「ふるさとづくり2000」掲載
<集団の部>ふるさとづくり振興奨励賞

私たちでできること「ごみの資源化・減量化」
大分県臼杵市 臼杵市生活学校
 「臼杵市生活学校」(代表・見塩皎子さん)は、住みよい地域づくりを進める当時の新生活運動に共感する市内の主婦40数人をメンバーに、昭和44年、県下で4番目の生活学校として発足した。以来30年間にわたって、時々の社会の動きや問題をとらえて、食品の安全性や青少年問題、高齢者医療・福祉問題などをテーマに活動してきたが、近年はゴミの減量と資源の有効利用に最大のウェイトをおいて鋭意取り組んできた。


廃プラスチックのリサイクルルートづくりに取り組む

 高度経済成長とともに、ゴミの量が増大した。なかでもプラスチック容器類が急速に増え、海や山、川などに不法に投棄されたり、燃やせば悪臭や有毒ガスを発生させ、焼却炉を傷めたり、埋めれば分解せずに土壌を破壊するため、始末に頭を痛めていた。同校は、この厄介ものを資源としてリサイクルできないかを模索した。
 大分市内にある廃プラスチック再生工場を見学し、モデル地区で実績を見た上で、市に運搬の支援を要請してリサイクルへの道を拓いた。市内に20か所の廃プラスチック回収拠点を設けて、住民に協力を求めた。集められたプラスチックの点検や整理でメンバーの苦労は多かったが、再生工場では土管や杭、プランター、植木鉢などに再生されていった。


地域環境保全功労団体で環境庁長官賞受ける

 平成元年4月、約12億円を投じて臼杵市清掃センターが新設された。しかし、焼却炉の耐用年数の延長と、埋立地の確保が困難になっているため、ゴミの減量化、資源化を同校が中心となって進めることになった。
 市内20数か所に資源ゴミ回収拠点を設け、牛乳パックやアルミ缶、古布などを隔月に1回、市の清掃車が屋内集積場に運び、年3〜4回、同校のメンバーや市民の協力者で点検・整理を担当する。アルミ缶は市内のアルミ工場に売却し、牛乳パックは納品にきた製紙会社の車で運んでもらい、トイレットぺーパーなどの再生紙に生まれ変わる。同校は、市民には再生紙の使用を、小売店には再生紙の販売をアピールしている。こうした一連の活動が評価されて、平成5年には、地球環境保全功労団体として、環境庁長官賞に輝いた。
 同校の悲願でもあった資源ゴミの回収に、ようやく行政が動き出した。市の清掃事業で平成6年4月から燃やせるゴミと燃やせないゴミ、資源ゴミの三分別収集を始めて、徐々に市内全域で実施するようになった。こうして、平成10年には、資源ゴミの回収が完全に行政の手に委ねられるようになった。
 王子製紙が使用済みの割り箸のリサイクルを始めているのを知った。製紙会社では、集めた割り箸を裁断して、チップに混ぜて使うのだ。臼杵校では早速同工場を見学し、割り箸の回収に乗り出した。同校のメンバーが個々の家庭を回ったり、会合の際持ち寄ったものを集めるとか、石仏で有名な観光地や市内の食堂・飲食店などにも協力してもらった。また、事前に市の広報で市民の協力をお願いしていたこともあって、ほとんどの店で、使用後のまま出してよい箸をきれいに洗い、乾燥して出してくれるなど、積極的な協力を惜しまなかった。