「ふるさとづくり2001」掲載 |
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞 |
女男とともにいちご名人 |
長崎県平戸市 JAいきつき いちご部会(女性部) |
平戸の農業は、昭和60年後半まで水稲や肉用牛の複合で、経営も零細、経済的にも不安定経営であった。そこで、一農家が園芸品目のメロンを試作したが、気象災害等で安定経営に至らず、代わりに小面積で高収入が見込まれた「いちご」に着目、3アールを試作した。翌年には新品種「とよのか」を導入、9戸で55アールの本格的栽培を始め、いちご班を結成した。平成4年には、栽培農家34戸、面積476アールに増大した。 平成5年「JAいきつき いちご部会(女性部)」(代表・前川靖代さん、メンバー数・34人)を結成。生産や経営管理能力を高め、女性の視点で経営に参画、家族経営協定を結び、男性とともにいちご産地を築き、地域の基幹作物に定着させた。 当初同部会に、夫たちから生産管理(育成・病害虫診断、肥培管理等)と経営管理(農業・家計簿記帳と分析・診断等)の能力を高め、発揮して欲しいと要望された。 それから、栽培知識・技術習得の講座開設(いちご名人講座)を要望、参加、市場・先進事例研修への参画、簿記記帳講習会参加、記帳結果の分析と経営改善、パック詰め作業室の改善、作業軽減の補助具導入等の活動を展開した。 家族経営協定締結への取り組み こうした活動の結果、栽培知識・技術を習得、夫が留守でも自信を持って栽培管理ができるようになった。作業環境の改善では、畝間や通路を設け、作業椅子や収穫台車を工夫、労力軽減を図った。1日の大半を過ごすパック場は、温度・照明改善、作業台の工夫等、女性の視点を生かし快適な作業場にした。 平成9年、同会リーダーが「家族経営協定」を学習、翌年夫との間に、経営方針の決定や作業の役割分担、労働時間、労働報酬、休日、子どもの教育、家計費負担、家族旅行等を内容に協定を結んだ。良かった点として、労働報酬を得ることや共同経営者としての喜びとやりがいがあげられた。中には「そんなの水くさい」との意見も出たが、「今のままでは後継者も残らない・嫁も来ない」職業として就業条件整備は大切と、12戸が締結。その後他の生産部会にも広がり6戸の農家が結んだ。同部会は、昨年度の長崎県農業賞組織活動部門で知事賞に輝いた。 |