「ふるさとづくり2001」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

ハイキングコース建設に情熱を向けさせたものは…
福島県須賀川市 須賀川阿武隈高原散策ルート実行委員会
 「須賀川阿武隈高原散策ルート実行委員会」(代表・宗方保さん、メンバー数・65人)の建設したハイキングコースが、新たな地域への愛、人のふれあいを呼び起こした。
 東山は戦後満州をはじめ各地から人々が入植した開拓の部落で、貧しい地域であった。同会はこの地域にハイキングコースを建設し、ふるさとへの思いを新たにするとともに、育ちゆく子どもたちへの遺産とすべく行動を開始した。


地域の人たちのボランティアが成功の源

 平成6年、地元の人たちにハイキングコース建設の話題を出したが、「そんな裏山を歩いてどうするのだ」と理解されなかった。また、気候が適することからソバの作付を提案したが、子どもの頃ソバばかり食べさせられたことからか、「東山のソバはまずい」と取り合ってくれない。1軒がわずかな面積に蒔いてみてくれることを約束してくれただけだった。
 翌7年、そのソバの試食会を行った。味は有名どころのものに劣らない、これは売り物になると確信。そして現在では春秋に「そば祭り」が開催され、大賑わいである。作付面積も3町歩に達している。やはりまず立ち上がることが大事であるとメンバーは実感した。
 同年から翌8年にかけてのハイキングコースルートハンティングは、背丈ほどもある熊笹をかき分け、まるで遭難さながらであった。水場や眺望の良い場所を経て、古寺山というお寺を終点とした。古寺山周辺には地元の人たちにも協力してもらい、あじさいを植えることにした。コースには丸太で階段をつくるなど苦労の末、完成。市民はじめ県内各地から眺望を楽しみに、多くの人が来るようになった。
 実は、コースの名所である水場はそれまでゴミの山だった。県内各団体や地元住民に呼び掛け、協力してもらい、これを撤去した。水芭蕉を植えるなど整備も行った。また、コースの下草刈りをしてくれた人の「オラゲの裏山がこんなに景色の良いところだとは思わねがった。ありがとうない」という言葉には胸が熱くなった。古寺山には約5000株のあじさいが植えられ、盛大な「あじさい祭り」を開くまでになった。