手分けしチェックに取り組んだ。避難場所では傷みや老朽化が目立つものが多く、災害予想危険場所では、今すぐ対策が必要な個所も少なくないことが判明した。これらをまとめ独自の防災対策マニュアルを作成。調査結果に添付、総合資料とした。市民が理解と認識を高めるのに役立てている。
 もうひとつは「独居老人へ携帯ラジオの寄贈」。災害への不安が大きく、地域コミュニティの欠落もあり、市社会福祉協議会を通じ寄贈が実現した。訪問や声掛け活動も継続している。